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二章 〜アメリカ編〜
十九話 『夢』
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『ねえ、今週の貴花やばくなかった!?』
『まさか透華と華鈴が友達になるなんて……!しかも透華がアメリカに二週間留学するっていう所で話が終わって続きが気になりすぎる!』
そんな声が聞こえてきた。それはまさしく、一週間前に私が聞きたかった夢だ。私はガッツポーズをする。今度こそ!詳細を聞けるーー!
『あ、それなんだけど、私もう買ってるの!昨日、本屋に行ったらあったから』
『あら?そうなの?じゃあ、見ましょう』
え?!マジで!?と思ったけど相変わらず声は出ない。だけど今日は不思議と自由に動けた。だから私は二人に割り込みながらジィーと絵を見た。ああ、懐かしい絵柄だ。
『本当にバカな女ね……白鷺華鈴……利用されていることも知らないで……この留学が終わったら教えてあげなくちゃね。私と貴方は対等じゃないってこと』
相変わらず悪役の台詞を吐くなぁ……透華…やっぱりこの透華も破滅するの……?だけどそれだと本編と同じになるし……どうなるんだろう?そう思いながら私は真剣に話を読む。すると……一人の女の子が透華に話しかけていた。
『ねぇ、あの女の子も貴方と同じ日本人なの!声をかけてみたら?』
『そうですね。どんな子なのか興味あります』
……ん?同じ日本人の女の子?どういうことだろ?女の子が次のページを捲るとそこには一人の少女がいた。
黒い髪を肩まで伸ばし、眼鏡をかけた少女。その顔には何故か見覚えがあった。
「(あれ?)」
何処かで見たことがあるような…そこでの視界はぼやけていく。ち、ちょっと待ってーー!せめてあの女の子の正体を聞かせてーー!と心の中で叫ぶも虚しく視界は真っ暗になっていった。
ハッと目が覚めた。私は慌てて時計を見た。時刻は四時半だ。30分も寝ていたのか……まだまだ着かないし、眠気も完全に覚めたから先の夢の整理を忘れないうちにしよう!と思い紙に先の夢を書いてゆく。
まずはさっきの夢から……黒髪の少女……誰なんだろうか?それに私と華鈴様が友達?そして透華が二週間だけアメリカ留学のことを書いたとき、今気づいた。
「あ……これ今の私じゃん」
あの黒髪少女に気を取られていたが、先夢の中の女の子が言っていた状況は今の私とあっていた。
「つまりこれは……完全にIFルートに入ったとゆうこと…?」
とゆうか、そうとしか考えられない。先から原作とは全く違う展開になっていくのだから……しかし、私はそんな未来想定していなかった。
取り巻きとして、あのシーンを見るためだけに頑張っていたとゆうのにこのルートでは見れるか分からないじゃないか!だけど華鈴様を傷つけるのは絶対に嫌だし。
でも、華鈴様と美穂ちゃんの友情のシーンは絶対に見たいし!うーん、うーん、と唸りながら、考えた答えは……
「まあいっか!」
考えるの面倒くさくなって私はとりあえず成り行きに任せることにした。
だってまだ時間あるし。先のことは未来の私にお任せしよう。
うん!それがいい! それよりも今はIFルートのことを考えよう!IFルートが今の話ならあの夢は絶対に大切だ。…一番いい方法は思い出すことなんだけど、残念ながらそういうIFルートがあった、とゆうことは全く思い出せない。
だから私はそれが連載される前に死んだ……とゆうことだろう。多分。
そう思った直後、コンコンという扉の叩く音が聞こえてきた。なんだろう?と思いながら、『はーい』と言うとCAさんがやってきた。「お食事でございます」とのことだったのでベッドから出て準備を始めることにした。
ちなみに私はファーストクラスだ。たかが中一がファーストクラスに乗れるとは思ってもなかった。しかも個人的ではなく、留学生として乗るなんて……そう思いながらCAさんが運んでくれた食事を食べる。美味しい。流石ファーストクラスのご飯だ。
「うーん、美味しかった……!さてと……」
再びベットに潜り込み、休憩することにした。本当はIFルートのことも考えなきゃいけないけど息抜きは大事だ。そう思いながら私は空港に行く前に買った単行本を読み進める。夢中になって読み進めた所為でもう最後のページになってしまった。
「はぁ、次回気になるな……」
ちなみに今私が読んでいる漫画は『桜咲く春、君と一緒に』という漫画だ。これは作中で美月さんや美穂ちゃんや華鈴様が読んでいる漫画だった。
あらすじは主人公は平凡な女子高校生だった。しかし、とある男子……クラスの王子に一目惚れされてしまい、告白されて、そこから主人公の日常が大きく変わっていく話である。
この話読めば読むほど、そっくりなのだ。美穂ちゃんと王子に。容姿は全く似てないけど、性格と二人の関係がどんどん進展していくところなどが似ている。
まぁ、美穂ちゃんも作中で『似てる……』って言ってたから当たり前と言えば当たり前の話なんだけど。
それを読んでいるうちにまた眠気が襲ってきた。
次に意識を取り戻したときには飛行機は既に着陸態勢に入っていた。
ふぅっと安堵のため息をつくと同時にアナウンスが流れ始めた。どうやら無事に着いたらしい。荷物を受け取り外に出るとそこにはアメリカの空港だ。
日本より大きい……!!思わず感動した。アメリカは何度も行ったことはあるけども、前世の記憶を取り戻してはじめてのアメリカだ。
楽しみすぎるよぉ~!そんなことを思いながら、私は地図を見ながら学校を目指す。一応事前に調べておいたのだ。
えっへん! しばらく歩くとようやく目的地が見えてくる。ここが聖フローラ学園だ。
ついに来たんだね……私の新しい生活が始まる場所へ……!ドキドキしながら校門を通り抜けようとした時、後ろから声をかけられた。
振り返るとそこにいたのは金髪碧眼の美少女だった。
「貴方がここの留学生?」
「はい」
「初めまして。私はシャーロット・グレイです。よろしくお願いします」
見た目も名前も完全に外国人なのに日本語ペラペラなの凄くね……?それにしても可愛い…… こんな子が彼女になったら幸せだろうな……と思いつつ私も挨拶をした。
「こちらこそよろしくお願い致します。私は……城ヶ崎透華と言います」
そう言って私は笑った。
『まさか透華と華鈴が友達になるなんて……!しかも透華がアメリカに二週間留学するっていう所で話が終わって続きが気になりすぎる!』
そんな声が聞こえてきた。それはまさしく、一週間前に私が聞きたかった夢だ。私はガッツポーズをする。今度こそ!詳細を聞けるーー!
『あ、それなんだけど、私もう買ってるの!昨日、本屋に行ったらあったから』
『あら?そうなの?じゃあ、見ましょう』
え?!マジで!?と思ったけど相変わらず声は出ない。だけど今日は不思議と自由に動けた。だから私は二人に割り込みながらジィーと絵を見た。ああ、懐かしい絵柄だ。
『本当にバカな女ね……白鷺華鈴……利用されていることも知らないで……この留学が終わったら教えてあげなくちゃね。私と貴方は対等じゃないってこと』
相変わらず悪役の台詞を吐くなぁ……透華…やっぱりこの透華も破滅するの……?だけどそれだと本編と同じになるし……どうなるんだろう?そう思いながら私は真剣に話を読む。すると……一人の女の子が透華に話しかけていた。
『ねぇ、あの女の子も貴方と同じ日本人なの!声をかけてみたら?』
『そうですね。どんな子なのか興味あります』
……ん?同じ日本人の女の子?どういうことだろ?女の子が次のページを捲るとそこには一人の少女がいた。
黒い髪を肩まで伸ばし、眼鏡をかけた少女。その顔には何故か見覚えがあった。
「(あれ?)」
何処かで見たことがあるような…そこでの視界はぼやけていく。ち、ちょっと待ってーー!せめてあの女の子の正体を聞かせてーー!と心の中で叫ぶも虚しく視界は真っ暗になっていった。
ハッと目が覚めた。私は慌てて時計を見た。時刻は四時半だ。30分も寝ていたのか……まだまだ着かないし、眠気も完全に覚めたから先の夢の整理を忘れないうちにしよう!と思い紙に先の夢を書いてゆく。
まずはさっきの夢から……黒髪の少女……誰なんだろうか?それに私と華鈴様が友達?そして透華が二週間だけアメリカ留学のことを書いたとき、今気づいた。
「あ……これ今の私じゃん」
あの黒髪少女に気を取られていたが、先夢の中の女の子が言っていた状況は今の私とあっていた。
「つまりこれは……完全にIFルートに入ったとゆうこと…?」
とゆうか、そうとしか考えられない。先から原作とは全く違う展開になっていくのだから……しかし、私はそんな未来想定していなかった。
取り巻きとして、あのシーンを見るためだけに頑張っていたとゆうのにこのルートでは見れるか分からないじゃないか!だけど華鈴様を傷つけるのは絶対に嫌だし。
でも、華鈴様と美穂ちゃんの友情のシーンは絶対に見たいし!うーん、うーん、と唸りながら、考えた答えは……
「まあいっか!」
考えるの面倒くさくなって私はとりあえず成り行きに任せることにした。
だってまだ時間あるし。先のことは未来の私にお任せしよう。
うん!それがいい! それよりも今はIFルートのことを考えよう!IFルートが今の話ならあの夢は絶対に大切だ。…一番いい方法は思い出すことなんだけど、残念ながらそういうIFルートがあった、とゆうことは全く思い出せない。
だから私はそれが連載される前に死んだ……とゆうことだろう。多分。
そう思った直後、コンコンという扉の叩く音が聞こえてきた。なんだろう?と思いながら、『はーい』と言うとCAさんがやってきた。「お食事でございます」とのことだったのでベッドから出て準備を始めることにした。
ちなみに私はファーストクラスだ。たかが中一がファーストクラスに乗れるとは思ってもなかった。しかも個人的ではなく、留学生として乗るなんて……そう思いながらCAさんが運んでくれた食事を食べる。美味しい。流石ファーストクラスのご飯だ。
「うーん、美味しかった……!さてと……」
再びベットに潜り込み、休憩することにした。本当はIFルートのことも考えなきゃいけないけど息抜きは大事だ。そう思いながら私は空港に行く前に買った単行本を読み進める。夢中になって読み進めた所為でもう最後のページになってしまった。
「はぁ、次回気になるな……」
ちなみに今私が読んでいる漫画は『桜咲く春、君と一緒に』という漫画だ。これは作中で美月さんや美穂ちゃんや華鈴様が読んでいる漫画だった。
あらすじは主人公は平凡な女子高校生だった。しかし、とある男子……クラスの王子に一目惚れされてしまい、告白されて、そこから主人公の日常が大きく変わっていく話である。
この話読めば読むほど、そっくりなのだ。美穂ちゃんと王子に。容姿は全く似てないけど、性格と二人の関係がどんどん進展していくところなどが似ている。
まぁ、美穂ちゃんも作中で『似てる……』って言ってたから当たり前と言えば当たり前の話なんだけど。
それを読んでいるうちにまた眠気が襲ってきた。
次に意識を取り戻したときには飛行機は既に着陸態勢に入っていた。
ふぅっと安堵のため息をつくと同時にアナウンスが流れ始めた。どうやら無事に着いたらしい。荷物を受け取り外に出るとそこにはアメリカの空港だ。
日本より大きい……!!思わず感動した。アメリカは何度も行ったことはあるけども、前世の記憶を取り戻してはじめてのアメリカだ。
楽しみすぎるよぉ~!そんなことを思いながら、私は地図を見ながら学校を目指す。一応事前に調べておいたのだ。
えっへん! しばらく歩くとようやく目的地が見えてくる。ここが聖フローラ学園だ。
ついに来たんだね……私の新しい生活が始まる場所へ……!ドキドキしながら校門を通り抜けようとした時、後ろから声をかけられた。
振り返るとそこにいたのは金髪碧眼の美少女だった。
「貴方がここの留学生?」
「はい」
「初めまして。私はシャーロット・グレイです。よろしくお願いします」
見た目も名前も完全に外国人なのに日本語ペラペラなの凄くね……?それにしても可愛い…… こんな子が彼女になったら幸せだろうな……と思いつつ私も挨拶をした。
「こちらこそよろしくお願い致します。私は……城ヶ崎透華と言います」
そう言って私は笑った。
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