8 / 15
八話 沙織視点①
しおりを挟む
私の名前は、清水沙織。特に特技もなく、勉強も運動も平均的。容姿も普通だが、顔立ちは悪くないと思う。
それに自分で言うのでもなんだけど、人当たりもいい方だと思っているし、友達も多い。それに彼氏も多く、付き合った人数は二桁を超えている。だけど、長続きしない。
だってなんだか、しっくり来ない。だから別れてしまう。
別に浮気したとか、他に好きな人が出来たから別れたというわけではない。ただ単に〝飽きた〟だけなのだ。
私はやはり彼氏より、友人と遊んでいる方が楽しい、とそう思ってしまったから。特に高宮杏奈といると楽しく、そして落ち着くのだ。……彼女は小学生からの付き合いである。
彼女はいつも一人だった。一人で黙々と本を読んでいて、話しかけても返事をしてくれるが、どこか冷めた感じで、あまり楽しそうな顔をしていなかった。それが衝撃的で、私は彼女と仲良くなりたいと思った。
どうして、それで仲が良くなりたい、と思ったのか分からない。多分彼女の態度や雰囲気に気圧されたのだと思う。それからというもの、休み時間になる度に彼女に話しかけに行った。
最初は無視されたりしていたが、次第に話してくれて、今では親友と言っていいほど仲良くなった。仲良くなったきっかけも、今じゃ覚えていないけどね……
「どうしたの?沙織?」
新しい彼氏の声がする。そうだ、今は放課後デート中だっけ……この彼氏の名前は…氷室龍馬という男は、見た目はそこそこ良い方だと思う。少しチャラいけど、悪い奴じゃない。私のことを好きだと言っている割には、他の女の子にも声をかけるし、よく連絡先を交換しているけども。
まぁその辺りは私も人のこと言えないのでそこは気にしていないが……しかし、何故だろう。彼の隣にいると凄く安心感がある。まるで自分の家に居るような感覚になる。
こんなに見た目がチャラい男なのに何となく、親友に似ている気がしてならない。似ている部分は……何処なのだろう。
性格?雰囲気?言動?わからない。分からないけども、何か引っかかる。
「好きだよ」
そう言って微笑んでくれる龍馬。あぁ、やはり何かが違う。今まで付き合って来たどの彼氏よりも違う。別に、ドキドキするわけじゃない。トキメキも感じなければ、胸が締め付けられることもない。
ただただ違和感を感じるだけだ。
「ん……」
それでも、キスすることに嫌悪感はない。むしろ心地が良く、どの彼氏とする時より気持ちが良い。きっと相性の問題なんだろう。
「好きだ」
その言葉と共にまたキスをする。やっぱり、気持ちが良い。もうこのまま身を委ねてしまいたいと思えるくらいに。
蕩けてゆくのを確認しながら私はまた目を閉じた。
それに自分で言うのでもなんだけど、人当たりもいい方だと思っているし、友達も多い。それに彼氏も多く、付き合った人数は二桁を超えている。だけど、長続きしない。
だってなんだか、しっくり来ない。だから別れてしまう。
別に浮気したとか、他に好きな人が出来たから別れたというわけではない。ただ単に〝飽きた〟だけなのだ。
私はやはり彼氏より、友人と遊んでいる方が楽しい、とそう思ってしまったから。特に高宮杏奈といると楽しく、そして落ち着くのだ。……彼女は小学生からの付き合いである。
彼女はいつも一人だった。一人で黙々と本を読んでいて、話しかけても返事をしてくれるが、どこか冷めた感じで、あまり楽しそうな顔をしていなかった。それが衝撃的で、私は彼女と仲良くなりたいと思った。
どうして、それで仲が良くなりたい、と思ったのか分からない。多分彼女の態度や雰囲気に気圧されたのだと思う。それからというもの、休み時間になる度に彼女に話しかけに行った。
最初は無視されたりしていたが、次第に話してくれて、今では親友と言っていいほど仲良くなった。仲良くなったきっかけも、今じゃ覚えていないけどね……
「どうしたの?沙織?」
新しい彼氏の声がする。そうだ、今は放課後デート中だっけ……この彼氏の名前は…氷室龍馬という男は、見た目はそこそこ良い方だと思う。少しチャラいけど、悪い奴じゃない。私のことを好きだと言っている割には、他の女の子にも声をかけるし、よく連絡先を交換しているけども。
まぁその辺りは私も人のこと言えないのでそこは気にしていないが……しかし、何故だろう。彼の隣にいると凄く安心感がある。まるで自分の家に居るような感覚になる。
こんなに見た目がチャラい男なのに何となく、親友に似ている気がしてならない。似ている部分は……何処なのだろう。
性格?雰囲気?言動?わからない。分からないけども、何か引っかかる。
「好きだよ」
そう言って微笑んでくれる龍馬。あぁ、やはり何かが違う。今まで付き合って来たどの彼氏よりも違う。別に、ドキドキするわけじゃない。トキメキも感じなければ、胸が締め付けられることもない。
ただただ違和感を感じるだけだ。
「ん……」
それでも、キスすることに嫌悪感はない。むしろ心地が良く、どの彼氏とする時より気持ちが良い。きっと相性の問題なんだろう。
「好きだ」
その言葉と共にまたキスをする。やっぱり、気持ちが良い。もうこのまま身を委ねてしまいたいと思えるくらいに。
蕩けてゆくのを確認しながら私はまた目を閉じた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
午後の紅茶にくちづけを
TomonorI
キャラ文芸
"…こんな気持ち、間違ってるって分かってる…。…それでもね、私…あなたの事が好きみたい"
政界の重鎮や大御所芸能人、世界をまたにかける大手企業など各界トップクラスの娘が通う超お嬢様学校──聖白百合女学院。
そこには選ばれた生徒しか入部すら認められない秘密の部活が存在する。
昼休みや放課後、お気に入りの紅茶とお菓子を持ち寄り選ばれし7人の少女がガールズトークに花を咲かせることを目的とする──午後の紅茶部。
いつも通りガールズトークの前に紅茶とお菓子の用意をしている時、一人の少女が突然あるゲームを持ちかける。
『今年中に、自分の好きな人に想いを伝えて結ばれること』
恋愛の"れ"の字も知らない花も恥じらう少女達は遊び半分でのっかるも、徐々に真剣に本気の恋愛に取り組んでいく。
女子高生7人(+男子7人)による百合小説、になる予定。
極力全年齢対象を目標に頑張っていきたいけど、もしかしたら…もしかしたら…。
紅茶も恋愛もストレートでなくても美味しいものよ。
本日は性転ナリ。
ある
キャラ文芸
如月瑠衣(きさらぎ るい)は、ごく普通の男子高校生として代わり映えの無いつまらない毎日を送っていた。
しかし、ある日を境に、それが自分に与えられた"嘘で作られた、幸せで平穏な日々"だったのだと思い知らされる事となる。
幼馴染の"高梨莉結(たかなし りゆ)に手を借りつつも、"元に戻る事の出来るその日"まで、女としての生活を送る事となった瑠衣だが、それは想像以上に難しいものだった……。
そして瑠衣自身、そして周りの人々に次々と起こる様々な問題。
瑠衣は、葛藤しながらも自分を信じてそれらに立ち向かっていくのであった。
これは"性転"してしまった瑠衣が、周りの人々との出会いによって"本当の自分"を見つけていくストーリー。
興味を持って頂けたら是非一話だけでも読んで下さい。つまらないと思った方は、良ければその理由などもコメントして頂けたら、出来る限りの改善をしていきたいと思います。
未熟者が書いた素人小説ですが、創造をカタチにしていく勉強の真っ最中なので、是非温かい目で見守ってください。
古い話から常時改稿していますが、途中から読み進めるのが嫌になるような文体になるかもしれません。
それは、この「本日は性転ナリ。」が、携帯小説を始めてから、初めて完結まで続けられた作品なので、未改稿部分はルールや小説執筆の常識等も知らないままに思い付く事を書き殴ったからです。笑
今でも"改稿"と言える程の事は出来ていないかも知れませんが、以前と比べて確実に読み易く直せていると思いますので、是非改稿後の方も読んでいただけると幸いです。
この小説を執筆するにあたって、読者の方々に大変励まされております。この物語が続いているのはその方々が居るからです。
本当にありがとうございます。
秘密兵器猫壱号
津嶋朋靖(つしまともやす)
キャラ文芸
日本国内のとある研究施設で動物を知性化する研究が行われていた。
その研究施設で生み出された知性化猫のリアルは、他の知性化動物たちとともに政府の対テロ組織に入れられる。
そこでは南氷洋での捕鯨活動を妨害している環境テロリストをつぶす計画が進行中だった。リアル達もその計画に組み込まれたのだ。
計画は成功して環境テロリストたちはほとんど逮捕されるのだが、逮捕を免れたメンバーたちによって『日本政府は動物に非人道的な改造手術をして兵器として使用している』とネットに流された
世界中からの非難を恐れた政府は証拠隠滅のためにリアル達、知性化動物の処分を命令するのだが……
その前にリアルはトロンとサムと一緒に逃げ出す。しかし、リアルは途中仲間とはぐれてしまう。
仲間とはぐれたリアル町の中で行き倒れになっていたところを、女子中学生、美樹本瑠璃華に拾われる。そして……
注:途中で一人称と三人称が入れ替わるところがあります。
三人称のところでは冒頭に(三人称)と入ります。
一人称で進むところは、リアルの場合(リアル視点)瑠璃華の一人称部分では(瑠璃華視点)と表記してます。
なお、大半の部分は瑠璃華視点になっています。
職員室の異能者共
むらさき
キャラ文芸
とある中学校の職員室。
現代社会における教師たちの生活において、異能は必要でしょうか。いや、必要ありません。
しかし、教師達は全て何らかの異能力者です。
それは魔法使いだったり、召喚士だったり、人形遣いだったり。
二年生の英語科を担当するヤマウチを中心とした、教師たちの日常を淡々と書いた作品です。
ほとんど毎回読み切りとなっているので、どれからでもどうぞ。
生徒はほとんど出てきません。
こっそりとゲーム化中です。いつになることやら。
大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
菱沼あゆ
キャラ文芸
華族の三条家の跡取り息子、三条行正と見合い結婚することになった咲子。
だが、軍人の行正は、整いすぎた美形な上に、あまりしゃべらない。
蝋人形みたいだ……と見合いの席で怯える咲子だったが。
実は、咲子には、人の心を読めるチカラがあって――。
ゆかりさんとわたし
謎の人
キャラ文芸
ゆかりさんはわたしの一番の友達で、古風な家に住まう幽霊です。
生まれつき重度の病人だった彼女が幽霊として再びわたしの前に現れてから早三年。この奇妙な関係にも慣れてきました。
当然学校に通うこともできず、日長一日ひとり寂しく広くて古い家の縁側に腰掛け、雲など眺めるゆかりさん。
そんな姿を思い浮かべる時、わたしはとても切なくなります。放っておくことはできません。
だからわたしは可能な限りの時間を使ってゆかりさんと遊ぶことにしました。少しでもいい、彼女の心労が和らいでくれることを願って。
ゆかりさんのためにわたしはいつもお話を持っていきます。それは日常のちょっとしたこと。
奇妙だったり、不思議だったり、不気味だったり、良く分からなかったりする。そんなお話を。
*「小説家になろう」にも投稿しています。
https://ncode.syosetu.com/n4636fe/
あなたになりたかった
月琴そう🌱*
キャラ文芸
カプセルから生まれたヒトとアンドロイドの物語
一人のカプセルベビーに一体のアンドロイド
自分たちには見えてない役割はとても重い
けれどふたりの関係は長い年月と共に他には変えられない大切なものになる
自分の最愛を見送る度彼らはこう思う
「あなたになりたかった」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる