【完結】婚約破棄されたから静かに過ごしたかったけど無理でした

かんな

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最終回 『もう一度の恋』

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あれから一年が経った。相変わらず、私は魔法省に勤めている。
心は封じ、恋なんてもうしないと誓った。男だなんてどうせそんなもん。男なんてみんな一緒だと。


でも、そろそろ、結婚した方がいいのかもしれない。これは愛とかそういうものではなく、義務感から来るものだ。だって、いつまでも独り身だとなぁ……いろいろと不便なことは多いしなぁ。


最近だとレオナルド殿下も結婚したみたいだし…因みに、結婚の相手は…エリー様らしい。……普通に考えて逃げられなかったのだろう。


まぁ………あんな美人と結婚できるのだから、レオナルド殿下も幸せだろう。マリー様は今どうしてるかは全く知らんが。…そして……クラウス様は……今は何をしているんだろう。
……いや、考えるのはよそう。どうせもう会うことはないし。


…そしてエール様も結婚して魔法省を辞めたし。結婚式に呼ばれたんだけどウェンディングドレスのエール様が綺麗だった。あのドレスを着て私も結婚をしたいなぁ。


……まぁ、相手はいないんだけどね。悲しいことに……そう思いながら、ため息を吐いていると、


「おはよう!諸君!」


開始時間ぴったりに、上司であるフール様がやってきた。
……相変わらず、朝から元気だなぁ……フール様は私の上司で、魔法省の署長だ。容姿は金髪碧眼のイケメンで、その笑顔は爽やかであるが、見た目とは似合わず根っからの体育系。


魔法省の署長なんてやっているが、体を動かすことが大好きな人なのだ。そして、その性格からなのか部下にとても好かれている。……まぁ、私は上司としては尊敬しているが、個人的には苦手な部類だ。だって暑苦しいし。


「今日はエールくんが抜けたから、新メンバーの紹介をしよう!」


「新メンバーですか?」


「あぁ!入ってきてくれ!」


フール様がそう言うと、一人の男性が入ってくる。
……え?この男性って……。私は思わずその男性を見て驚いてしまう。だってその男は……


「今日からこの部署で働くことになった……クラウス・フォンタナーくんだ!みんな、仲良くしてくれ!」


燃えるような赤い髪に琥珀色の瞳。そして、その顔立ちは整っていて、どこか中性的で……そしてそれは……


「(はーー!?何であんたがここにいるのよーー!?)」


私が心の中で絶叫していると、クラウス様は私に気づき、爽やかな笑顔で私に手を振ってきた。
……あぁ……イケメンって本当にずるい。そんな笑顔されたら、大抵の女は落ちるわ!


「(わ、忘れてたのに!この胸の高鳴り!)」


私は、クラウス様から目が離せない。……あぁ……やっぱり私ってまだクラウス様のことが……いや、違う!これは恋じゃない!ただ驚いているだけよ!そうに違いないわ!


「(そうよ!勘違いなんてしてはいけないわ!)」


私はそう思いながら顔をぐっと上げる。……そして私は知らない。この後、とんとん拍子で婚約してクラウス様と一緒になることを私はまだ知らなかった――。


         (完)


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これにて完結です!本編は終わりですが、別枠で番外編を作る予定です。番外編ではジールの話や、クラウスの話やマリーやレオナルドのその後を掲載する予定です。

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