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『私と貴方の恋物語③』
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――レジャーシート、敷物、お弁当……と準備をして、クラウス様にエスコートされて裏庭に出る。
初夏の暖かな日差しが心地よい。
ゆっくりと深呼吸すると、クラウス様が私の手を引いて歩き出した。
アルもそれを真似し、マーヤの手を引く。その手を引かれて、緊張気味に、マーヤは私たちの後をついて歩く。
今日は、そんな四人のメンバーでピクニックだ。
「い、いいんでしょうか……ご家族の水入らずのところに……従者なんぞが……。あの、私やっぱり……」
「帰るだなんて駄目だぞ。マーヤ。」
「そうよ。マーヤ。一緒に遊びましょう?」
クラウス様の言葉に、私は頷く。マーヤはクラウス様の言葉に、頬を硬くし、頷いた。どんなに、マーヤが遠慮をしても、今日は帰すつもりはなかった。
何も私たちだって、マーヤを嫌がらせするために連れてきたわけではない。これはアルの為のピクニックだ。
アルはマーヤのことが好きなのだ。……それは恐らく、恋愛的な意味だと私は思っている。
時期当主になる息子とその従者。昔ならいけない恋、とでも言われるのだろうけど、最近は変わって来ている。貴族でも恋愛結婚は普通だしなぁ。
「お、お母様?どうされましたか?」
「ううん、何でもないわ」
私がマーヤとアルを微笑ましく見ていると、アルが不思議そうに私を見た。私はそれに、首を横に振って答える。
「……クラウス様」
「……わかってるよー。息子に華をもたせたいんだろ?」
流石、クラウス様。
私が、何を言いたいのかわかってくれたらしい。
私は小さく頷いた。そして、ちらりとマーヤを見る。マーヤは私たちのやり取りを見ていて、首を傾げているけど……
「アル、お父さんは疲れた。やっぱりピクニックは中止だ!中止!」
「あら。私も同じ気持ちですわ。」
「え、ええ!?」
側から見たらやばい亭主関白だが、私もそれに同調する。だってこれはアルの為のピクニックだ。
私たちは二人っきりにさせる義務があるし、クラウス様にも、その意図は伝わったようだ。
「とゆうことで!マーヤはアルを楽しませること。これ命令な」
「うん。お父様とお母様がそう言うのならしょうがいないよね。うん、本当にしょうがない」
嬉しさを隠しきれないのか、アルは必死に顔に喜びの色を出さないようにしている。
さぁ、行った行ったと私たちは二人を送り出した。もちろん、お弁当はマーヤに預けて私たちは去った。
「あの二人、付き合うのか?」
ヒソヒソと話すその姿は、まるで学生時代を思い出す。と言っても私はやってないし、周りの生徒たちが他の生徒たちをくっつけるのを眺めていただけだが。
あのときは何バカなことやっているんだろうか?と思ってバカにしていたけども、今私がやっていることはそれと同じだ。
きっとあの頃の私がいてこれを見たらきっと鼻で笑う出来事だ。……でも、アルの幸せを願うなら、これは必要なことだし、何より私が楽しいからいいのだ。
これが歳を取った、ということなのだろうか。だとしたら、それは……うーん。いいことなのか悪いことなのかいまいちよくわからない。でも、楽しいからいいのだろう。
だって、今とても楽しいのだから。
「さぁ。…私には、わかります。でも……あの子、割と本気ですわ。」
「だよなぁ。マーヤを見る目、ちょっとやばいもん」
そこはまぁ……うん。子は親が似てるっていうし。
きっと、これからマーヤはたくさん苦労するのだろう。いろいろと言われるだろうし、アルだって心変わりするかもしれない。
それでも……、
「アルがどんな選択肢を取ったとしても、私たちはアルの味方でしょう?クラウス様」
「もちろん」
そう言って私たちは笑い合った。
――これからどんな未来が来るのか。……それは分からない。でも、何があっても私たちはアルの味方だ。
そんな思いを胸に秘めながら、私はクラウス様と肩を抱き合って笑っていたのだった。
(完)
初夏の暖かな日差しが心地よい。
ゆっくりと深呼吸すると、クラウス様が私の手を引いて歩き出した。
アルもそれを真似し、マーヤの手を引く。その手を引かれて、緊張気味に、マーヤは私たちの後をついて歩く。
今日は、そんな四人のメンバーでピクニックだ。
「い、いいんでしょうか……ご家族の水入らずのところに……従者なんぞが……。あの、私やっぱり……」
「帰るだなんて駄目だぞ。マーヤ。」
「そうよ。マーヤ。一緒に遊びましょう?」
クラウス様の言葉に、私は頷く。マーヤはクラウス様の言葉に、頬を硬くし、頷いた。どんなに、マーヤが遠慮をしても、今日は帰すつもりはなかった。
何も私たちだって、マーヤを嫌がらせするために連れてきたわけではない。これはアルの為のピクニックだ。
アルはマーヤのことが好きなのだ。……それは恐らく、恋愛的な意味だと私は思っている。
時期当主になる息子とその従者。昔ならいけない恋、とでも言われるのだろうけど、最近は変わって来ている。貴族でも恋愛結婚は普通だしなぁ。
「お、お母様?どうされましたか?」
「ううん、何でもないわ」
私がマーヤとアルを微笑ましく見ていると、アルが不思議そうに私を見た。私はそれに、首を横に振って答える。
「……クラウス様」
「……わかってるよー。息子に華をもたせたいんだろ?」
流石、クラウス様。
私が、何を言いたいのかわかってくれたらしい。
私は小さく頷いた。そして、ちらりとマーヤを見る。マーヤは私たちのやり取りを見ていて、首を傾げているけど……
「アル、お父さんは疲れた。やっぱりピクニックは中止だ!中止!」
「あら。私も同じ気持ちですわ。」
「え、ええ!?」
側から見たらやばい亭主関白だが、私もそれに同調する。だってこれはアルの為のピクニックだ。
私たちは二人っきりにさせる義務があるし、クラウス様にも、その意図は伝わったようだ。
「とゆうことで!マーヤはアルを楽しませること。これ命令な」
「うん。お父様とお母様がそう言うのならしょうがいないよね。うん、本当にしょうがない」
嬉しさを隠しきれないのか、アルは必死に顔に喜びの色を出さないようにしている。
さぁ、行った行ったと私たちは二人を送り出した。もちろん、お弁当はマーヤに預けて私たちは去った。
「あの二人、付き合うのか?」
ヒソヒソと話すその姿は、まるで学生時代を思い出す。と言っても私はやってないし、周りの生徒たちが他の生徒たちをくっつけるのを眺めていただけだが。
あのときは何バカなことやっているんだろうか?と思ってバカにしていたけども、今私がやっていることはそれと同じだ。
きっとあの頃の私がいてこれを見たらきっと鼻で笑う出来事だ。……でも、アルの幸せを願うなら、これは必要なことだし、何より私が楽しいからいいのだ。
これが歳を取った、ということなのだろうか。だとしたら、それは……うーん。いいことなのか悪いことなのかいまいちよくわからない。でも、楽しいからいいのだろう。
だって、今とても楽しいのだから。
「さぁ。…私には、わかります。でも……あの子、割と本気ですわ。」
「だよなぁ。マーヤを見る目、ちょっとやばいもん」
そこはまぁ……うん。子は親が似てるっていうし。
きっと、これからマーヤはたくさん苦労するのだろう。いろいろと言われるだろうし、アルだって心変わりするかもしれない。
それでも……、
「アルがどんな選択肢を取ったとしても、私たちはアルの味方でしょう?クラウス様」
「もちろん」
そう言って私たちは笑い合った。
――これからどんな未来が来るのか。……それは分からない。でも、何があっても私たちはアルの味方だ。
そんな思いを胸に秘めながら、私はクラウス様と肩を抱き合って笑っていたのだった。
(完)
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