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『マリー・アルメイダのその後の話⑥』

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――振られた。私は、クリストフくんに振られたのだ。


「友達として……なんて」


そんなのでは、意味はない。クリストフくんは好きにさせなかったら、私に存在価値などはない。


「振られた……」


こんな屈辱は、ジール様以来である。失恋という屈辱を二度もされた。悔しい。


「もう……最悪!」


マリー・アルメイダは誰もが虜になる女だった筈なのに。こんなのでは駄目だ。私は……。


「こんなの、会うのが気まずくなるんじゃないの……!最悪!」


ドンっ!と。机に拳をぶつける。八つ当たりなのは、分かっているが八つ当たりしなかったらやってられない、とは正にこのことである。


「……クリストフくん」


顔を赤らめて、彼を思う。振られた相手を思い浮かべるのなんて滑稽だとは思う。でも、しょうがないじゃないか。


だって、初めて――では、ないけど、二度目の本気の恋だったし。


「……友達じゃ意味がないのに」


恋人になりたい。彼と一緒に笑い合って、抱き合って、キスをして。その先だって。
……彼にならいいと思えた。彼が欲しいと思った。
でも、クリストフくんはそうは思っていなかったみたいだ。私のことなんて、友達としてしかみてくれてなかった。
こんなに、私はあなたのことを思っているのに。


「酷い。酷いわ。酷い!」


何が酷いのか。自分のことなのに、分からない。
分かるのは、私は彼が欲しいということ。でも、彼はもう私を見てくれないだろうということ。
失恋なんて、初めてした。恋をして振られたことなんてなかった。
こんなにも辛いのなら、恋なんてしない方がいいのではないだろうか。


でも、クリストフくんへの想いは抑えられない。彼が欲しい。もっともっと彼で頭の中を満たしたい。
だから、私は決めたのだ。


△▼△▼


私は、もう止められなかった。クリストフくんに振られたと思っていたけども、よくよく考えたら――。


「友達として好きだというのなら……まだ遅くない。まだ、可能性は残っているわ。……だから」


諦めない。彼を諦めるなんてこと、私には出来ないのだから。だって、まだ私は彼に恋をしている。
恋は盲目とは言うけれども、本当にその通りだと思う。クリストフくんしか見えない。彼しかいらない。彼を好きでいたい。
なら、やるべき事は一つしかない。私は彼に振り向いて貰えるように頑張るのだ。


故に――。


「クリストフくん!」


もう、戻れない。私――マリー・アルメイダは恋に堕ちてしまった。もう、彼を諦められない。


「あ、あの……マリーさん、近くない?ちょっと……」


クリストフくんは私に抱きつかれて、顔を赤くしている。自分で言うのもなんだけど私は、胸がでかい。自慢ではないが、Dカップだ。


美貌もそうだが、この胸も武器に成り得る。使えるものはとことん利用していくのは間違ってはいない。男なんて、所詮胸だ。胸で落とせる。
クリストフくんは、私の胸を押し付けられて、顔を赤くしている。
ふふ、と私は笑うのを堪えながら、クリストフくんに言う。
この恋は――絶対に諦めない。
私はそう決めたのだった……
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