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『マリー・アルメイダのその後の話②』
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あの男の名前は、クリストフ・メルティルと言った。ショタっぽい顔をして、実は20歳だそうだ。何でそんなことを知っているのかというと、ぶつかった後、私が彼を誘ったからだ。
私が彼を誘った理由は一つ。彼に一目惚れしたからだった。
私は惚れっぽい性格なのだと、今回の件で自覚した。でも、しょうがないじゃないか。あんな可愛い男の子、初めて見たんだもん。
惚れない方がおかしいと思う。しかも彼、レオナルド殿下とジール様とは違うタイプのイケメンだし。
……ただひとつの懸念事項。それは彼が貴族ではなく、庶民であることだ。
この国は貴族が支配階級にいる。つまり、庶民は貴族に虐げられ、蔑まされる立場なのだ。
特に、酷い扱いを受ける庶民は奴隷のような扱いを受けることも珍しくない。
まぁ、今はそんなことはないし。今はレオナルド様ではなく、ジョン様が国を治めているから。
だから、貴族が庶民を蔑ろにすることは少なくなっていると思う。だが、そんなことは関係ない。相手が庶民、ということが私の問題。
庶民相手に恋なんて、私のプライドが許さない。いや、だって私は令嬢なのよ?令嬢から庶民に成り下がったとはいえ。
貴族だった私が庶民に恋をするなんて、あってはならないこと。
だけども、彼を見ると。彼のことを思い出すと、胸が高鳴ってしまう。
また彼に、会いたいと思ってしまう。
その感情が恋だと気付いているが、知らないフリをするしかない。
私は公爵家の娘。庶民に恋をすることなど許されない。
落ちぶれた今も。私は、貴族の誇りを忘れないようにしなければならない。両親に捨てられても、私は貴族の娘。
そのプライドだけは、捨てる訳にはいかないのだ。
それに、庶民と恋なんてしたら両親を見返すことなんて到底無理な話。両親をバカにできない上に逆にこっちがバカにされる。そんな屈辱は、耐えられない。
だから、彼のことは忘れることにしよう。きっとそれが最善なのだ。
だというのに、忘れようとするほど頭の片隅から彼が消えなくなる。
そして、彼を忘れようと決意する度、彼に会いたいと思ってしまうのだ。
もうどうしたらいいのよ!! ……でも、これが恋だということは何となく分かっていた。しかし、認めたら負け。
そう、恋を認めてしまったら、庶民に惚れてしまったという屈辱を味わうことになる。そんなのは死んでも嫌だ!! だから私は、この恋を認めてはいけないのだ。
「はぁ…どうしたものかしら……」
「何が?」
独り言を呟くと、後ろから返答があった。びっくりして後ろを振り向くと、そこには――。
「クリストフくん!?」
「こんにちは、マリーさん」
彼がいた。小首を傾げ、私を見るクリストフくん。…本当庶民という点を除けば、可愛い顔してるよね。スペックは申し分ないのに本当に庶民ってだけで勿体ない。
庶民、ということを思い出して私はため息を吐く。
すると彼は、心配そうに私を見た。
「大丈夫ですか……?何か悩み事でも……?」
不安そうな彼の瞳に、私は胸がキュンとした。
……ってダメダメ!惚れちゃダメよ私! 自分に言い聞かせ、私は彼に微笑みかける。
すると彼は安心したようにホッと息を吐き、
「い、いえ。大丈夫ですわ。ご心配をおかけしてすみません」
思わず、敬語で話しかけてしまった。だって、つい敬語で話しちゃったんだもん!仕方ないよね!? 彼はキョトンとした顔で私を見る。そして、嬉しそうに笑った。
その笑顔にまたキュンとするが、それを何とか押さえ込む。
そんな私の心情など知らない彼が口を開いた。
「あのね。マリーさん。ちょっと付き合ってもらえない?」
「………え?」
突然のことに、私は間抜けな声を出してしまった。
私が彼を誘った理由は一つ。彼に一目惚れしたからだった。
私は惚れっぽい性格なのだと、今回の件で自覚した。でも、しょうがないじゃないか。あんな可愛い男の子、初めて見たんだもん。
惚れない方がおかしいと思う。しかも彼、レオナルド殿下とジール様とは違うタイプのイケメンだし。
……ただひとつの懸念事項。それは彼が貴族ではなく、庶民であることだ。
この国は貴族が支配階級にいる。つまり、庶民は貴族に虐げられ、蔑まされる立場なのだ。
特に、酷い扱いを受ける庶民は奴隷のような扱いを受けることも珍しくない。
まぁ、今はそんなことはないし。今はレオナルド様ではなく、ジョン様が国を治めているから。
だから、貴族が庶民を蔑ろにすることは少なくなっていると思う。だが、そんなことは関係ない。相手が庶民、ということが私の問題。
庶民相手に恋なんて、私のプライドが許さない。いや、だって私は令嬢なのよ?令嬢から庶民に成り下がったとはいえ。
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だけども、彼を見ると。彼のことを思い出すと、胸が高鳴ってしまう。
また彼に、会いたいと思ってしまう。
その感情が恋だと気付いているが、知らないフリをするしかない。
私は公爵家の娘。庶民に恋をすることなど許されない。
落ちぶれた今も。私は、貴族の誇りを忘れないようにしなければならない。両親に捨てられても、私は貴族の娘。
そのプライドだけは、捨てる訳にはいかないのだ。
それに、庶民と恋なんてしたら両親を見返すことなんて到底無理な話。両親をバカにできない上に逆にこっちがバカにされる。そんな屈辱は、耐えられない。
だから、彼のことは忘れることにしよう。きっとそれが最善なのだ。
だというのに、忘れようとするほど頭の片隅から彼が消えなくなる。
そして、彼を忘れようと決意する度、彼に会いたいと思ってしまうのだ。
もうどうしたらいいのよ!! ……でも、これが恋だということは何となく分かっていた。しかし、認めたら負け。
そう、恋を認めてしまったら、庶民に惚れてしまったという屈辱を味わうことになる。そんなのは死んでも嫌だ!! だから私は、この恋を認めてはいけないのだ。
「はぁ…どうしたものかしら……」
「何が?」
独り言を呟くと、後ろから返答があった。びっくりして後ろを振り向くと、そこには――。
「クリストフくん!?」
「こんにちは、マリーさん」
彼がいた。小首を傾げ、私を見るクリストフくん。…本当庶民という点を除けば、可愛い顔してるよね。スペックは申し分ないのに本当に庶民ってだけで勿体ない。
庶民、ということを思い出して私はため息を吐く。
すると彼は、心配そうに私を見た。
「大丈夫ですか……?何か悩み事でも……?」
不安そうな彼の瞳に、私は胸がキュンとした。
……ってダメダメ!惚れちゃダメよ私! 自分に言い聞かせ、私は彼に微笑みかける。
すると彼は安心したようにホッと息を吐き、
「い、いえ。大丈夫ですわ。ご心配をおかけしてすみません」
思わず、敬語で話しかけてしまった。だって、つい敬語で話しちゃったんだもん!仕方ないよね!? 彼はキョトンとした顔で私を見る。そして、嬉しそうに笑った。
その笑顔にまたキュンとするが、それを何とか押さえ込む。
そんな私の心情など知らない彼が口を開いた。
「あのね。マリーさん。ちょっと付き合ってもらえない?」
「………え?」
突然のことに、私は間抜けな声を出してしまった。
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