48 / 94
三章〜出会いと別れ〜
四十八話 『白咲花音の話』
しおりを挟む
あれから三週間が経った。あれ以来特に事件もなく平和だった。
ただ、それは――
「……ね?透華ちゃん?話聞いてる?」
………花音さんが隣にいるせいで何も頭に入ってこなかった。
ちなみにここは私の部屋である。私の部屋にズカズカと入って来て我が物顔で寛いでいるのだ。いやマジで勘弁して欲しいんだけど……!
てゆうか、本当に突然入って来たから頭真っ白になったから話なんて聞いてないよ……!
私はそう思いながら花音さんを見る。……白咲花音という人は私の血のつながった姉……らしい。
お兄様とは血の繋がりはないが、この人は血が繋がっているらしい。そして花音さんの行動次第で城ヶ崎家が破滅するかもしれない。
だって香織様を殺すということは間違いなく、王子と対立するし、そうなったら王子に絶対に負ける。城ヶ崎家なんて伊集院家に比べたら無力だし。
「ごめんなさい…!聞いてませんでした!」
「素直ねぇ。素直な子は嫌いじゃないわ。じゃ、もう一度言うけど……私はもう九条香織を殺す気は無くなったのよ」
え!?諦めたの!?でも花音さんの表情からは諦めたように見えないし……!一体どういうことなんだろう……?罠だったりする……?
「罠だったりする……?って顔してるわよー。透華ちゃんって分かりやすいわよね。まぁそういうところも可愛いんだけど」
「はぁ……」
……まさか、用件これだけ?それだけの為にわざわざ呼び出したの?いや、それならそれでいいけど……安心したし……
「だからさ、私、悠真のこと寝取ろうかと思って……」
……ん?何か話変わった気がする……ん?あれ?殺さない……だよね?あれれ?
「ちょっ……!ちょっと待ってください!今花音さんは……殺さないって」
「略奪は殺してないでしょ?それに、あの子が泣いても慰めてくれる子は沢山いるわ。それにあの子……伊集院くんもそっちの方が都合が良いと思うし、反対はしないと思うのよ」
確かに……そうだけど……!王子は反対しないと思うし、寧ろ賛成するし、でも……それは香織様が泣くのでは?あぁどうしよう……
「花音さん、本当にやるんですか……?」
「勿論よ!私を誰だと思っているのかしら?私はいろんな男や女を葬って来た女よ?そんな私が簡単に諦めると思わない事ね」
悪役みたいなセリフ言ってる……流石透華の姉だ。破滅する予感がプンプンする……!城ヶ崎家破滅するじゃん!
「り、略奪なんて辞めましょうよ……!そんなの誰も幸せにならないですし……」
「幸せにならない?当然じゃない。あの女を地獄に落とすんだから。あの女の苦しむ姿を想像するとゾクゾクしてくるわ……ふふっ」
怖いよぉ~!!悪魔だよこの人!流石城ヶ崎透華の姉!やることが悪魔だ!
「まぁ、これが嫌ならもう一つあるわね……華鈴ちゃんだっけ?その子を利用すればあいつらいい感じに別れると思うのよねぇ」
え!?何その恐ろしい作戦!どっちに転んでもダメなやつじゃん!しかも華鈴様を利用するとか絶対良くない事になる!西園寺様が敵になる!
これはマズイ!何とかしないと……!
「と、とりあえず落ち着いてください!花音さんは冷静になってください!」
「あら、私いつも通りよ?いつも通りじゃないのは透華ちゃんの方でしょう?何をそんなに怯えているの?簡単な話じゃない。それとも、透華ちゃんは怖いの?破滅するのが」
そりゃあそうだ。私はただの高校生なのだ。そんなことをしたら大変なことになる。だって破滅なんかしたら生きていけないし社会からも抹殺されるようなものだし
「…破滅するのは怖いです……」
「ふーん。そう。破滅するのが怖い……ね」
そう言うと花音さんは私の顎を掴みながらこう言った。
「破滅するのが怖いなんて甘ったれた妹……」
呆れたように呟く花音さんの目は冷たく光っていた。まるで蛇のように絡みつくような視線だったが、
「……あんな女の味方をするならもういいわ」
興味を失ったかのように手を離すと、金を机に置いて部屋から出て行った。そして私はと言うと……
「………これは回避、した、のか……?」
そんな不安を抱きつつ、私は一人頭を抱えた。
ただ、それは――
「……ね?透華ちゃん?話聞いてる?」
………花音さんが隣にいるせいで何も頭に入ってこなかった。
ちなみにここは私の部屋である。私の部屋にズカズカと入って来て我が物顔で寛いでいるのだ。いやマジで勘弁して欲しいんだけど……!
てゆうか、本当に突然入って来たから頭真っ白になったから話なんて聞いてないよ……!
私はそう思いながら花音さんを見る。……白咲花音という人は私の血のつながった姉……らしい。
お兄様とは血の繋がりはないが、この人は血が繋がっているらしい。そして花音さんの行動次第で城ヶ崎家が破滅するかもしれない。
だって香織様を殺すということは間違いなく、王子と対立するし、そうなったら王子に絶対に負ける。城ヶ崎家なんて伊集院家に比べたら無力だし。
「ごめんなさい…!聞いてませんでした!」
「素直ねぇ。素直な子は嫌いじゃないわ。じゃ、もう一度言うけど……私はもう九条香織を殺す気は無くなったのよ」
え!?諦めたの!?でも花音さんの表情からは諦めたように見えないし……!一体どういうことなんだろう……?罠だったりする……?
「罠だったりする……?って顔してるわよー。透華ちゃんって分かりやすいわよね。まぁそういうところも可愛いんだけど」
「はぁ……」
……まさか、用件これだけ?それだけの為にわざわざ呼び出したの?いや、それならそれでいいけど……安心したし……
「だからさ、私、悠真のこと寝取ろうかと思って……」
……ん?何か話変わった気がする……ん?あれ?殺さない……だよね?あれれ?
「ちょっ……!ちょっと待ってください!今花音さんは……殺さないって」
「略奪は殺してないでしょ?それに、あの子が泣いても慰めてくれる子は沢山いるわ。それにあの子……伊集院くんもそっちの方が都合が良いと思うし、反対はしないと思うのよ」
確かに……そうだけど……!王子は反対しないと思うし、寧ろ賛成するし、でも……それは香織様が泣くのでは?あぁどうしよう……
「花音さん、本当にやるんですか……?」
「勿論よ!私を誰だと思っているのかしら?私はいろんな男や女を葬って来た女よ?そんな私が簡単に諦めると思わない事ね」
悪役みたいなセリフ言ってる……流石透華の姉だ。破滅する予感がプンプンする……!城ヶ崎家破滅するじゃん!
「り、略奪なんて辞めましょうよ……!そんなの誰も幸せにならないですし……」
「幸せにならない?当然じゃない。あの女を地獄に落とすんだから。あの女の苦しむ姿を想像するとゾクゾクしてくるわ……ふふっ」
怖いよぉ~!!悪魔だよこの人!流石城ヶ崎透華の姉!やることが悪魔だ!
「まぁ、これが嫌ならもう一つあるわね……華鈴ちゃんだっけ?その子を利用すればあいつらいい感じに別れると思うのよねぇ」
え!?何その恐ろしい作戦!どっちに転んでもダメなやつじゃん!しかも華鈴様を利用するとか絶対良くない事になる!西園寺様が敵になる!
これはマズイ!何とかしないと……!
「と、とりあえず落ち着いてください!花音さんは冷静になってください!」
「あら、私いつも通りよ?いつも通りじゃないのは透華ちゃんの方でしょう?何をそんなに怯えているの?簡単な話じゃない。それとも、透華ちゃんは怖いの?破滅するのが」
そりゃあそうだ。私はただの高校生なのだ。そんなことをしたら大変なことになる。だって破滅なんかしたら生きていけないし社会からも抹殺されるようなものだし
「…破滅するのは怖いです……」
「ふーん。そう。破滅するのが怖い……ね」
そう言うと花音さんは私の顎を掴みながらこう言った。
「破滅するのが怖いなんて甘ったれた妹……」
呆れたように呟く花音さんの目は冷たく光っていた。まるで蛇のように絡みつくような視線だったが、
「……あんな女の味方をするならもういいわ」
興味を失ったかのように手を離すと、金を机に置いて部屋から出て行った。そして私はと言うと……
「………これは回避、した、のか……?」
そんな不安を抱きつつ、私は一人頭を抱えた。
0
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
転生したら攻略対象者の母親(王妃)でした
黒木寿々
恋愛
我儘な公爵令嬢リザベル・フォリス、7歳。弟が産まれたことで前世の記憶を思い出したけど、この世界って前世でハマっていた乙女ゲームの世界!?私の未来って物凄く性悪な王妃様じゃん!
しかもゲーム本編が始まる時点ですでに亡くなってるし・・・。
ゲームの中ではことごとく酷いことをしていたみたいだけど、私はそんなことしない!
清く正しい心で、未来の息子(攻略対象者)を愛でまくるぞ!!!
*R15は保険です。小説家になろう様でも掲載しています。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる