君は誰の手に?

かんな

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『真白先輩とメイド服』

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私はずっと悩んでいた。
私にとって、あの人はどういう存在なのかと。みんな素敵で選べない。
だけど、そんなことを言ったって仕方ない。それに私にそんなことを言う資格はないのだ。だって私にはまだ答えを出せていないのだから。


そして決められないまま、


「(文化祭当日になってしまってしまった)」


幸い、ここの高校……『桜ヶ丘高校』の文化祭は規模が大きく、一週間も文化祭が続く。
その間に決めればいいと思っていたが、そんな簡単にはいかないし。


「……はぁ……」


私はため息をついて、文化祭の校内を歩いていると、


「菜乃花ちゃん。一緒に回りましょ」


声をかけられた方を見るとそこには真白先輩がいた。
私は少し迷ったが、断る理由もないと思い、 了承した。


「……うちのクラスはカフェなの!結構ケーキとか美味しいのよ!」


真白先輩に連れてこられた教室にはメイド服や執事服を着ている生徒達がいる。
どうやらここはメイド喫茶と執事喫茶を合わせたような感じらしい。
中に入ると、可愛らしく飾り付けされた店内に、何人かのお客さんが入っている。
私たちは空いている席に座ってメニュー表を見ると、


「ここはね~オムライスが人気なんだけど裏メニューがあってね~」


真白先輩から説明を受ける。どうやら、ここには、メイドさんや執事さんの手作りお菓子があるようだ。それが裏メニューらしく、どのお菓子になるかは完全ランダムらしい。


「じゃあ、折角なら私この完全ランダムにしてみます」


「あら。なら私もそうしようかしら?」


2人で注文すると、メイドさんが来た。そのメイドさんは――、


「は?何、真白抜け駆けしてるわけ?」


奏先輩だった。奏先輩のメイド姿はとても似合っていて可愛いかった。


「とてもお似合いですよ。奏先輩」


私がそういうと、顔を赤くする奏先輩。いつもとは違った雰囲気の先輩にドキッとした。


「あ、ありがと……」


「ほんと、似合っているわよ」


真白先輩の目が笑ってなかった。
その後、2人の作ったクッキーを食べたが、普通に美味しかった。
その後も、色々なところを見て回ったり、食べ歩いたりしたのだが――。


「菜乃花ちゃんのクラスの出し物は?」


「えっと……ただの展示物ですけど……」


「へぇー……。行ってもいい?」


「いいですけど……面白くないと思いますよ」


私のクラスで展示しているものは、写真展だ。別に特別なものではなく、普通の写真が展示されているわけでもないので見てもつまらないと思うのだが。しかし、真白先輩は行くと言って聞かないため、仕方なく連れて行くことにした。


写真展はそんなに賑わっていなく、数人しかいなかった。
しばらく見ていたが、特にこれといった感想もなく、写真を見ていると、


「あら。この写真…」


「あ、これですか?それは文芸部の部室の写真です。一人は必ず提出することになっていて、それで撮ったものです」


「ふーん。どうせなら私も一緒に撮ればよかったのに」


「いえ……人物を写すなんて難しくて…出来ないしすぐブレちゃうし……」


これは本当で、景色だけならともかく、人となると難易度が高い。風景写真でさえ難しいのだから無理だろうと思っている。


「ふーん。そっか……じゃあ、上手くなったら私を撮ってね」


「え!?ま、真白先輩を……?」


それ上手く撮らないと真白先輩のファンを怒らせてしまう気がするが……。
しかし、真白先輩は気にせず、


「ね、お願いよ。菜乃花ちゃん」


と笑顔で、尚且つめちゃくちゃグイグイ来るため断れなかった。
結局、文化祭の間はずっと真白先輩と一緒にいた。


△▼△▼


「今日は楽しかったわ。ありがとう。菜乃花ちゃん」


そう言って文化祭一日目が終わり、真白先輩が笑顔でそう言いながら、


「ねえ、文化祭の最終日に私、ライブやるの。……もし、菜乃花ちゃんが私を選ぶのなら本番終了後に……文芸部の部室に来て欲しいの」


そう言ってきた。
真白先輩のコンサートには行きたいが、告白の返事もしなければならない。
私は一体どうすればいいのか分からず、困り果てていた。だってまだ答えを出していないもの。でも……。


「分かりました」


まだ決まってないのに、私はそう言ってしまった。文化祭が終わるまで後四日だ。長いようで短い期間。
それまでに考えなければ。私は覚悟を決めて、真白先輩に言った。


「私、ちゃんと答え出しますから。待っていてください」


私はそう言った。
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