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四話 『俺のその後』

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あれから数日が経った。三嶋さんとは一切会話していない。それどころか、会うことすらなく、俺はただ悶々としていた。


そして、俺はやけになって副業を始めた。しかし、それは副業詐欺だったのですぐに辞めた。そして俺の金――七万五千円を失っただけだった。


ちなみに、今はバイト中だ。俺のバイトはコンビニ店員である。今日もいつも通りレジ打ちをしていたのだが、一人の客が来た瞬間、俺の手は止まった。


「………あ、天野くん、ここで働いてるんだね」  


中村洋介がそこに立っていたのだ。ニッコリと爽やかな笑顔を浮かべながらこちらに向かって歩いてくる。……正直に言おう。こいつはイケメンだ。顔立ちが良いだけでなく、性格も良いときている。俺とは正反対だ。


「あぁ……うん」


そんなことを思いながらも、淡白な返事をした。
すると、彼は会計を済ませて帰っていった。
その後ろ姿を見ながら、ふと思ったことがある。きっと、中村洋介はいつか彼女が出来る。それも、きっと三嶋さんや笹川さん並みの美少女を捕まえて、幸せな家庭を築くだろう。


それに対して俺はどうだろうか?未だに童貞で、彼女すらいない。このままでは一生独り身かもしれない。三嶋さんという高嶺の花と自ら別れたんだ。俺はきっとこの先ずっと独り身のままなんだ。
そう思うと涙が出てきた。悲しいのか、悔しいのか、よく分からない感情が渦巻いている。……もういいか。こんな人生なんてクソゲーだ。さっさと終わらせよう……なんて思っていると、


「あら……?天野くん?」


不意に、女子の声が聞こえてきた。その声の方へ振り向くと、そこには――


「松岡さん……?」


なんと、俺のバイト先にクラスメートが二人も来た。正直に言うと、めちゃくちゃ嫌だった。クラスメートを対応するだけでも面倒なのに、それが二人ともなれば尚更だ。


でも、お客さんなので対応せざるを得ない。俺は内心ため息を吐きつつ、レジ打ちをした。 


△▼△▼


三嶋さんのことはもう忘れて、新しいゲームを始めよう。俺は今、そう思っていた。だから、今日は新しいゲームを買った。副業詐欺とかいうクソみたいなのに金を注ぎ込んだせいで金欠だったが、このゲームは中古屋で買ったゲーム『君と紡ぐ恋』というタイトルのゲームだ。
これは恋愛シミュレーションゲームで所謂ギャルゲーと呼ばれる類のものだ。


ギャルゲーはあれ以来やっていないから少し不安だが、大丈夫だろう。このゲームには攻略対象が五人いるらしい。不安要素はお値段が100円だったことくらいだ。まあ、中古品だし、仕方ないだろう。


そう思いながら電源を繋ぎ、ゲームを開始する。最初に出てきた選択肢は、主人公の性別を決めるものだった。……ギャルゲーなのに?と思ったが気にしないことにした。適当に男を選ぶと、次は名前入力画面になった。これもまた適当に決める。
そして、いよいよ本編が始まった。最初は主人公が通う学校のシーンから始まった。


しかし、この主人公のキャラがあまり好きになれなかった。というのも、主人公は俗に言う『ヤレヤレ系主人公』なのだ。


別にヤレヤレ系なのは良いんだけど……なんかこう……痛々しいんだよな……何と言うか……共感性羞恥?的な感じがするし、俺と似ててめっちゃくちゃ嫌だわ……!陰キャの解析度が高すぎる……これ作ったやつ絶対に陰キャだよな……
などと失礼極まりないことを思いながらゲームを進めていった。
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