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『マリー・アルメイダのその後の話⑤』

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――結果として。加護は本当だった。
……水避けの加護というのはクリストフくんの周りが水で覆われないようにする加護だった。


そして触れた相手も、濡れないというよく解らない加護だが、水難事故にあっても、溺れないという加護と水圧で死ぬことがない……こと?


……そう考えると、役に立っている……と言えなくもないのかしら……? そして、クリストフくんはとても泳ぎが上手だった。私が息継ぎで水面に顔を出すと、私が溺れないように近付きながらでも、すいすいと泳いでいた。


多分、水に愛されているのだろう。……羨ましい、とは思うが、そもそも溺れることがないというのは羨ましい。
私は泳ぎは得意ではないから。


「…はーー。疲れたわ……そろそろ帰ろっか?マリーさん」


クリストフくんの声に私はハッとする。……確かに、もう太陽は傾き始めていた。……そういえば泳ぎとかで忘れていたけど……


「(私告白しに来たんだった!)」


クリストフくんに告白しに来たのにそれを忘れるとか何やってるのよ!私!と、私が一人で恥ずかしくなっていると、クリストフくんが不思議そうな顔をしている。


「ど、どうしたの?クリストフくん」


「……なんか、顔赤いけど大丈夫?」


その言葉に私はますます恥ずかしくなって、顔が赤くなる。……だが、ここまで来て告白しないのは女が廃るし、それに何より――。


「(ここで告白しなかったらここに来た意味がなくなる!)」


そう、そこが問題である。告白するぞ、と意気込んでいたのにクリストフくんの加護とかで忘れてしまっていた。……本当に、何やってるのよ私! でも、やるしかない。私は一度目をぎゅっと瞑ると、目を開いた。


「クリストフくん!」


「わ!びっくりした!どうしたの?」


私が急に大きな声を出したせいだろう。クリストフくんが驚いている。でも、そんなこと気にかけてる余裕は今の私にはない。
……だから、私は胸に手を当てて、一度大きく息を吸う。
そして、その勢いのまま言葉を続けた。


「私、あなたの事が好きなの!」


言った。言ってしまった。もう引き返せない。これで、振られたとしても。私は後悔はしない。
クリストフくんがどんな反応を示すのか。私は身構えながら待った。……だが、いつまで経っても何も起こらない。
不思議に思った私は恐る恐る目を開けて――。


「………え?」


呆然と。驚いたように目を見開くクリストフくんと目が合う。
…怖い。何を言われるんだろう……?


「……えーと。俺も、マリーさんのこと、好き、だよ?......友達としてだけど……」

「あ……」


その時点で。私の心が崩れていくのを感じた。
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