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『ジョン・オルコットの話④』

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そして更に、数日が経った。俺が自室のベッドに横たわり、天井を眺めていた頃。


「ジョン様」


ノックと共に、マークの部屋に入ってくる。俺はベッドから起き上がりながら返事をすると、マークは何やら真剣な顔つきでこちらを見ていた。


「……どうした?」


「あの、ジョン様。急ぎのご報告が……」


珍しく、マークの焦っている表情に俺は目を見開く。……だってマークのそんな表情、初めて見たし。一体どんな言葉が出てくるのかが全くわからず、戸惑うのは無理もない話だろう。
俺は何を言われるのかと、ドキドキしながらマークの言葉を待つ。するとマークは真剣な表情で、口を開く。


「………レオナルド様がまた新しい婚約者を連れてきました」


「…へぇ。そうなんだ。新しい婚約者
ねぇ……へぇ……え!?婚約者!?」


思わぬ返答にした事に数秒遅れて驚きの声をあげる。だって…兄に新しい婚約者?早くね?という思いといや、でも兄だしなぁ……という気持ち。それに兄ほどの女たらしであれば、こんなに早く婚約者を見つけていてもおかしくない……よなぁ。という気持ちがごっちゃになる。


「………しかも相手はエリー・エキソン。あのエキソン家の娘です」


「へ?あの有名な?」


エキソン家といえば、この国で知らない者は居ないほどの名家である。現当主、ロバート・エキソンは稀代の天才と呼ばれ、ありとあらゆる分野の知識に精通している。そのエキソン家の娘であるエリー・エキソンも名が通っている。


名が通っているのは数々のコンテストに優勝しているからでもあるし、彼女がとても美人だからだ。……そして性格も良く、誰にでも優しい。貴族らしからぬ性格の持ち主というのも有名なこと。


まぁ、貴族=性格が悪い、と思っている頭の硬い人がいるのも否めない事実ではあるが……


「正直、驚きました。……あのエキソン家の娘を攻略するとは……」


マークも驚きを隠せない様子だ。
…それは俺にも驚いた。だってエリー・エキソンも、性格は聖女のような女、というのは有名な話ではあるし。


同時に、ちょっと惚れた人には尽くす癖?があるとか……そんな噂もある。
……まぁ、尽くすこと自体は別に悪いことではないのだが……それがやりすぎ?というか……尽くす感が強い?というか。


ヤンデレ気質?みたいなのもあるらしい。……正直、俺にはよくわからないが……何故よくわからないのかは、会ってないからだ。


マリーさんと対面したときも思ったのだが、やはり人間は噂だけでは、推し量れないもの。実際に話してみないと、わからないことは多いのだ。最もマリーさんに関しては噂通りの人ではあったが。
それはさておき――。


「……後もう一つ、報告があります。……レオナルド様が国王候補から外されることが、決まりました」


「……へぇ。そう……って、え??」

これまた、突然のこと。正直新しい婚約者よりそっちの方が驚きだ。
だって兄が国王候補から外れるということは……誰がなるの?それを聞くと、マークは顔を俯かせて、言いにくそうにしながら咳払いをして、


「………大変言い難いのですが……ジョン様が国王候補で一番強くなりました」


先より明らかに戸惑っているように、そういったマーク。そして俺はと言うと……


「………は?」


その言葉を受け入れたくなくってただ、頭が混乱した。
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