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六話 『本気?!」
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――あの後のことは全く覚えていない。自分が何を言ったのかも覚えてないし、どういう風にスピーチが終わって、いつ仕事に取り掛かったのか、それすら思い出せない。
ただ気がついたら自分のデスクに座っていて、仕事をしていた。無意識のうちに手が動いて、パソコンのキーボードを叩いていたのだ。
「(な、何あれ……何あれ……)」
告白なのか?それとも緊張をほぐすための嘘?それともマジで揶揄っていただけ?いやでもそんな感じじゃなかったし……
「華恋先輩?大丈夫ですか?」
「ひゃっ!?」
突然背後から声をかけられ、思わず変な声を出してしまう私。振り返るとそこには心配そうな顔した美奈ちゃんがいた。
「気分が優れませんか?少し休んだ方が……」
「だ、大丈夫!全然元気だから!」
こんなこと美奈ちゃんに相談できない。何せ、美奈ちゃんは佐藤先輩狙いなわけだし、私が佐藤先輩に告白されたなんて知ったらきっとショックだろうし……。それに何より……もし、万が一、私の勘違いだったら死ぬ自信がある。
よし、とりあえず今は仕事に集中しよう。そうすれば何もかも忘れられるはずだし……
「(きっと佐藤先輩も深い意味なんてないでしょ……)」
きっと……多分……恐らく…確証もない。だけど……それでも……もし本当ならどうしよう……
「(ハイスペックだし付き合うのは別に抵抗はないけど……)」
でも…まぁ……うん……明らかに敵が出来るよね。私も佐藤先輩狙ってた女子社員いるし、他の部署の子だって、憧れている子は多いと思うし。しかし、恋は戦争。負ければそれまで。勝者は勝者、敗者は敗者である。
しかし、私はこの戦争に参加はしていない。故に、横から掻っ攫った悪女扱いされること間違いなし。会社では肩身狭い思いするだろうなぁ。あーやだやだ。そもそも、佐藤先輩がどんな意図であんなことを言ったのかわからない以上、下手な行動はできない。
今度二人っきりになったときに……いや、連絡先知らないし……うぅん……どうしたものか……
「先輩ー、大丈夫ですか?なんかずっと上の空ですけど……」
環ちゃんが心配そうな顔をして話しかけてくる。いけない、いけない。また仕事の手を止めてしまっていたようだ。
「い、いえ。何でもないわ……」
環ちゃんにも美奈ちゃんにも心配されてしまった……これではいけない。仕事に集中しなければ……それからしばらくして、昼休みを告げるチャイムが鳴ると、皆一斉に席を立ち始める。
「桜田ー。ちょっと仕事手伝ってくれよ」
佐藤先輩の声が聞こえてくる。……周りの女子たちの目が怖い……
でも断れないんだよねぇ……私と佐藤先輩は一時的とは言えパートナーを組んでいるわけだし。
そんなことを考えながら立ち上がる私。そしてそのまま佐藤先輩の元へ向かった。
△▼△▼
「やー、ごめんなぁ。急に手伝って欲しいなんて頼んじゃって」
そう言いながら移動してきた倉庫。ここは会社で使う備品や資材などが保管されている場所であり、普段はあまり人が寄り付かない場所だ。
「い、いえ……それは別に…大丈夫ですけど……何を手伝えばいいんですか?」
「ん?ああ……ごめん。それは嘘なんだ」
「は?」
佐藤先輩のまさかの発言に思わず声が出てしまう私。嘘?どういうことだろうか?すると、佐藤先輩は私に近づいてくると
「ごめん。朝変なこと言ってさ……」
あー……そのことか。とゆうか、このタイミングで言うってことは……!
「……あれは嘘だったってことですか?」
そうだよね。流石に冗談だったってことだよね。私みたいな何の取柄もない女のことを揶揄ってるだけだよね。佐藤先輩とか女を選び放題だろうし。
わざわざ私を選ぶ理由が……
「いや、俺は桜田のことが好きだ」
「………え?」
佐藤先輩の言葉に、頭が真っ白になる。今この人何て言った?私のことが……好き……?
「じょ、冗談ですよね?」
「本気だ」
そう言って真剣な表情で私を見つめる佐藤先輩。その目を見て……私は思わずドキッとしてしまう。やはり、イケメンの破壊力は凄まじい。
私は今どんな表情をしているのだろうか。きっと、動揺して、頬が赤くなっているだろう。
「だからあんな冗談みたいな雰囲気で言ったことを後悔してるよ。俺は桜田華恋のことが好きだよ」
急展開な話に私は目が回った。
ただ気がついたら自分のデスクに座っていて、仕事をしていた。無意識のうちに手が動いて、パソコンのキーボードを叩いていたのだ。
「(な、何あれ……何あれ……)」
告白なのか?それとも緊張をほぐすための嘘?それともマジで揶揄っていただけ?いやでもそんな感じじゃなかったし……
「華恋先輩?大丈夫ですか?」
「ひゃっ!?」
突然背後から声をかけられ、思わず変な声を出してしまう私。振り返るとそこには心配そうな顔した美奈ちゃんがいた。
「気分が優れませんか?少し休んだ方が……」
「だ、大丈夫!全然元気だから!」
こんなこと美奈ちゃんに相談できない。何せ、美奈ちゃんは佐藤先輩狙いなわけだし、私が佐藤先輩に告白されたなんて知ったらきっとショックだろうし……。それに何より……もし、万が一、私の勘違いだったら死ぬ自信がある。
よし、とりあえず今は仕事に集中しよう。そうすれば何もかも忘れられるはずだし……
「(きっと佐藤先輩も深い意味なんてないでしょ……)」
きっと……多分……恐らく…確証もない。だけど……それでも……もし本当ならどうしよう……
「(ハイスペックだし付き合うのは別に抵抗はないけど……)」
でも…まぁ……うん……明らかに敵が出来るよね。私も佐藤先輩狙ってた女子社員いるし、他の部署の子だって、憧れている子は多いと思うし。しかし、恋は戦争。負ければそれまで。勝者は勝者、敗者は敗者である。
しかし、私はこの戦争に参加はしていない。故に、横から掻っ攫った悪女扱いされること間違いなし。会社では肩身狭い思いするだろうなぁ。あーやだやだ。そもそも、佐藤先輩がどんな意図であんなことを言ったのかわからない以上、下手な行動はできない。
今度二人っきりになったときに……いや、連絡先知らないし……うぅん……どうしたものか……
「先輩ー、大丈夫ですか?なんかずっと上の空ですけど……」
環ちゃんが心配そうな顔をして話しかけてくる。いけない、いけない。また仕事の手を止めてしまっていたようだ。
「い、いえ。何でもないわ……」
環ちゃんにも美奈ちゃんにも心配されてしまった……これではいけない。仕事に集中しなければ……それからしばらくして、昼休みを告げるチャイムが鳴ると、皆一斉に席を立ち始める。
「桜田ー。ちょっと仕事手伝ってくれよ」
佐藤先輩の声が聞こえてくる。……周りの女子たちの目が怖い……
でも断れないんだよねぇ……私と佐藤先輩は一時的とは言えパートナーを組んでいるわけだし。
そんなことを考えながら立ち上がる私。そしてそのまま佐藤先輩の元へ向かった。
△▼△▼
「やー、ごめんなぁ。急に手伝って欲しいなんて頼んじゃって」
そう言いながら移動してきた倉庫。ここは会社で使う備品や資材などが保管されている場所であり、普段はあまり人が寄り付かない場所だ。
「い、いえ……それは別に…大丈夫ですけど……何を手伝えばいいんですか?」
「ん?ああ……ごめん。それは嘘なんだ」
「は?」
佐藤先輩のまさかの発言に思わず声が出てしまう私。嘘?どういうことだろうか?すると、佐藤先輩は私に近づいてくると
「ごめん。朝変なこと言ってさ……」
あー……そのことか。とゆうか、このタイミングで言うってことは……!
「……あれは嘘だったってことですか?」
そうだよね。流石に冗談だったってことだよね。私みたいな何の取柄もない女のことを揶揄ってるだけだよね。佐藤先輩とか女を選び放題だろうし。
わざわざ私を選ぶ理由が……
「いや、俺は桜田のことが好きだ」
「………え?」
佐藤先輩の言葉に、頭が真っ白になる。今この人何て言った?私のことが……好き……?
「じょ、冗談ですよね?」
「本気だ」
そう言って真剣な表情で私を見つめる佐藤先輩。その目を見て……私は思わずドキッとしてしまう。やはり、イケメンの破壊力は凄まじい。
私は今どんな表情をしているのだろうか。きっと、動揺して、頬が赤くなっているだろう。
「だからあんな冗談みたいな雰囲気で言ったことを後悔してるよ。俺は桜田華恋のことが好きだよ」
急展開な話に私は目が回った。
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