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『マリー・アルメイダのその後の話③』
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――今彼は付き合って欲しい、と私に言った。
その発言に、私は一瞬意識が飛びそうになった。頭が真っ白になり、何も考えられなくなった。
だけども、すぐにそれは正気に戻り、私は首を左右に振った。
「え?あ……やっぱりダメ?」
正気を取り戻すと、クリストフくんは悲しげな表情をしていた。……どうやら、断われたと勘違いしているらしい。
私は慌ててこう言った。
「い、いえ!ダメではありませんわ!ただ、その……急に言われて驚いただけです!そ、それで……私に何をお望みなんですの?」
――自分は何を言っているのだろう。本当なら否定するべきの言葉だったのに。結局、プライドを言い訳にして、私は彼の告白を受けてしまった。
私の返答に、クリストフくんは嬉しそうに微笑むと、私の手を握りしめた。
そして、こう言ってきた。
「嬉しい!じゃあ、行きましょう!マリーさん!」
そう言って、彼は私の手を繋ぎ、走り出した。
△▼△▼
私は、彼に手を引かれて、走った。
何処に連れて行かれるのかは分からないが、私は大人しく彼に従って付いていく。
――何を言われるのだろうか。彼は一体、私を何処に連れて行くつもりなのだろうか。分からない。
「……っと。ここなんだけど」
ついた場所は、カフェだった。オシャレな外観をしており、テラス席ではカップルが仲良く食事をしている。
そして、店内には落ち着いた雰囲気の音楽が流れている。
ここのカフェは貴族御用達の場所であり、とてもお高いところだ。……まぁ、別に庶民でも入れるが、それなりに料金が高く、気軽に入れるものではない。
……だが、クリストフくんはなんの躊躇いもなく店内に入って行く。
「あ、あの……私そんなにお金持っていませんわよ?」
「あぁ、大丈夫です!俺が奢りますから!」
奢る――と、簡単そうに彼は言うが、ここの料金はとても高い。庶民では絶対に手が届かない値段なのだ。
……本当に大丈夫なのだろうか?私が心配していると、クリストフくんは、
「何か食べたいものはありますか?」
と、聞いてきた。どうやら彼は奢ってくれる気満々らしい。私は少し考えた後、メニュー表からコーヒーとケーキのセットを選んだ。このセットが一番安いし。
「え?もっと高いのでも良いんですよ?」
「いいえ。私はこれが良いの」
遠慮するな、と言ってくる彼に、私は微笑みながらそう言った。これがレオナルド殿下やジール様やクラウスだったら全く遠慮なんてしないが、クリストフくんは庶民。流石の私も遠慮はするというものを覚えているし。
――しばらくして、注文したものが運ばれてきた。
私の前にコーヒーとケーキが置かれ、クリストフくんの前にはコーヒーとサンドウィッチが置かれた。
私は一口コーヒーを啜る。……独特の苦味が口いっぱいに広がり、私は思わず顔をしかめながら、さりげなく、砂糖とミルクを入れながら、
「そ、そういえば……今日は何で私を誘ってくれたの?あ、その……嫌ってわけじゃないのよ?」
と言った。すると、クリストフくんは少し照れた様子で、
「んー、特に理由はないけど……。ただ、今日はボーナスが入ったんだ。だからパァーッとやろうかなーって。二年ぐらい貯めてて……両親からもそろそろ自分のために使え、って言われていたし……」
と、言ってきた。……なるほど。だからここのカフェに来たのか。確かにここは庶民の人たちは自分へのご褒美として訪れることが多いから、彼も自分へのご褒美として来たのか……それは分かるのだが……。
「何で、私なの?」
そう。私はそこが疑問だった。どうして私が誘われたのか……自分のご褒美として、ここに来るのは分かる。でも、どうして私を誘ったのだろう。一人の方が色々と沢山食べれてお得なのに。
……そう思っていると、クリストフくんは、コーヒーを一口飲むと、こう言った。
「うーん。何でだろうなぁ。…頭の中に思い浮かんだのがマリーさんだったんだよね。何でだろうなぁ……」
――何でこの人は、こういうことを素で言ってしまうのだろうか。
私は、思わず顔が赤くなるのを感じ、慌ててコーヒーを飲む。……甘い。ミルクと砂糖なんて入れなかったら良かった。
「そ、そう……」
むず痒くなる。クリストフくんは、無自覚でこういうことを言ってくるから、困る。
……少し間を置いて、私は落ち着きを取り戻した後、クリストフくんに言う。
「隣にいてほしい……って思ったんだ。変だよね?会ってそんな間もないのに」
そう言ってえへへ!と彼は笑った。
……クリストフくんは、どうやら本気で言っているらしい。私は、そんな様子の彼に、クスリと微笑み返す。
――恋の音が確かに聞こえた。
その発言に、私は一瞬意識が飛びそうになった。頭が真っ白になり、何も考えられなくなった。
だけども、すぐにそれは正気に戻り、私は首を左右に振った。
「え?あ……やっぱりダメ?」
正気を取り戻すと、クリストフくんは悲しげな表情をしていた。……どうやら、断われたと勘違いしているらしい。
私は慌ててこう言った。
「い、いえ!ダメではありませんわ!ただ、その……急に言われて驚いただけです!そ、それで……私に何をお望みなんですの?」
――自分は何を言っているのだろう。本当なら否定するべきの言葉だったのに。結局、プライドを言い訳にして、私は彼の告白を受けてしまった。
私の返答に、クリストフくんは嬉しそうに微笑むと、私の手を握りしめた。
そして、こう言ってきた。
「嬉しい!じゃあ、行きましょう!マリーさん!」
そう言って、彼は私の手を繋ぎ、走り出した。
△▼△▼
私は、彼に手を引かれて、走った。
何処に連れて行かれるのかは分からないが、私は大人しく彼に従って付いていく。
――何を言われるのだろうか。彼は一体、私を何処に連れて行くつもりなのだろうか。分からない。
「……っと。ここなんだけど」
ついた場所は、カフェだった。オシャレな外観をしており、テラス席ではカップルが仲良く食事をしている。
そして、店内には落ち着いた雰囲気の音楽が流れている。
ここのカフェは貴族御用達の場所であり、とてもお高いところだ。……まぁ、別に庶民でも入れるが、それなりに料金が高く、気軽に入れるものではない。
……だが、クリストフくんはなんの躊躇いもなく店内に入って行く。
「あ、あの……私そんなにお金持っていませんわよ?」
「あぁ、大丈夫です!俺が奢りますから!」
奢る――と、簡単そうに彼は言うが、ここの料金はとても高い。庶民では絶対に手が届かない値段なのだ。
……本当に大丈夫なのだろうか?私が心配していると、クリストフくんは、
「何か食べたいものはありますか?」
と、聞いてきた。どうやら彼は奢ってくれる気満々らしい。私は少し考えた後、メニュー表からコーヒーとケーキのセットを選んだ。このセットが一番安いし。
「え?もっと高いのでも良いんですよ?」
「いいえ。私はこれが良いの」
遠慮するな、と言ってくる彼に、私は微笑みながらそう言った。これがレオナルド殿下やジール様やクラウスだったら全く遠慮なんてしないが、クリストフくんは庶民。流石の私も遠慮はするというものを覚えているし。
――しばらくして、注文したものが運ばれてきた。
私の前にコーヒーとケーキが置かれ、クリストフくんの前にはコーヒーとサンドウィッチが置かれた。
私は一口コーヒーを啜る。……独特の苦味が口いっぱいに広がり、私は思わず顔をしかめながら、さりげなく、砂糖とミルクを入れながら、
「そ、そういえば……今日は何で私を誘ってくれたの?あ、その……嫌ってわけじゃないのよ?」
と言った。すると、クリストフくんは少し照れた様子で、
「んー、特に理由はないけど……。ただ、今日はボーナスが入ったんだ。だからパァーッとやろうかなーって。二年ぐらい貯めてて……両親からもそろそろ自分のために使え、って言われていたし……」
と、言ってきた。……なるほど。だからここのカフェに来たのか。確かにここは庶民の人たちは自分へのご褒美として訪れることが多いから、彼も自分へのご褒美として来たのか……それは分かるのだが……。
「何で、私なの?」
そう。私はそこが疑問だった。どうして私が誘われたのか……自分のご褒美として、ここに来るのは分かる。でも、どうして私を誘ったのだろう。一人の方が色々と沢山食べれてお得なのに。
……そう思っていると、クリストフくんは、コーヒーを一口飲むと、こう言った。
「うーん。何でだろうなぁ。…頭の中に思い浮かんだのがマリーさんだったんだよね。何でだろうなぁ……」
――何でこの人は、こういうことを素で言ってしまうのだろうか。
私は、思わず顔が赤くなるのを感じ、慌ててコーヒーを飲む。……甘い。ミルクと砂糖なんて入れなかったら良かった。
「そ、そう……」
むず痒くなる。クリストフくんは、無自覚でこういうことを言ってくるから、困る。
……少し間を置いて、私は落ち着きを取り戻した後、クリストフくんに言う。
「隣にいてほしい……って思ったんだ。変だよね?会ってそんな間もないのに」
そう言ってえへへ!と彼は笑った。
……クリストフくんは、どうやら本気で言っているらしい。私は、そんな様子の彼に、クスリと微笑み返す。
――恋の音が確かに聞こえた。
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