32 / 34
最終章 〜その後〜
三十二話 『愛してる』
しおりを挟む
愛する男が隣にいて、男は女の欲しい言葉をくれる。その幸せは誰にも計り知れないものだ。
少なくともカナはそう思ってるし、それは隣にいる……透もそう思っていると……思う。
「……思っていようが思っていまいが、関係ないけどね」
今石田カナは愛した男の隣にいるのだ。茜から透を奪ってカナがここにいる。ただそれだけの話。
ベットの上で寝ている透を愛しているし、透もカナのことを愛している。それが事実であり、全てだ。
それ以上のことは考えてはいけない。考える必要もない。
カナはベットの脇に腰掛けて透を見つめた。
「愛してるよ。透さん」
この呼び方も今で慣れたが最初の頃は違和感があった。でも今ではこれが当たり前になっている。
あんなに茜のことが好きだったくせに、今はカナと一緒にいる透。どれだけ言ったってそれはもう変えられない事実だ。そしてその事実がカナを興奮させ、安心させる。
お互いがお互いに依存――いわゆる共依存というやつだ。駄目だと理解している。
こんな関係は長く続かないことも知っている。それでも止められない。止める気もない。
「だって私は透さんがいなかったら生きていけないし……透さんも私がいなくなったら死んじゃうもんね?」
独り言を言いながら、透の頬を撫でる。気持ち良さそうに目を細める透を見て、自然と笑みがこぼれる。
「……誰にも渡さないし、渡す気もない。ずっと私だけのものでいて……」
自分のものにならないならいっそ殺してしまいたいくらいには透のことを愛しているし、今では茜も来ないから透のことを独り占めできる。
「……んっ……」
カナがそんなことを思っていると、透がゆっくりと目を開いた。まだ半分夢の中にいるような顔をしながらカナの方を見る。
「おはよう。透さん。私ねー、また激しくしちゃったみたい。でも、しょうがないよねー?あの女の匂いを消すにはもっと激しくするしかないんだから」
「うん……そうだな」
起き上がることもなくそのままの状態で返事をした透。激しくやり過ぎたので腰が立たないのだろう。
「ねぇ……透さん。私だけ見ててね?私のこと以外何も考えないで、私だけを好きでいてね?」
「ああ……分かってるよ。俺の心はもうカナのもの。誰のものでもなく……お前のものだ」
洗脳のような言葉に抵抗せず、素直に従う透。きっと今の彼の頭の中にはカナしか存在しないはずだ。
それを考えるだけで背筋がゾクッとするほどの快感に襲われる。
本当に透は自分のものだ。自分だけが彼を手に入れることができた。他の女なんか入る余地はない。
キスマークだってたくさんある。カナにも透にも。
この印がある限り彼はカナから離れられない。離れることなんてできない。
だから――。
「……ずっと一緒にいようね?透さん」
「……あぁ。ずっと一緒だ。俺は死ぬまでカナと一緒にいるよ」
透の言葉を聞いて、カナは満足そうに微笑みながら、透にキスをした――。
少なくともカナはそう思ってるし、それは隣にいる……透もそう思っていると……思う。
「……思っていようが思っていまいが、関係ないけどね」
今石田カナは愛した男の隣にいるのだ。茜から透を奪ってカナがここにいる。ただそれだけの話。
ベットの上で寝ている透を愛しているし、透もカナのことを愛している。それが事実であり、全てだ。
それ以上のことは考えてはいけない。考える必要もない。
カナはベットの脇に腰掛けて透を見つめた。
「愛してるよ。透さん」
この呼び方も今で慣れたが最初の頃は違和感があった。でも今ではこれが当たり前になっている。
あんなに茜のことが好きだったくせに、今はカナと一緒にいる透。どれだけ言ったってそれはもう変えられない事実だ。そしてその事実がカナを興奮させ、安心させる。
お互いがお互いに依存――いわゆる共依存というやつだ。駄目だと理解している。
こんな関係は長く続かないことも知っている。それでも止められない。止める気もない。
「だって私は透さんがいなかったら生きていけないし……透さんも私がいなくなったら死んじゃうもんね?」
独り言を言いながら、透の頬を撫でる。気持ち良さそうに目を細める透を見て、自然と笑みがこぼれる。
「……誰にも渡さないし、渡す気もない。ずっと私だけのものでいて……」
自分のものにならないならいっそ殺してしまいたいくらいには透のことを愛しているし、今では茜も来ないから透のことを独り占めできる。
「……んっ……」
カナがそんなことを思っていると、透がゆっくりと目を開いた。まだ半分夢の中にいるような顔をしながらカナの方を見る。
「おはよう。透さん。私ねー、また激しくしちゃったみたい。でも、しょうがないよねー?あの女の匂いを消すにはもっと激しくするしかないんだから」
「うん……そうだな」
起き上がることもなくそのままの状態で返事をした透。激しくやり過ぎたので腰が立たないのだろう。
「ねぇ……透さん。私だけ見ててね?私のこと以外何も考えないで、私だけを好きでいてね?」
「ああ……分かってるよ。俺の心はもうカナのもの。誰のものでもなく……お前のものだ」
洗脳のような言葉に抵抗せず、素直に従う透。きっと今の彼の頭の中にはカナしか存在しないはずだ。
それを考えるだけで背筋がゾクッとするほどの快感に襲われる。
本当に透は自分のものだ。自分だけが彼を手に入れることができた。他の女なんか入る余地はない。
キスマークだってたくさんある。カナにも透にも。
この印がある限り彼はカナから離れられない。離れることなんてできない。
だから――。
「……ずっと一緒にいようね?透さん」
「……あぁ。ずっと一緒だ。俺は死ぬまでカナと一緒にいるよ」
透の言葉を聞いて、カナは満足そうに微笑みながら、透にキスをした――。
1
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる