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『エリー・エキソンの話④』
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浮気なんて絶対許せないことだ。至極最低な行為である。本来なら引っ叩き、罵詈雑言の限りを尽くしてやるべきなのだ。しかし、私はそれが出来なかった。
それほどまでにレオナルド様のことが好きになっていたのだ。
どうして?と聞かれれば分からない。一番嫌いなタイプで、絶対に好きになるはずがないと断言できるほど最低なタイプなのに。どうして……?
「………お嬢様、大丈夫でございますか?」
セバスの声にハッとする。私は一体どれだけの時間黙っていたのだろう。セバスの声で我に返った。
セバスは心配そうな表情で私のことを見つめていたが、
「……お嬢様がどんな判断をしようと、私はそれに従うだけですし、協力も惜しみません。ですが、後悔だけはしないようにしてください」
忠告とも取れるような彼の言葉に私の中で迷いが生じていく。天秤の針が揺れ、私の心はかき乱されていく。浮気を責めるべきなのか、それともレオナルド様のことを許すべきなのか。
浮気をしたレオナルド様を罵ってやりたい気持ちもあれば、私を騙していたとはいえ好きになってしまったという複雑な感情もある。
「……あら?エリー?どうしたの、こんなところで」
レオナルド様のこと、浮気のこと、色々なことが頭から離れずにいると聞き覚えがある声が耳に入った。声がした方に顔を向けるとそこには――。
「………アリシア。貴女こそどうしたの?」
アリシア・ベルナール。侯爵家の令嬢であり、私の数少ない友人。そして彼女もまた婚約破棄された令嬢でもある。最近、婚約破棄されている仲間でもある。
最近、婚約破棄されている令嬢が何故か多い気がするけど、きっと気のせいだろう。……多分。
そんなことを考えていると、彼女は不思議そうに首を傾げながら、
「……ええ。実はさっきまでシエル様とお話をしていたの……」
ふぅ、とため息を吐きながら頬に手を当てた。その様子から察するにどうやら上手くいかなかったらしい。シエル・クラーク。アリシアが婚約破棄した当日に新しい婚約者となった男だ。
早くね?と思ったけども、本人たちが納得しているのならば別にいいのか、とそう思った。それにしても婚約破棄されてすぐに別の男性と婚約を結ぶとは……。
まぁ、本人がそれで良いと言っているのだから私が口出しすることではないけれど。
「そ、そうなの……」
「ええ。でも、クラーク様のことよくわからないわ……」
「……婚約して一週間でしょう?しかもまともに話したことがないんだもの。そりゃあ分からなくて当然じゃないの?」
私がそう言うと、アリシアはそれでも、と言いながら困ったようにこう言った。
「それはそうなんだけど……!なんというか、掴みどころがない人というか……。何を考えているか全く読めないっていうか……とにかく変な感じなのよ!」
シエル様とは話したこともないのでよく分からないから勝手なイメージだけど、冷めた目だとか、淡々としている感じとか、そういうイメージがある。いつも面白いものを欲しているような人だと勝手ながら思っている。
「そうなんだ……大変ね」
他人事とは分かりつつもそう口にせずにはいられなかった。
だが、アリシアはそんな私の心情など知らず、そうなのよ!と相槌を打ってくる。
しかし、その目は何故かキラキラと輝いている。
……これってもしかして自虐風自慢ですか?……なんてことを言えるはずもなく、私はただアリシアの話に相槌を打つしか出来なかった。
それほどまでにレオナルド様のことが好きになっていたのだ。
どうして?と聞かれれば分からない。一番嫌いなタイプで、絶対に好きになるはずがないと断言できるほど最低なタイプなのに。どうして……?
「………お嬢様、大丈夫でございますか?」
セバスの声にハッとする。私は一体どれだけの時間黙っていたのだろう。セバスの声で我に返った。
セバスは心配そうな表情で私のことを見つめていたが、
「……お嬢様がどんな判断をしようと、私はそれに従うだけですし、協力も惜しみません。ですが、後悔だけはしないようにしてください」
忠告とも取れるような彼の言葉に私の中で迷いが生じていく。天秤の針が揺れ、私の心はかき乱されていく。浮気を責めるべきなのか、それともレオナルド様のことを許すべきなのか。
浮気をしたレオナルド様を罵ってやりたい気持ちもあれば、私を騙していたとはいえ好きになってしまったという複雑な感情もある。
「……あら?エリー?どうしたの、こんなところで」
レオナルド様のこと、浮気のこと、色々なことが頭から離れずにいると聞き覚えがある声が耳に入った。声がした方に顔を向けるとそこには――。
「………アリシア。貴女こそどうしたの?」
アリシア・ベルナール。侯爵家の令嬢であり、私の数少ない友人。そして彼女もまた婚約破棄された令嬢でもある。最近、婚約破棄されている仲間でもある。
最近、婚約破棄されている令嬢が何故か多い気がするけど、きっと気のせいだろう。……多分。
そんなことを考えていると、彼女は不思議そうに首を傾げながら、
「……ええ。実はさっきまでシエル様とお話をしていたの……」
ふぅ、とため息を吐きながら頬に手を当てた。その様子から察するにどうやら上手くいかなかったらしい。シエル・クラーク。アリシアが婚約破棄した当日に新しい婚約者となった男だ。
早くね?と思ったけども、本人たちが納得しているのならば別にいいのか、とそう思った。それにしても婚約破棄されてすぐに別の男性と婚約を結ぶとは……。
まぁ、本人がそれで良いと言っているのだから私が口出しすることではないけれど。
「そ、そうなの……」
「ええ。でも、クラーク様のことよくわからないわ……」
「……婚約して一週間でしょう?しかもまともに話したことがないんだもの。そりゃあ分からなくて当然じゃないの?」
私がそう言うと、アリシアはそれでも、と言いながら困ったようにこう言った。
「それはそうなんだけど……!なんというか、掴みどころがない人というか……。何を考えているか全く読めないっていうか……とにかく変な感じなのよ!」
シエル様とは話したこともないのでよく分からないから勝手なイメージだけど、冷めた目だとか、淡々としている感じとか、そういうイメージがある。いつも面白いものを欲しているような人だと勝手ながら思っている。
「そうなんだ……大変ね」
他人事とは分かりつつもそう口にせずにはいられなかった。
だが、アリシアはそんな私の心情など知らず、そうなのよ!と相槌を打ってくる。
しかし、その目は何故かキラキラと輝いている。
……これってもしかして自虐風自慢ですか?……なんてことを言えるはずもなく、私はただアリシアの話に相槌を打つしか出来なかった。
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