【完結】婚約破棄されたから静かに過ごしたかったけど無理でした -番外編-

かんな

文字の大きさ
上 下
54 / 69

『馬鹿な俺の考え①』

しおりを挟む
――選べた人間と、言われたままに行動してきた人間。


どっちが優れ、そして必要とされるか――と聞かれたら。人は恐らく、前者を優秀だと答えるだろう。


そして俺――レオナルド・オルコットは、前者の人間だとそう思っていた。とゆうか。そう思っていたし、疑ったことだってなかった。


だから、人を見下してもいいと思っていた。王族で時期国王候補というだけで擦り寄ってくる奴らも。自分一人では何も出来ない婚約者もそして自分の後ろをついていくだけの弟も。何もかも見下していた。


弟に関しては、昔は可愛げがあったのだが……しかし、中学生にもなると、そういう可愛げも薄くなり、心の中で見下す存在に成り下がってしまった。


そして、見下していたからこそ、優しくできる。心の中でどれだけボロクソに言ってはいても、優しくするのは忘れなかった。


心に余裕があると、人は優しく出来るというのはあながち間違いではない。俺の心にも、そんな余裕が生まれてきたし。まぁ、心の中じゃ見下してたけど……


婚約者も、俺の周りにいる奴らも、そして弟も。皆、俺の背中を見てついていっている。
――それが快感だった。


△▼△▼


――調子に乗っていた時期もある。俺に敵うやつなんていないと。
今考えるとバカみたいである。しかし、その時は本気でそう思ってしまっていたのだ。


しかし、マリーという女に出会ってから俺の人生は大きく変わり始めた。
――マリー・アルメイダ。マリーは優しく、そして強かった。


マリーのことはこの俺ですら見下せない。それどころか、尊敬までしている。だって、その美貌に、行動力。俺はマリーに勝てるとこなんて1つも見つからなかった。


それに、俺に気があると思っていた。
俺の周りをチョロチョロと動くマリーを見ていたらそう思うのも無理はなかった。それに実際、俺が何かアクションを掛けたらあっちもその気だったし。


正に、俺とマリーは、相思相愛。そう、思っていた。実際、婚約者に婚約破棄をされた時も、マリーの為にと、そう思っていたし、マリーも嬉しがってくれた。


そう思っていた。
しかし、マリーの性格は一変。束縛し、俺の行動を制限するようになった。
最初は嬉しかった。しかし、次第に俺は窮屈さを感じ始めた。そして、マリーの束縛が鬱陶しくなっていた。


そしてそんな中で出会ったのはエリー。エリーは美しく、気高い女性だった。そして初めて出会ったときのマリーと同じく、俺を束縛することもなかった。
俺はマリーの束縛から解放されたかったし、エリーと一緒になりたかった。


が、最初は束縛しなかったのはマリーも同じ。故に、彼女も付き合ったら束縛をするのでは、と俺はそう思っていた。しかし、付き合ってもエリーは俺の束縛をしないし、俺の行動を制限することもなかった。


だから、俺はマリーを婚約破棄しよう……と思ったところで、


「よぉ。レオナルド様よ」


クラウス・ファンタナーに呼び出されたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います

榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。 なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね? 【ご報告】 書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m 発売日等は現在調整中です。

この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~

柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。 家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。 そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。 というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。 けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。 そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。 ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。 それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。 そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。 一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。 これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。 他サイトでも掲載中。

【番外編】貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。

譚音アルン
ファンタジー
『貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。』の番外編です。 本編にくっつけるとスクロールが大変そうなので別にしました。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

猫令嬢の婚約破棄 後日譚。

たまご
ファンタジー
 婚約破棄の後、エリス=バーガンディは家族と共に領地へと戻っていた。  そこで、語られた事とは。  「猫令嬢の婚約破棄。」のその後の話になります。  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんにも掲載しています。

処理中です...