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〜青春編〜
三十六話 『嫉妬』
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俺達は走った。無我夢中で……どこに向かって走っているかも分からずに……ただひたすらに……走り続けていると
「ハァッ……はぁ…」
いつの間にか公園に来ていたようだ。
息を整えながらベンチに座って一休みすることにした。
隣には彼女がいる。彼女は俯いたまま何も言わなかった。そんな彼女を横目に見つめていると、
『ごめんなさい。うちの兄が迷惑かけて』
「いや、それを言うのならうちの姉もだよ。ごめんね」
お互いが謝った後、笹川さんは戸惑ったように、
『いや、でも……兄ってば中村くんのお姉さんに凄く失礼なこと言ってたし…』
「あー、あれは別に……正論だからなぁ……」
正論だし別に気にしてないけど……姉が変なやつなのは間違いないから否定はできないし。
『そ、そうですか?』
「うん。あれに関しては何も言い返せないよ」
苦笑しながら答えるのと同時に――、
「あれー?また会ったね~!」
聞き覚えのある声と共に現れた人物を見て俺は思わず、顔をしかめた。
そこに立っていた人物は……
「えーと……萩原だっけ?」
萩原正弘。何故か笹川さんのことを名前呼びしていた男だった。あいつにいじめられてたから気が弱いイメージがあったんだけど……なんか前よりも堂々としているというか自信満々に見えるんだよね。
「そうそう!前は急に話しかけてごめんねぇ~」
相変わらず馴れ馴れしく話し掛けてくる。……本当、笹川さんとどういう関係なんだろ。あの時は逃げちゃったからまともに聞かなかったし聞くのも怖くて聞けずじまいなんだよなぁ……
「彼氏らしいじゃん。君。本当ごめんね。邪魔するつもりはなかったんだけどさ」
ヘラヘラ笑いながら話す姿に苛立ちを覚えながらも冷静を装う。
ここで怒っても意味ないし……
「笹川さんとはどういう関係なんだい?」
だからつい気になって聞いてしまった。すると彼は一瞬驚いたような表情を見せた後にニヤリと笑って言った。
「さぁ?それは秘密かな」
…こいつムカつくな。
「そんなのはみのりちゃんに聞きな。じゃあ僕はこれで帰るとするよ」
それだけを言い残して去って行く彼の後ろ姿を睨み付けていたら、袖を引っ張られた。見ると笹川さんは、
『正弘くんとは……幼馴染みなんです』
と言った。幼馴染みね……だからあんなに親しげなのか。納得はしたけど……なんだろうこのモヤモヤとした気持ちは……いや、何なのだろうなんて考えるまでもない。これは嫉妬だ。醜い感情だと分かっていても止められるものではなかった。
「……そっか」
一言だけ呟く。それ以上は何も言えなかった。それからしばらくの間沈黙が続く中、
『……もしかして嫉妬しました?』
不意打ちで聞かれたのでドキッとして彼女を見ると悪戯っぽい笑顔を浮かべていた。
「……そうだよ。悪いかい?」
開き直るように答えたら彼女は赤い顔をしながら首を横に振っていた。そして小さな声でこう続けたのだ。
「わ、私もですから……」
そう言いながらスマホを取り出して文字を打ち込み、音声変換機能を使って読み上げた。
『私も嫉妬してました。中村くんが松岡さんと話していたのも気になったし嫉妬したしつばめさんにも嫉妬したし…私も嫉妬深いし…』
そんな彼女の言葉を聞いて嬉しさを感じる。それと同時に恥ずかしさが込み上げてきて頬が熱くなるのを感じた。お互いに見つめ合っていると自然と距離が縮まっていく。
「……名前で呼んでもいい?」
無意識のうちに口から出たその問いに対して彼女は赤面をして小さくコクンとうなづいた。それが合図となり、
「……みのり」
名前を囁き合うように呼んだ瞬間……唇を重ね合った。最初は軽く触れるだけのキスだったが次第に深くなっていくにつれて舌を入れていくと彼女がビクッと震えたのを感じつつも止めようとしない。
そのまま何度も角度を変えつつ貪るような激しいものへと変わっていった。しばらくしてからようやく離すと銀糸が伸びておりプツンと切れた。
「好き……」
思わず漏れた俺の言葉を聞いた途端、彼女が泣き出した。ポロポロと涙を流す彼女を抱きしめると背中に手を伸ばしてきた。それに応えるように強く抱き締め返すと耳元で、
「……私も大好き」
と聞こえたと同時に再び唇を重ねた。
「ハァッ……はぁ…」
いつの間にか公園に来ていたようだ。
息を整えながらベンチに座って一休みすることにした。
隣には彼女がいる。彼女は俯いたまま何も言わなかった。そんな彼女を横目に見つめていると、
『ごめんなさい。うちの兄が迷惑かけて』
「いや、それを言うのならうちの姉もだよ。ごめんね」
お互いが謝った後、笹川さんは戸惑ったように、
『いや、でも……兄ってば中村くんのお姉さんに凄く失礼なこと言ってたし…』
「あー、あれは別に……正論だからなぁ……」
正論だし別に気にしてないけど……姉が変なやつなのは間違いないから否定はできないし。
『そ、そうですか?』
「うん。あれに関しては何も言い返せないよ」
苦笑しながら答えるのと同時に――、
「あれー?また会ったね~!」
聞き覚えのある声と共に現れた人物を見て俺は思わず、顔をしかめた。
そこに立っていた人物は……
「えーと……萩原だっけ?」
萩原正弘。何故か笹川さんのことを名前呼びしていた男だった。あいつにいじめられてたから気が弱いイメージがあったんだけど……なんか前よりも堂々としているというか自信満々に見えるんだよね。
「そうそう!前は急に話しかけてごめんねぇ~」
相変わらず馴れ馴れしく話し掛けてくる。……本当、笹川さんとどういう関係なんだろ。あの時は逃げちゃったからまともに聞かなかったし聞くのも怖くて聞けずじまいなんだよなぁ……
「彼氏らしいじゃん。君。本当ごめんね。邪魔するつもりはなかったんだけどさ」
ヘラヘラ笑いながら話す姿に苛立ちを覚えながらも冷静を装う。
ここで怒っても意味ないし……
「笹川さんとはどういう関係なんだい?」
だからつい気になって聞いてしまった。すると彼は一瞬驚いたような表情を見せた後にニヤリと笑って言った。
「さぁ?それは秘密かな」
…こいつムカつくな。
「そんなのはみのりちゃんに聞きな。じゃあ僕はこれで帰るとするよ」
それだけを言い残して去って行く彼の後ろ姿を睨み付けていたら、袖を引っ張られた。見ると笹川さんは、
『正弘くんとは……幼馴染みなんです』
と言った。幼馴染みね……だからあんなに親しげなのか。納得はしたけど……なんだろうこのモヤモヤとした気持ちは……いや、何なのだろうなんて考えるまでもない。これは嫉妬だ。醜い感情だと分かっていても止められるものではなかった。
「……そっか」
一言だけ呟く。それ以上は何も言えなかった。それからしばらくの間沈黙が続く中、
『……もしかして嫉妬しました?』
不意打ちで聞かれたのでドキッとして彼女を見ると悪戯っぽい笑顔を浮かべていた。
「……そうだよ。悪いかい?」
開き直るように答えたら彼女は赤い顔をしながら首を横に振っていた。そして小さな声でこう続けたのだ。
「わ、私もですから……」
そう言いながらスマホを取り出して文字を打ち込み、音声変換機能を使って読み上げた。
『私も嫉妬してました。中村くんが松岡さんと話していたのも気になったし嫉妬したしつばめさんにも嫉妬したし…私も嫉妬深いし…』
そんな彼女の言葉を聞いて嬉しさを感じる。それと同時に恥ずかしさが込み上げてきて頬が熱くなるのを感じた。お互いに見つめ合っていると自然と距離が縮まっていく。
「……名前で呼んでもいい?」
無意識のうちに口から出たその問いに対して彼女は赤面をして小さくコクンとうなづいた。それが合図となり、
「……みのり」
名前を囁き合うように呼んだ瞬間……唇を重ね合った。最初は軽く触れるだけのキスだったが次第に深くなっていくにつれて舌を入れていくと彼女がビクッと震えたのを感じつつも止めようとしない。
そのまま何度も角度を変えつつ貪るような激しいものへと変わっていった。しばらくしてからようやく離すと銀糸が伸びておりプツンと切れた。
「好き……」
思わず漏れた俺の言葉を聞いた途端、彼女が泣き出した。ポロポロと涙を流す彼女を抱きしめると背中に手を伸ばしてきた。それに応えるように強く抱き締め返すと耳元で、
「……私も大好き」
と聞こえたと同時に再び唇を重ねた。
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