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『屑で馬鹿な貴方へ送る言葉』
しおりを挟むザマァ系みたいなタイトルですが別にザマァ系の話ではありません。
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――もう引き返すことなんて出来ない。
そう覚悟した。
「………私、レオナルド殿下のことが好きです」
どんなに、世間的には、クズな男だと罵られても。どんなに私が世界一大嫌いな嘘をつかれても。
どうしようもないくらい、私はレオナルド殿下のことが好きになってしまった。
趣味の悪いことなんて自覚している。それでも、どうしようもないくらい、好きになってしまった。
こんな嘘だらけの人なのに。側から見たら私は、やばい人だと言われてもしょうがないくらい、私はレオナルド殿下を好きになってしまった。
でも、燃え広がる恋を止められない。
レオナルド殿下と過ごした日々は、私にとってかけがえのないもので。
レオナルド殿下の笑顔が、私の胸を高鳴らせる。
こんな気持ちになるのは生まれて初めてだった。
「………俺も、君のことが好きだよ」
レオナルド殿下は、そう言って私の頭を優しく撫でてくれた。嘘つきだらけの手なのに、その体温に私は、どうしようもなく胸を高鳴らせる。
本当に、どうしようもないくらいに、レオナルド殿下のことが好きになってしまった。
大嫌いになりたいのに、どうしてもそう思えない。
どうかしているって頭では分かっているけれど、この気持ちを止めることができない。
だから、もう……どうしようもない。
私は、レオナルド殿下が本当のことを言うまで、この恋を続けることを決めた。
私は、レオナルド殿下の嘘を全部知っても、レオナルド殿下のことが好きでい続けるって決めた。
「好きです。大好きです」
他の女になんか渡さない。レオナルド殿下に、私以外の人を触れさせたくない。
他の女の色に染まるレオナルド殿下なんて、見たくない。
だから、私――エリー・レキソンしか見れないようにする。つまり、レオナルド殿下を私……エリー色に染める。私の色に染まったレオナルド殿下が見たい。
私以外の人を考えられないくらい、レオナルド殿下の全部を私で埋め尽くしたい。
他の誰にもあげない。
この恋は、絶対に譲らない。
「……マリーも、カトリーヌも。俺の運命の人じゃなかった」
レオナルド殿下は、ポツリとそう言った。レオナルド殿下は、私以外の運命の人がいないと言ってくれた。
私は、それが嬉しくて、思わず笑みがこぼれる。
「ふふ……レオナルド殿下は酷い人ですわ。でも、そんなところも好きです」
他の女の名前を私の前に出すなんて、本来なら、嫉妬するし、嫌な気持ちになるのに。でも、何故だろう。今だけは、レオナルド殿下に他の女の名前を出されても嫌な気持ちにはならなかった。
むしろ、マリーやカトリーヌよりも私の方が上なんだと思って、嬉しくなった。
「でも、エリーと出会って分かった。俺の運命の相手なんだって……!」
嬉しそうにそう言ったレオナルド殿下。私は、レオナルド殿下の運命の相手。
ああ……なんて幸せなんだろう。
私は、思わず笑みが零し、
「私もレオナルド殿下……いえ、旦那様が運命の人です!」
と言って、レオナルド殿下を抱きしめた。もう結婚するのは決まっているし、旦那様って呼ばないとなと思って、レオナルド殿下をそう呼んだ。
レオナルド殿下は、嬉しそうに笑って私を抱きしめ返してくれた。
ああ……本当に幸せだな。
私は、そんな幸せを噛み締めながら、そのまま目を閉じたのだった。
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