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三章〜出会いと別れ〜

四十三話 『百合ハーレム?』

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――何でこんな修羅場になってるの?と私は心の底からそう思った。


だって、佐川と美月さんが何かバチバチしてるし、シャーロットと玲奈様も何かバチバチしてたし……!


昨日場を納めた時は二人ともそんなに仲悪くなかったよね!?なんでこうなった!?……というか、このカオスな状況、一体どうすればいいんだ……?? 私の脳内はもう既に大混乱状態だ。


「ふんっ!いいもん!シャーロットじゃなくて透華ちゃんと行くから!」


「玲奈様……!いくら玲奈様と言えど、透華様は渡せませんわ!」


「は?透華様は私と…!」


「トウカ、モテモテね」


シャーロットの言葉を聞いてハッとする。
そうだよ、これって私モテ期到来ってやつでは!?…男の子とフラグが一切無い私。でも女の子からはモテてる!!


百合ハーレムじゃん!!万歳!もう私はノンケの道を歩まなくても良いんだ!やったー!!……なんて現実逃避をしてる場合じゃない。今はこの状況をどうにかしないと……!


「透華様、誰と一緒に行くんですか?」


目にハイライトが入ってないよ……!?美月さん……この子こんな子だっけ!?あぁもうダメだ!早くなんとかしないと言い合いがヒートアップする一方だよ……!


「今日だけは譲ってよー。美月ちゃん!透華ちゃんのことが大切なのはわかったけどさー……」


「透華様の隣は私の特権なんですよ……?誰にも渡したくないですし、一緒に居たいと思う気持ちは玲奈様にだって負けてませんから!!」


「いや、あの……」


「愛が重いねぇ?」


うぅ……助けて……シャーロットぉ~…と思いながらチラッと見ながら、目線だけで助けを求めると、「ごめん無理!」といった感じで返された。


「透華様はどっちを選ぶの?」


「さ、佐川さん……目が怖いですよ……?」


お前、私のこと嫌ってた筈なのに何でそんなに執着してくるんだよ!?おかしいだろ!? えぇ……どうしよう……?


「トウカ、行くわよ」


「へ!?し、シャーロット!?」


突然腕を引っ張られたせいで体勢が崩れてしまった。そしてそのままバランスを崩した私をシャーロットは抱きしめるように支えてくれた。


ふわりとした甘い香りに包まれる。やべぇ、アベル様に殺されるー!!この場にいないけど!脳内のアベル様はめっちゃキレてるけど!!


「…………ちょっと待った!!!」


その声と同時に引っ張られるように後ろへと引き寄せられる。それと同時に今まで私が立っていた場所に誰かが立った気配を感じた。
恐る恐る振り返るとそこには不機嫌そうな顔をしている玲奈様の姿があった。


「シャーロット!透華ちゃん取らないでよ!」


「取る?私はただトウカを助けただけよ?嫉妬かしら?」


「嫉妬なんかじゃ無い!私は……」


もう……玲奈様ってば……素直になればいいのに……!


「玲奈様!素直になる時です。透華様にシャーロットさんを渡す気なんてないのでしょう?」


「私は別に……!」


「水瀬さんの言うとおりですわ。素直になったら楽ですわよ」


佐川と美月さんはそう言いながら玲奈様のことを見つめている。
あれ?いつの間にか喧嘩収まってる?良かった……これで一安心……!


「あら、水瀬さん、気が合いますわね」


「ふふっ、佐川さんこそ」


……二人が意気投合してる……!チャンス!逃げるなら今しかない! 私はそっと教科書を持ちながら、


「お、お先に失礼しますわ~~!」


移動教室だから早めに行かないと遅刻してしまうのだ! 全力ダッシュで逃げようと走り出すと、


「ま、待ってください!透華様!まだ話は終わってませんよ!」


美月さんの声が聞こえたが無視をする。だって捕まったらヤバい予感しかしないし! というか美月さんキャラ変わってない!?


「透華ちゃん!私を置いていかないでよ!」


「透華様!お待ちください!」


「……ったく、トウカも罪な女ねぇ?」


罪な女なの?!私!そんなことを思いながらも必死に逃げていく。しかし、よくよく考えてみればみんな同じクラスだし、このままじゃ絶対見つかるよね……
あぁ……もうダメだ……諦めよう……


結局私は美月さんと佐川と玲奈様の三人に追いかけ回されることになったのだった……


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