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四話 『答え』
しおりを挟む何でこの人女装してたの? 混乱する私に向かって彼は言った。
まるで悪戯が成功した子供のような笑みで、私に告げたのだ。
「いやー、だってね?噂でマリーのこと階段から突き落とした元婚約者がいるって聞いたからさ。調べたら、お前だったってわけ」
クラウス様はケラケラ笑いながら言った。……なるほど。だから私がマリー様を突き落としてないか聞いたのか。
……でも、何で女装してたんだ?わざわざ女装しなくてもそれぐらいは教えるのに。
そんなことを思っていたのが顔にでていたのか、クラウス様にこう言った。
「女装は趣味だ。文句あんのか?」
………趣味で女装するんだ……この人。まぁ、趣味は人それぞれだからね、うん。
「後さ、俺お前に忠告しようと思ったわけ」
「忠告……?」
忠告って何。私が首を傾げると、クラウス様は言った。
それは今までのようなヘラヘラとした笑顔ではなく、真剣な眼差しでこう言った。
「……お前、退学させられるぞ」
キッパリと放たれた言葉。
それは私が想像していたよりも、ずっと重い言葉だった。
クラウス様の言葉に私は思わず息を呑んだ。確かに私に悪い噂が流れていることは知っていた。……というか現在進行形で悪い噂が流れてるし。
でも、まさか退学処分になるなんて。
私は婚約破棄された身だ。寧ろ、被害者と言ってもいい。が、世間にはそうは見えないらしい。
しかも私は被害者な筈なのに。クラウス様は私の肩をポンと叩くと、こう言った。
「なぁ。復讐しない、とかそんな呑気なこと言ってないでさ、さっさとマリーとレオナルドを破滅させようぜ?」
ニヒルな笑みを浮かべてそう言ったクラウス様に私は何も言えなかった。
だってこのままじゃ本当に退学処分になってしまうのは目に見えているから。退学処分になれば、もうこの国にはいられなくなるだろう。
……それは困るなぁ。だって私はまだこの国にいたいし。だから私は――。
「………そのことは事実なんですよね?だったら、協力しますが……退学するのが嘘だったら許しませんよ?」
「そんな嘘つかねーよ。俺だってそんなくだらない嘘をつくほど暇じゃないし」
そう言いながらクラウス様は不敵に笑う。……まぁ、この人が嘘つくような人には思えないけどさぁ……
「俺に協力すれば退学処分のことは俺が交渉しとく。だから、お前は退学処分を撤回する代わりにマリーとレオナルドを破滅させるんだ」
クラウス様の瞳には確かな覚悟が見えた。きっとこの人は本気なんだ。本気で二人の破滅を願っている。
……私は復讐するのなんて面倒だし、関わりたくもなかったけど。退学になるというのなら話は別だ。だから私は――。
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