【完結】君に伝えたいこと

かんな

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〜青春編〜

三話 『半年間の時が過ぎて』

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あれから半年が経ち、俺は中三になった。笹川さんとは連絡してる。今までように頻繁には出来なくなったがそれでも週に一回は必ずしている。


受験だし、笹川さんも忙しいだろうしな。それに俺も受験勉強は集中したいし……だから週一だった電話もいつのまにかしなくなっていた。


△▼△▼


電話もしなくなり、笹川さんも俺の存在のことを忘れているんじゃないかと思っていたある日のことだった――。


「おーい、お前ら席につけー」
 

先生の声でみんな一斉に自分の席に戻る。いつも通りのホームルームが始まるのかと思いきや――、


「今日は転校生……ああ……いや、違った。えーと…長らく入院していた子が元々、翡翠中の生徒だったから転校生じゃねーか……いや、でも……なんていうか忘れたからとりあえず転校生ってことでいいわ」


適当だな……深川先生ってそういうところあるよな……まぁ、先生らしいと言えばらしいけども。


「じゃ、入ってきていいぞ~」


ガラララッ! 教室の扉を開けて入ってきた女子生徒を見てクラス中の男子たちがざわついている。とかいう俺もそうだけど……。


だってあの子って…


「(笹川さんだよね!?)」


そんなことを思いつつ、俺は彼女の顔を見つめていた。



△▼△▼



あの後の展開は転校生――厳密に言えば違うのだが、それでも、クラス名簿には載ってなかったし、深川先生の言う通り、転校生ということで間違いないだろう。


そして今、笹川さんは沢山の人に囲まれている。……笹川さん……大丈夫かな?転校生のお約束展開とはいえ、あんなに沢山の人の相手にするって中々の苦行だと思うけど……助けに行くのもなぁ…半年間も会わなかった奴がいきなり行ったら迷惑かもしれないし……


どうしようか迷っているうちに彼女はどんどん困ったような笑みを浮かべながら、クラスの質問攻めにあっていた。……駄目だ。耐えられない。助けに行こう。
俺は立ち上がり、笹川さんのいる場所へと向かおうとすると――。


キーンコーンカーンコーンと、チャイムの音と同時に担任である深川先生が教卓を叩き、みんなの視線を集めた。
するとさっきまで騒いでいたクラスメイト達は静かになり、全員着席した。


俺は深川先生に感謝しつつ、俺も席に着いた。
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