【完結】婚約破棄されたから静かに過ごしたかったけど無理でした

八話 『話し合い』

目の前にはマリー様とレオナルド様がいた。
すると、マリー様はビクビクと震えている。……相変わらず、演技がお上手で。


「それで……クラウス・フォンタナーにカトリーヌ・エルノー……何の用だ」


レオナルド様は睨みつけるようにこちらを見てくる。しかし、クラウス様は平然としていた。そして、彼は口を開く。


「お前とさ。話があったんだ。正直お前なんかと話すのなんて絶対に嫌だけど、どうしても言いたいことがあったんだ」


睨みつけるレオナルド様にクラウス様はそう言い放った。
そして、彼はマリー様の方へ顔を向けた。
すると、彼女はビクッとして後ずさる。それを冷めた目で見るクラウス様はこう言った。


「いますぐその演技はやめろ。マリー」


睨むように彼はマリー様を見ている。すると、マリー様は顔を真っ青にさせた。そして、彼女は震えだす。
その演技を見て、クラウス様は呆れたようにため息をついた。


「その演技押し通すんだな……まぁ、いいけど」


はぁ。とため息を吐き、彼はマリー様から視線を外したが、すぐまたマリー様を見てこう言った。


「それにしても……立派だよなぁ？マリー」


彼はニヤリと笑った。その笑みにマリー様は顔を真っ青にしている。本当に演技が上手いな……。
そして、彼はまた口を開く。
その笑みはどんどん歪んでいく。まるでマリー様を馬鹿にしているように。とゆうか、実際に馬鹿にしているのだろう。


「本当に凄いよ。マリー。お前は……だってねぇ？あの〝聡明〟なレオナルド・オルコット様を騙して浮気しているんだからなぁ！」


悪意に満ちてる笑みで彼はそう言い放った。もちろん、レオナルド様は信じなかった。それはそうだと思う。
急にそんなことを言われたら戸惑うのは当然のことだろう。しかし、マリー様は顔を真っ青にして震えている。……本当に演技が上手いな。


「そーれーにー！……あの〝聡明〟なレオナルド様も……浮気しているんだからある意味ではお似合いなカップルだよなぁ！」


クラウス様は勢いでそう言った。
すると、マリー様ついに泣き始めながら、


「何を言っているの……？クラウス様……！私は浮気なんて……」


と、言った。しかし、彼はそれを遮るようにこう言った。


「じゃあ！この写真はなんだ！」


そう言って彼は数枚の写真をポケットから出した。それをレオナルド様とマリー様に見せつける。
その写真にはとマリー様とジール様が一緒に歩いている姿が写っていた。ちなみに、これは私が撮影したものだ。高かったんだから。カメラ。
マリー様はその写真を見て、顔を真っ青にした。そして、彼女は震えながらこう言った。


「こ、これはその……ちょっと！ジール様に分からないところがあったかを聞くために一緒にいただけで……」


「へぇ？じゃあ、この写真はなんだ？」


彼はそう言って、もう1枚の写真をポケットから出した。それは……マリー様がジール様に抱きついている写真だった。
それを見たマリー様の顔はどんどん真っ青になりながら。そして、彼女はこう叫んだ。


「……こ、これは……そう！そうだわ！私がジール様に分からなかったところを聞いていて石につまずいたところをジール様が支えてくれただけよ！それに黙ってるカトリーヌさんはなんなの！？」


そう言って、マリー様は私を指差した。まぁ、確かに私一言も話してないけど……話したほうがいいのかしら……でも、話すことが何もない。強いて言うのなら退学を取り消してくれ……ってことぐらいは言ってもいいかしら？ すると、クラウス様は私の方を見てニヤリと笑った。そして、彼はこう言った。


「へぇ。まだそんなこと言うんだ？じゃあー。証人を呼ぼーう」


そう言ってクラウス様は指をパチンと鳴らすと、扉からジール様が入ってきた。ジール様の出現により、マリー様は更に顔を真っ青にさせ、レオナルド様は驚いていた。