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三章〜出会いと別れ〜
五十六話 『勉強』
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期末テストがやってきた。ふふっ……!中間テストのときと違って期末テストは対策バッチリだ。
まず、お兄様に勉強を教えてもらった。中間テストのときはお兄様もテスト勉強してたし、教えてもらうことは少ししかできなかったけど、今回は違う。
期末テストのテスト勉強期間前にお兄様に勉強を教えてもらった。お兄様の迷惑をかけたくないしね。これも全て緑川にマウントを取る為――という訳じゃなく、ただ単に成績を上げたかったからだ。
そしてついでに緑川に負けない為に勉強した。今まで真剣にやったことはなかったから、今回こそは本気で頑張るぞ!! 私は意気込んで勉強をした。
夜中に起きてまで勉強をしていたし、眠気を抑えるためにほうじ茶やコーヒーを飲んでいたけど……それでも眠気は我慢することはできなかった。
そのせいで寝落ちしてしまったり、朝起きると頭が痛くて体が怠い日もあったりした。
でも、負けたくない一心で頑張っていた。美月さんや華鈴様や佐川に心配されたこともあったなぁ……緑川にはめっちゃくちゃ嫌味を言われたけど。
あれは正直腹が立ったが、今はそんなことはどうだっていい。私は今必死に勉強をしている。だから――、
「透華ーー。あーそーぼ」
……年下の相手なんてしている暇なんて一秒もないのだ。私は声の主の方を振り向かずに無視していると――。
「透華ー、あそぼうよぉ~」
しつこく私の名前を呼んでくる。しかも私の背中に乗っているのか重い……。仕方がない、少しだけ相手をするか。
そう思って振り返るとそこには予想通りの人物がいた。
「何?私はこの通り忙しいんですけど?」
矢沢智樹。従姉弟である。彼はいつも私に絡んでくる。幼稚園の頃はめっちゃくちゃ可愛げがあったのになぁ……小学生になってから可愛さのかけらもなくなってしまったんだよねぇ。
「えーー?透華が勉強~?悠真兄ちゃんなら分かるけど透華が勉強とかありえないんだけど!」
おいこいつ喧嘩売っているのか!?私が勉強したらおかしいっていうのか!?いや、確かに今まで真面目に勉強したことなかったけど……でも、それはこれから本気を出すだけだし! それにしてもこいつは本当に失礼すぎるだろ!
「ちょっと!智樹!透華に迷惑でしょ?」
するとそこに現れたのは、七海だった。今は二人の両親が旅行に行ってるんだよねぇ……二人も連れて行けばいいのにって思ったけど、まぁ、大人の事情があるんだろう。
「えー、でも、透華が真面目に勉強とかありねーだろ」
「いや、まぁ……」
え……?嘘でしょ?七海……そこは否定してくれないわけ……?というか、なんでそこで言葉詰まるのよ!!悲しくなってきたわ!!
そんなことを思っていると、
「智樹、七海ちゃん、紅茶入ったけど
飲むかい?」
そう言って入ってきたのは、お兄様だった。お兄様が入ってきた途端二人の見る目が変わったような気がした。
「悠真兄ちゃん、遊んでくれるの!?」
「遊んでやるから透華の勉強の邪魔をするんじゃないぞ?」
お、お兄様~~!やっぱり、私の味方はお兄様以外いないよね!
「え……でも、悠真お兄様も勉強中じゃ……」
七海が心配そうな顔をしていた。私の時はそんなこと言ってなかったのに!?これが……日頃の行いの差なの……?
「大丈夫だよ、もう終わったところだから」
あ、あの量を終わらせたの?高等部は中等部とは違い、大量の課題が出るのだ。それを全部終わらせるとは流石だし、しかも智樹と遊ぶ余裕もあるとか流石お兄様だ、と言わざるおえない。
「七海ちゃんもテスト勉強あるんでしょ?透華と一緒にやったら?僕は智樹とゲームしてくるから」
「そ、そうですね……!」
そう言って七海は出て行った。智樹もお兄様が遊んでくれるということで嬉しかったらしく部屋から出ていった。
私一人になった瞬間、私はため息をつきながら机に向かって勉強を始めた。
△▼△▼
あの後、七海と勉強をしながらわからなかったところを教え合い、テスト対策をしていた。初めはお互いのわからないところを教え合い、その後自分の苦手なところを重点的に教え合っていた。
効率の良い勉強をした結果なのか、いつもより早く終わり、その後は息抜き――という形で智樹とも遊んだのだけど――
「透華……弱くね?」
智樹にボコられた。いや……だって、智樹強すぎなんだもん!!私はゲームとか普段あまりしないタイプだから、弱いに決まってるじゃん!憐れみの目で見てくるのはやめてくれませんかね……
「まぁまぁ。透華はゲームとかあまりしない子だから仕方がないさ」
お兄様――!なんて優しいんでしょうか! 私は思わず感動して涙が出そうになったし、七海はそんなお兄様を見て惚れ惚れした表情をしていた。
まず、お兄様に勉強を教えてもらった。中間テストのときはお兄様もテスト勉強してたし、教えてもらうことは少ししかできなかったけど、今回は違う。
期末テストのテスト勉強期間前にお兄様に勉強を教えてもらった。お兄様の迷惑をかけたくないしね。これも全て緑川にマウントを取る為――という訳じゃなく、ただ単に成績を上げたかったからだ。
そしてついでに緑川に負けない為に勉強した。今まで真剣にやったことはなかったから、今回こそは本気で頑張るぞ!! 私は意気込んで勉強をした。
夜中に起きてまで勉強をしていたし、眠気を抑えるためにほうじ茶やコーヒーを飲んでいたけど……それでも眠気は我慢することはできなかった。
そのせいで寝落ちしてしまったり、朝起きると頭が痛くて体が怠い日もあったりした。
でも、負けたくない一心で頑張っていた。美月さんや華鈴様や佐川に心配されたこともあったなぁ……緑川にはめっちゃくちゃ嫌味を言われたけど。
あれは正直腹が立ったが、今はそんなことはどうだっていい。私は今必死に勉強をしている。だから――、
「透華ーー。あーそーぼ」
……年下の相手なんてしている暇なんて一秒もないのだ。私は声の主の方を振り向かずに無視していると――。
「透華ー、あそぼうよぉ~」
しつこく私の名前を呼んでくる。しかも私の背中に乗っているのか重い……。仕方がない、少しだけ相手をするか。
そう思って振り返るとそこには予想通りの人物がいた。
「何?私はこの通り忙しいんですけど?」
矢沢智樹。従姉弟である。彼はいつも私に絡んでくる。幼稚園の頃はめっちゃくちゃ可愛げがあったのになぁ……小学生になってから可愛さのかけらもなくなってしまったんだよねぇ。
「えーー?透華が勉強~?悠真兄ちゃんなら分かるけど透華が勉強とかありえないんだけど!」
おいこいつ喧嘩売っているのか!?私が勉強したらおかしいっていうのか!?いや、確かに今まで真面目に勉強したことなかったけど……でも、それはこれから本気を出すだけだし! それにしてもこいつは本当に失礼すぎるだろ!
「ちょっと!智樹!透華に迷惑でしょ?」
するとそこに現れたのは、七海だった。今は二人の両親が旅行に行ってるんだよねぇ……二人も連れて行けばいいのにって思ったけど、まぁ、大人の事情があるんだろう。
「えー、でも、透華が真面目に勉強とかありねーだろ」
「いや、まぁ……」
え……?嘘でしょ?七海……そこは否定してくれないわけ……?というか、なんでそこで言葉詰まるのよ!!悲しくなってきたわ!!
そんなことを思っていると、
「智樹、七海ちゃん、紅茶入ったけど
飲むかい?」
そう言って入ってきたのは、お兄様だった。お兄様が入ってきた途端二人の見る目が変わったような気がした。
「悠真兄ちゃん、遊んでくれるの!?」
「遊んでやるから透華の勉強の邪魔をするんじゃないぞ?」
お、お兄様~~!やっぱり、私の味方はお兄様以外いないよね!
「え……でも、悠真お兄様も勉強中じゃ……」
七海が心配そうな顔をしていた。私の時はそんなこと言ってなかったのに!?これが……日頃の行いの差なの……?
「大丈夫だよ、もう終わったところだから」
あ、あの量を終わらせたの?高等部は中等部とは違い、大量の課題が出るのだ。それを全部終わらせるとは流石だし、しかも智樹と遊ぶ余裕もあるとか流石お兄様だ、と言わざるおえない。
「七海ちゃんもテスト勉強あるんでしょ?透華と一緒にやったら?僕は智樹とゲームしてくるから」
「そ、そうですね……!」
そう言って七海は出て行った。智樹もお兄様が遊んでくれるということで嬉しかったらしく部屋から出ていった。
私一人になった瞬間、私はため息をつきながら机に向かって勉強を始めた。
△▼△▼
あの後、七海と勉強をしながらわからなかったところを教え合い、テスト対策をしていた。初めはお互いのわからないところを教え合い、その後自分の苦手なところを重点的に教え合っていた。
効率の良い勉強をした結果なのか、いつもより早く終わり、その後は息抜き――という形で智樹とも遊んだのだけど――
「透華……弱くね?」
智樹にボコられた。いや……だって、智樹強すぎなんだもん!!私はゲームとか普段あまりしないタイプだから、弱いに決まってるじゃん!憐れみの目で見てくるのはやめてくれませんかね……
「まぁまぁ。透華はゲームとかあまりしない子だから仕方がないさ」
お兄様――!なんて優しいんでしょうか! 私は思わず感動して涙が出そうになったし、七海はそんなお兄様を見て惚れ惚れした表情をしていた。
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