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三章 〜それぞれの一日〜
二十二話 『ハーレム結成!』
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心臓がバクバクと鳴り、うるさいくらいの鼓動を感じる。
これは現実なのか?そう思う程には目の前の状況を信じられない自分が居る。
だってあまりにも都合が良すぎるから。こんなことはあり得ないと思っていた。だけど、これは紛れもなく現実で……。
「えっと、何で……?」
当たり障りのない言葉を紡ぐことしか出来ず、情けない気持ちになる。
だけど、茜はそんな透に対して笑みを浮かべた。
「私、やっぱりこのままじゃダメだと思いまして。それにとある人にも背中を押されたので」
「……とある人?」
そう聞き返すと茜はニッコリと笑う。どうやら、教えてくれる気はないらしい。
「そんなことより、私……カナちゃんのことを話したいです。いいですか?」
来た。心臓が鼓動を早めていくのがわかる。緊張で喉が渇く。
だが、ここで何も言わなければ男が廃る。だから透は覚悟を決めて茜を真剣な眼差しで見つめる。
「ああ……聞かせてくれ」
「分かったわ……」
深呼吸をしながら茜はゆっくりと語り始めた。
「まずは、どうして私がここにいるのか……という話なんですが、これは単純でカナちゃんのお父様が入れてくれたんです」
「あの人が……意外だな……」
石田京介という男は信用出来ない人物は家にあげることがなかった。つまり、茜はそれだけ信頼されているということだろう。
「それでですね、ここの応接室で待ってろ……と言われまして。待ってたら透くんが来たんですよね」
「あぁ……俺もびっくりしたよ」
まさか、このタイミングで会うとは思ってなかったし。
「それでね、私待ってる間、色々と考えてたんだ。透くんとカナちゃんのこと。最初聞いた時はビックリしたんだよ?カナちゃんのお父様からも春人くんのお父様からもこの二人が結婚する……としか聞いてなかったし。でも、最初はビックリしたけどあれって透くん予想してなかったよね?」
「まぁ……うん」
あの土壇場であんなことを言われるなんて誰が想像出来るだろうか。
「ふふっ、そうだよね。私も……ビックリしたんだよ?でも、それと同時に……黒いモヤモヤとした感情が生まれたんだ」
黒いモヤモヤ。透にもある感情だ。茜が自分以外の男と話すとき、透も同じような感覚を抱くことがある。それはきっと独占欲と呼ばれるものなんだろう。
「私、透くんのこと好きよ。好きでしょうがない……と思う」
その言葉を聞いた瞬間、思わずドキッとする。
「ねぇ、こんな私だけど、付き合ってくれる?私の彼氏になってくれますか?」
茜からの告白に透は心臓がはち切れそうな程の衝撃を受ける。ドクンドクンと大きく鼓動を繰り返す心臓の音が聞こえてくる気がした。
返事なんて決まりきっている。だから、後はただ伝えるだけ。
「俺もお前のことがす………「ちょっと待ったーーー!」
告白の返事を言いかけた時、突如として大きな声によって遮られる。一体誰の声だと驚いているとそこには息を切らしているカナと……
「カナ、走りすぎだ」
「だって!お父様が『早く行け』って言うからさ……!」
「残念。あともう少しだったのになぁ……」
茜が残念そうに呟くが、透にはこの状況がよく分からなかった。何故という言葉が頭を埋め尽くし、思考回路が完全にショートしていた。
そんな状態の透に対してカナは容赦なく言葉を透に向けた。
「私も好き!大好き!お兄ちゃんのこと!二番目でいいから愛して!いや、二番目とかじゃない!私が茜先生を追い抜いて一番になる!」
「ふふっ、カナちゃんは勢いが凄いわねー。私も負けないからね?」
「望むところです!茜先生!」
二人はそう言いながらお互いを見つめ合う光景。意味が分からない。どうしてこうなったのか全く理解出来ない透に京介が口を開く。
「二人分の愛を受け入れる器になってくれ」
「え……?き、京介さん?嘘ですよね?まさか浮気を推奨するとか言いませんよね!?」
二人分の愛を受け入れる器。俗に言う『ハーレム』というものだ。だが、それを推奨された透としてはたまったものではない。
『ハーレム』というのは物語のフィクションの中だけだから許されるものであり、現実では許されないことだ。
これがもし、物語の主人公なら、ハーレムでもなんでも受け入れたかもしれない。しかし、透は主人公ではないのだ。自分の身勝手な行動で、周りを振り回すようなことは絶対にしてはならないのだ。
「俺は……2人分を受け入れられる器では……」
「だが……あっちを見ろ」
「え……?」
京介が指差した方を見ると、カナと茜が話していた。その内容は……
「でね!お兄ちゃんってば!頭ボンボンしたんだよ?!信じられる!?抱き合った後に頭ボンボンって!そんなの好きになっちゃうじゃん!後さ……!」
「へぇ…私のことが好きって言った癖にカナちゃんともイチャイチャしてたんだ?しかも勘違いするような行動ばかり。こんなの好きなのでは?って勘違いしちゃうよ……カナちゃんは悪くないわ。悪いのは全部透くんよ」
「でしょ?茜先生分かってるぅ~!」
……2人が息投合してとても楽しそうに話している。これは……もしかすると、もしかしなくても……。
「透くん。どうかうちの娘、頼むよ」
そんな京介の言葉に透は頭を抱えた。
これは現実なのか?そう思う程には目の前の状況を信じられない自分が居る。
だってあまりにも都合が良すぎるから。こんなことはあり得ないと思っていた。だけど、これは紛れもなく現実で……。
「えっと、何で……?」
当たり障りのない言葉を紡ぐことしか出来ず、情けない気持ちになる。
だけど、茜はそんな透に対して笑みを浮かべた。
「私、やっぱりこのままじゃダメだと思いまして。それにとある人にも背中を押されたので」
「……とある人?」
そう聞き返すと茜はニッコリと笑う。どうやら、教えてくれる気はないらしい。
「そんなことより、私……カナちゃんのことを話したいです。いいですか?」
来た。心臓が鼓動を早めていくのがわかる。緊張で喉が渇く。
だが、ここで何も言わなければ男が廃る。だから透は覚悟を決めて茜を真剣な眼差しで見つめる。
「ああ……聞かせてくれ」
「分かったわ……」
深呼吸をしながら茜はゆっくりと語り始めた。
「まずは、どうして私がここにいるのか……という話なんですが、これは単純でカナちゃんのお父様が入れてくれたんです」
「あの人が……意外だな……」
石田京介という男は信用出来ない人物は家にあげることがなかった。つまり、茜はそれだけ信頼されているということだろう。
「それでですね、ここの応接室で待ってろ……と言われまして。待ってたら透くんが来たんですよね」
「あぁ……俺もびっくりしたよ」
まさか、このタイミングで会うとは思ってなかったし。
「それでね、私待ってる間、色々と考えてたんだ。透くんとカナちゃんのこと。最初聞いた時はビックリしたんだよ?カナちゃんのお父様からも春人くんのお父様からもこの二人が結婚する……としか聞いてなかったし。でも、最初はビックリしたけどあれって透くん予想してなかったよね?」
「まぁ……うん」
あの土壇場であんなことを言われるなんて誰が想像出来るだろうか。
「ふふっ、そうだよね。私も……ビックリしたんだよ?でも、それと同時に……黒いモヤモヤとした感情が生まれたんだ」
黒いモヤモヤ。透にもある感情だ。茜が自分以外の男と話すとき、透も同じような感覚を抱くことがある。それはきっと独占欲と呼ばれるものなんだろう。
「私、透くんのこと好きよ。好きでしょうがない……と思う」
その言葉を聞いた瞬間、思わずドキッとする。
「ねぇ、こんな私だけど、付き合ってくれる?私の彼氏になってくれますか?」
茜からの告白に透は心臓がはち切れそうな程の衝撃を受ける。ドクンドクンと大きく鼓動を繰り返す心臓の音が聞こえてくる気がした。
返事なんて決まりきっている。だから、後はただ伝えるだけ。
「俺もお前のことがす………「ちょっと待ったーーー!」
告白の返事を言いかけた時、突如として大きな声によって遮られる。一体誰の声だと驚いているとそこには息を切らしているカナと……
「カナ、走りすぎだ」
「だって!お父様が『早く行け』って言うからさ……!」
「残念。あともう少しだったのになぁ……」
茜が残念そうに呟くが、透にはこの状況がよく分からなかった。何故という言葉が頭を埋め尽くし、思考回路が完全にショートしていた。
そんな状態の透に対してカナは容赦なく言葉を透に向けた。
「私も好き!大好き!お兄ちゃんのこと!二番目でいいから愛して!いや、二番目とかじゃない!私が茜先生を追い抜いて一番になる!」
「ふふっ、カナちゃんは勢いが凄いわねー。私も負けないからね?」
「望むところです!茜先生!」
二人はそう言いながらお互いを見つめ合う光景。意味が分からない。どうしてこうなったのか全く理解出来ない透に京介が口を開く。
「二人分の愛を受け入れる器になってくれ」
「え……?き、京介さん?嘘ですよね?まさか浮気を推奨するとか言いませんよね!?」
二人分の愛を受け入れる器。俗に言う『ハーレム』というものだ。だが、それを推奨された透としてはたまったものではない。
『ハーレム』というのは物語のフィクションの中だけだから許されるものであり、現実では許されないことだ。
これがもし、物語の主人公なら、ハーレムでもなんでも受け入れたかもしれない。しかし、透は主人公ではないのだ。自分の身勝手な行動で、周りを振り回すようなことは絶対にしてはならないのだ。
「俺は……2人分を受け入れられる器では……」
「だが……あっちを見ろ」
「え……?」
京介が指差した方を見ると、カナと茜が話していた。その内容は……
「でね!お兄ちゃんってば!頭ボンボンしたんだよ?!信じられる!?抱き合った後に頭ボンボンって!そんなの好きになっちゃうじゃん!後さ……!」
「へぇ…私のことが好きって言った癖にカナちゃんともイチャイチャしてたんだ?しかも勘違いするような行動ばかり。こんなの好きなのでは?って勘違いしちゃうよ……カナちゃんは悪くないわ。悪いのは全部透くんよ」
「でしょ?茜先生分かってるぅ~!」
……2人が息投合してとても楽しそうに話している。これは……もしかすると、もしかしなくても……。
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