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十三話 『おでかけ』
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――どうしてこんなにも諦めの悪いのだろう。私はそう思いながら、拓海くんの告白からの帰り道を歩いていた。頭の中はそればかりで埋め尽くされている。どうしてこんなにも、私が好きなのだろう。
私には、自分の魅力は分からない。こんな何処にでもあるような顔が、拓海くんと佐藤先輩が私を好きになる理由だなんて思えない。波乱のモテ人生にもほどがある。
そんなことを考えていると、いつの間にか家に着いていた。扉を開けて家に入ると勢いよくへたれこんだ。……疲れたなぁ……と、思っているとプルプルと電話が鳴る音がした。
「……菜乃花か?」
と、思いながらスマホを見るとそこには……
「え……」
と、思わず声が出た。そこには佐藤先輩でもなく、拓海くんでもない。しかし、私にとって――。
「………」
私は無言で私は電話を取った――。
△▼△▼
時刻は既に十時を過ぎている。待ち合わせ時間は十時。所謂、遅刻である。
「(遅い!)」
私はイライラしながら待っていた。すると、目の前から見覚えのある姿が見えた。彼女はヘラヘラと笑いながら、
「ごめんー、遅れちゃった!」
と言ってきた。その姿を見て私はため息をつく。久しぶりなのに相変わらず軽く謝ってくる彼女に呆れつつ、遅れた理由を聞くことにした。
「で?五分も遅れた言い訳は?」
「固いわね。五分ぐらい良いじゃない」
ヘラヘラとした態度でそう言う彼女。この姿を見たら、誰もが彼女を怒る気が失せると思う。それほどまでに彼女の笑顔には癒されるし。大学生時代、彼女がいてくれたおかげでどれだけ助けられたことだろうか。
「……あんたの笑顔を見ていると怒る気力が失せるわ……」
「えへへ~~~!褒めても何も出ないわよー」
………褒めてないんだけど……というツッコミはやめておこう。きっと言ったところで意味はないはずだから。はぁ、とため息をつきながら私は本題に入ることにする。
「で?急になんなの?遊びに行こうって誘ってきたけど……」
「んー?そのまんまの意味だけど。華恋と久しぶりに遊びたいなーと思ってさ。それ以上でも、それ以下でもないかな」
屈託のない笑みを浮かべながらそう答えてくる。そういうところ、昔から変わらないよね……と思いながらも、私はため息を吐いていると、
「ま、そんなことはどうだっていいのよ!ほら、早く行きましょうよ!今日は私の奢りだから!」
そう言って手を引っ張ってくる彼女。全く、強引なんだから………そう思いながら私たちは、駅前にあるカフェへと向かっていった――。
私には、自分の魅力は分からない。こんな何処にでもあるような顔が、拓海くんと佐藤先輩が私を好きになる理由だなんて思えない。波乱のモテ人生にもほどがある。
そんなことを考えていると、いつの間にか家に着いていた。扉を開けて家に入ると勢いよくへたれこんだ。……疲れたなぁ……と、思っているとプルプルと電話が鳴る音がした。
「……菜乃花か?」
と、思いながらスマホを見るとそこには……
「え……」
と、思わず声が出た。そこには佐藤先輩でもなく、拓海くんでもない。しかし、私にとって――。
「………」
私は無言で私は電話を取った――。
△▼△▼
時刻は既に十時を過ぎている。待ち合わせ時間は十時。所謂、遅刻である。
「(遅い!)」
私はイライラしながら待っていた。すると、目の前から見覚えのある姿が見えた。彼女はヘラヘラと笑いながら、
「ごめんー、遅れちゃった!」
と言ってきた。その姿を見て私はため息をつく。久しぶりなのに相変わらず軽く謝ってくる彼女に呆れつつ、遅れた理由を聞くことにした。
「で?五分も遅れた言い訳は?」
「固いわね。五分ぐらい良いじゃない」
ヘラヘラとした態度でそう言う彼女。この姿を見たら、誰もが彼女を怒る気が失せると思う。それほどまでに彼女の笑顔には癒されるし。大学生時代、彼女がいてくれたおかげでどれだけ助けられたことだろうか。
「……あんたの笑顔を見ていると怒る気力が失せるわ……」
「えへへ~~~!褒めても何も出ないわよー」
………褒めてないんだけど……というツッコミはやめておこう。きっと言ったところで意味はないはずだから。はぁ、とため息をつきながら私は本題に入ることにする。
「で?急になんなの?遊びに行こうって誘ってきたけど……」
「んー?そのまんまの意味だけど。華恋と久しぶりに遊びたいなーと思ってさ。それ以上でも、それ以下でもないかな」
屈託のない笑みを浮かべながらそう答えてくる。そういうところ、昔から変わらないよね……と思いながらも、私はため息を吐いていると、
「ま、そんなことはどうだっていいのよ!ほら、早く行きましょうよ!今日は私の奢りだから!」
そう言って手を引っ張ってくる彼女。全く、強引なんだから………そう思いながら私たちは、駅前にあるカフェへと向かっていった――。
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