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一章 〜全ての始まり〜
八話『友達』
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「……ん……」
目が覚めると、そこには知らない景色が広がっていた。私はベットの上で寝かされている。寝かされているということはつまり保健室だろう。だが、そんなこと問題ではなく、
「でも、一体誰が……」
「あ、透華様!起きたんですね!」
美月さんが来た。相変わらずの笑みを浮かべている。
「美月さん……?わ、私……」
状況が把握出来ない私に美月さんは分かりやすく教えてくれた。
「透華様は虫を見て気絶なされたんです。なので私が保健室まで運んでいきました」
笑顔でサラッと凄いことを言われた。実際、目の前で人が倒れたら、心配はするかもしれないが人を運ぶなんてことするだろうか?普通先生呼ばない?
「どうしてそこまでしてくれるの?」
そんな疑問を投げかける。だって、今の私にはそんな価値などないただの小物だ。華鈴様にそう言われて自覚しただけのただの……
「どうしてって……人が倒れたら当たり前のことでしょう?先生を呼ぶのも考えましたが……側に先生がいませんでしたし……それに……透華様には助けて貰いましたし」
「助けた……?」
助けた、というのは一体どのことを言っているのだろう?全然分からない。
「あの時、透華様は庇ってくれました。そんな恩人が倒れていたので助けたんです。嫌な相手なら運んだりしませんよ。先生は呼びますが」
そう言って美月さんは笑う。いや、嫌いな相手でも先生を呼びにいくことなんて出来ないよ……私なら放置するもん。
「ーー美月さんは優しい人ですね」
「……や、優しい……?」
本気で何を言っているのかわからない顔をしている。そこは素直に受け取って欲しいんだけどなぁ…
「……ありがとうございます。でも、当然のことをしただけです」
そう言って笑う彼女。謙虚すぎでは?!と、思わなくもない。だけど、美月さんはこれが普通だと思っているんだよなぁ。美穂ちゃんも漫画の中で『この子お人好しすぎない?』とか言われてたし。そこが好きなんだけど。
「でも、お礼はさせて」
「お、お礼……?そこまでしていただなくても……」
「いいえ、そうしないと、私の気が進まないわ!」
私がそう言うと、美月さんは目をぱちぱちとさせてからこう言った。
「本当に、透華様って噂と全く違いますね……」
「噂?!」
私が驚きながらそう言うと、美月さんは頷きながらこう言った。
「小学生の頃透華様は教室のボスだと聞いたもので。お礼も言わないし、むしろそれが当然だとという態度を取る怖い人だとそう聞いていたので…‥でも、今は全然そんな感じがしないので……助けていただいた時もそうでしたが、やっぱり噂なんてあてになりませんね」
美月さんはそう言って、私に手を差し伸べながらこう言った。
「透華様。私とお友達になってくださいませんか?」
「えっ」
突然のことに私は驚きの声をあげてしまった。そんな声をあげてしまったからか、美月さんは慌てて
「…あ、勿論……透華様が嫌じゃなかったらの話ですが……」
控えめに美月さんはそう言ったが、私には断る理由なんてない。だから、私は慌てて美月さんにこう言った。
「勿論ですよ!友達になりましょう」
そう言って笑うと、美月さんも笑い返した。ああ……これでぼっち回避だ。やはり、ぼっちライフなんて過ごしたくないしね!!
「これからよろしくね。美月さん」
「はい。よろしくお願いします。透華様」
そう言って私達は握手をした。
目が覚めると、そこには知らない景色が広がっていた。私はベットの上で寝かされている。寝かされているということはつまり保健室だろう。だが、そんなこと問題ではなく、
「でも、一体誰が……」
「あ、透華様!起きたんですね!」
美月さんが来た。相変わらずの笑みを浮かべている。
「美月さん……?わ、私……」
状況が把握出来ない私に美月さんは分かりやすく教えてくれた。
「透華様は虫を見て気絶なされたんです。なので私が保健室まで運んでいきました」
笑顔でサラッと凄いことを言われた。実際、目の前で人が倒れたら、心配はするかもしれないが人を運ぶなんてことするだろうか?普通先生呼ばない?
「どうしてそこまでしてくれるの?」
そんな疑問を投げかける。だって、今の私にはそんな価値などないただの小物だ。華鈴様にそう言われて自覚しただけのただの……
「どうしてって……人が倒れたら当たり前のことでしょう?先生を呼ぶのも考えましたが……側に先生がいませんでしたし……それに……透華様には助けて貰いましたし」
「助けた……?」
助けた、というのは一体どのことを言っているのだろう?全然分からない。
「あの時、透華様は庇ってくれました。そんな恩人が倒れていたので助けたんです。嫌な相手なら運んだりしませんよ。先生は呼びますが」
そう言って美月さんは笑う。いや、嫌いな相手でも先生を呼びにいくことなんて出来ないよ……私なら放置するもん。
「ーー美月さんは優しい人ですね」
「……や、優しい……?」
本気で何を言っているのかわからない顔をしている。そこは素直に受け取って欲しいんだけどなぁ…
「……ありがとうございます。でも、当然のことをしただけです」
そう言って笑う彼女。謙虚すぎでは?!と、思わなくもない。だけど、美月さんはこれが普通だと思っているんだよなぁ。美穂ちゃんも漫画の中で『この子お人好しすぎない?』とか言われてたし。そこが好きなんだけど。
「でも、お礼はさせて」
「お、お礼……?そこまでしていただなくても……」
「いいえ、そうしないと、私の気が進まないわ!」
私がそう言うと、美月さんは目をぱちぱちとさせてからこう言った。
「本当に、透華様って噂と全く違いますね……」
「噂?!」
私が驚きながらそう言うと、美月さんは頷きながらこう言った。
「小学生の頃透華様は教室のボスだと聞いたもので。お礼も言わないし、むしろそれが当然だとという態度を取る怖い人だとそう聞いていたので…‥でも、今は全然そんな感じがしないので……助けていただいた時もそうでしたが、やっぱり噂なんてあてになりませんね」
美月さんはそう言って、私に手を差し伸べながらこう言った。
「透華様。私とお友達になってくださいませんか?」
「えっ」
突然のことに私は驚きの声をあげてしまった。そんな声をあげてしまったからか、美月さんは慌てて
「…あ、勿論……透華様が嫌じゃなかったらの話ですが……」
控えめに美月さんはそう言ったが、私には断る理由なんてない。だから、私は慌てて美月さんにこう言った。
「勿論ですよ!友達になりましょう」
そう言って笑うと、美月さんも笑い返した。ああ……これでぼっち回避だ。やはり、ぼっちライフなんて過ごしたくないしね!!
「これからよろしくね。美月さん」
「はい。よろしくお願いします。透華様」
そう言って私達は握手をした。
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