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三章〜出会いと別れ〜
五十四話 『中間テスト』
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中間テストまであと一週間となった。今まで真面目にやって来なかったテスト勉強だが、今回ばかりは頑張ろうと思う。今まで赤点は取らない程度には取ってたんだけどね。今回は本気で行こうと思っている。
理由は――、
「透華!何があっても緑川さんの娘に負けるんじゃないわよ!」
親同士のいざこざに巻き込まれたからだ。最初は嫌だったし、面倒くさいと思っていた。だけど、
「城ヶ崎さん……親同士のいざこざに巻き込んでごめんなさい。そんなの関係なく、気軽にやりましょう……?」
娘である緑川すみれにはめっちゃくちゃ申し訳なさそうに言われた。緑川すみれ。緑川家の令嬢であり、城ヶ崎家とは常に争っている所だ。
と、言っても、別に仲が悪いわけじゃない――とゆうか、あんまり話したことないし、顔を合わせたら挨拶するぐらいの間柄でしかないのだが。
でも、この前偶然聞いてしまったのだ。その時はトイレで用を足していたとき――。
「城ヶ崎さんのお兄様は素敵なお方ですけど、九条様とお付き合いしたときから腑抜けたってお母様も言ってたし、城ヶ崎透華は腑抜けだし、この勝負は結果を見なくても分かるわ。私の圧勝よ!」
「確かにそうですわね!すみれ様なら城ヶ崎透華なんて敵なしですわ!」
おっほほほほほほっ!という漫画しか聞こえてないような笑い声が聞こえる中、私は静かにブチ切れていた。私の悪口はまだいい。私だって自分がダメ人間なのは自覚している。それは事実だから何も言い返せない。
しかし、お兄様と香織様の悪口だけは許さないぞ……!――相手は到底敵わない。緑川は学年トップ10に入るくらい頭のいい奴だしなぁ……対して私は50以内を行ったり来たりするようなレベルだ。正直無理ゲーすぎるし、舐めた口を聞くのも仕方がないかもしれない。
親同士のいざこざに巻き込まれ、面倒くさいことになったなとは思っていたものの、あんなに喧嘩を売られ、あまつさえ侮辱されたら黙ってはいられない。
そんなこんなで――、
「透華?もう寝た方が……」
夜中まで勉強をしていると心配したのかお兄様が部屋に入って来た。そして机の上に広げられている教科書を見てギョッとした表情を浮かべる。
「透華……中間テストの勉強?」
「はい……テストに備えて復習をしておりましたの」
単語をめっちゃくちゃ暗記して、対策テストも何十回もやって完璧にした。でも!それでも不安なのでこうして徹夜で頑張ってるのだ!!
あの憎き女――緑川すみれを叩き潰すために!
「透華……倒れないでよ?親同士の
揉め事なんだから俺達が気にすることはないんだからね?」
そう言ってお兄様は頭を撫でてくれた。ふへぇ~、優しい……こんな優しいお兄様が腑抜けてるわけねーだろ!
「ええ。それについては私もどうでもいいことです。親同士のいざこざについては。なので、これは私自身のプライド。絶対に負けたくないのですわ!」
私がキッパリと言い放つとお兄様は目をパチクリさせた後に微笑んでくれた。
「そっか……。じゃあ俺は応援することしかできないけど頑張れ」
そう言って頭を撫でてくれる。中学生で子供扱いされるのは嫌だったけれど、今は心地が良い。私は嬉しくて頬を緩ませながら返事をした。
△▼△▼
長く、苦しい戦いだった。お兄様にも勉強を教えてもらったし、いつもよりは手応えはあったし?
多分大丈夫だと思うんだけど……やっぱり気になるものは気になってしまうもので、睡眠時間を削ってまで試験に臨んだのだが……結果は惨敗であった。
緑川は七位で私は十八位。五十位をウロチョロしていた頃よりは全然いい結果なものの、やはり悔しさが残る結果となった。それに――、
「あら。城ヶ崎さん、いつもより順位が上じゃないですか」
この女に負けたという現実が余計に腹立たしい。しかも、すげぇ余裕綽々!ムカつくぅ!!順位がいつもより上って言っても負けてるんだよぉ!!
そんなことを思っていると、
「伊集院様と西園寺様ですわ!!」
女子生徒の声が聞こえてきた。その声を聞いてみると、廊下の向こう側から二人の男子生徒が歩いてくる姿が見えた。
……相変わらず、あの二人の人気は凄まじいなぁ……テストの順位も相変わらず一位と二位だったみたいだし……。
二人とも頭が良くて顔も良いとか神はあの二人に色々与えすぎやろ。
「いつも通りだな」
「……いつも通りだねー」
うわーーー!王子と西園寺の余裕な発言が腹立ちますねぇ!?こちとら必死に勉強して十八位がやっとですよーーー!クソがーーー!心の中で悪態をつくも、口に出す勇気はない。
でも、
「伊集院様と西園寺様……素敵ですわ……」
緑川がそう言ってトキメキの眼差しを向けているのを見ると、何だかイラッとしてしまう。……ま、緑川と王子や西園寺様と付き合う未来なんてないと思うけどね!
ふふ……!美穂ちゃんが来てから絶望すればいいんやで~~!と思いながらも心の中で私は微笑むのだった。
理由は――、
「透華!何があっても緑川さんの娘に負けるんじゃないわよ!」
親同士のいざこざに巻き込まれたからだ。最初は嫌だったし、面倒くさいと思っていた。だけど、
「城ヶ崎さん……親同士のいざこざに巻き込んでごめんなさい。そんなの関係なく、気軽にやりましょう……?」
娘である緑川すみれにはめっちゃくちゃ申し訳なさそうに言われた。緑川すみれ。緑川家の令嬢であり、城ヶ崎家とは常に争っている所だ。
と、言っても、別に仲が悪いわけじゃない――とゆうか、あんまり話したことないし、顔を合わせたら挨拶するぐらいの間柄でしかないのだが。
でも、この前偶然聞いてしまったのだ。その時はトイレで用を足していたとき――。
「城ヶ崎さんのお兄様は素敵なお方ですけど、九条様とお付き合いしたときから腑抜けたってお母様も言ってたし、城ヶ崎透華は腑抜けだし、この勝負は結果を見なくても分かるわ。私の圧勝よ!」
「確かにそうですわね!すみれ様なら城ヶ崎透華なんて敵なしですわ!」
おっほほほほほほっ!という漫画しか聞こえてないような笑い声が聞こえる中、私は静かにブチ切れていた。私の悪口はまだいい。私だって自分がダメ人間なのは自覚している。それは事実だから何も言い返せない。
しかし、お兄様と香織様の悪口だけは許さないぞ……!――相手は到底敵わない。緑川は学年トップ10に入るくらい頭のいい奴だしなぁ……対して私は50以内を行ったり来たりするようなレベルだ。正直無理ゲーすぎるし、舐めた口を聞くのも仕方がないかもしれない。
親同士のいざこざに巻き込まれ、面倒くさいことになったなとは思っていたものの、あんなに喧嘩を売られ、あまつさえ侮辱されたら黙ってはいられない。
そんなこんなで――、
「透華?もう寝た方が……」
夜中まで勉強をしていると心配したのかお兄様が部屋に入って来た。そして机の上に広げられている教科書を見てギョッとした表情を浮かべる。
「透華……中間テストの勉強?」
「はい……テストに備えて復習をしておりましたの」
単語をめっちゃくちゃ暗記して、対策テストも何十回もやって完璧にした。でも!それでも不安なのでこうして徹夜で頑張ってるのだ!!
あの憎き女――緑川すみれを叩き潰すために!
「透華……倒れないでよ?親同士の
揉め事なんだから俺達が気にすることはないんだからね?」
そう言ってお兄様は頭を撫でてくれた。ふへぇ~、優しい……こんな優しいお兄様が腑抜けてるわけねーだろ!
「ええ。それについては私もどうでもいいことです。親同士のいざこざについては。なので、これは私自身のプライド。絶対に負けたくないのですわ!」
私がキッパリと言い放つとお兄様は目をパチクリさせた後に微笑んでくれた。
「そっか……。じゃあ俺は応援することしかできないけど頑張れ」
そう言って頭を撫でてくれる。中学生で子供扱いされるのは嫌だったけれど、今は心地が良い。私は嬉しくて頬を緩ませながら返事をした。
△▼△▼
長く、苦しい戦いだった。お兄様にも勉強を教えてもらったし、いつもよりは手応えはあったし?
多分大丈夫だと思うんだけど……やっぱり気になるものは気になってしまうもので、睡眠時間を削ってまで試験に臨んだのだが……結果は惨敗であった。
緑川は七位で私は十八位。五十位をウロチョロしていた頃よりは全然いい結果なものの、やはり悔しさが残る結果となった。それに――、
「あら。城ヶ崎さん、いつもより順位が上じゃないですか」
この女に負けたという現実が余計に腹立たしい。しかも、すげぇ余裕綽々!ムカつくぅ!!順位がいつもより上って言っても負けてるんだよぉ!!
そんなことを思っていると、
「伊集院様と西園寺様ですわ!!」
女子生徒の声が聞こえてきた。その声を聞いてみると、廊下の向こう側から二人の男子生徒が歩いてくる姿が見えた。
……相変わらず、あの二人の人気は凄まじいなぁ……テストの順位も相変わらず一位と二位だったみたいだし……。
二人とも頭が良くて顔も良いとか神はあの二人に色々与えすぎやろ。
「いつも通りだな」
「……いつも通りだねー」
うわーーー!王子と西園寺の余裕な発言が腹立ちますねぇ!?こちとら必死に勉強して十八位がやっとですよーーー!クソがーーー!心の中で悪態をつくも、口に出す勇気はない。
でも、
「伊集院様と西園寺様……素敵ですわ……」
緑川がそう言ってトキメキの眼差しを向けているのを見ると、何だかイラッとしてしまう。……ま、緑川と王子や西園寺様と付き合う未来なんてないと思うけどね!
ふふ……!美穂ちゃんが来てから絶望すればいいんやで~~!と思いながらも心の中で私は微笑むのだった。
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