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三章 〜半年が経って〜
十四話 『姉妹喧嘩とメイド』
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とんでも展開になってきて私は、頭を抱えた。だって本当にとんでもなさすぎるんだもん!もうね、どうしてこうなった?って感じなんだけども……!
「それで?ここの世界にはどうやって来たの?ささっと教えなさいよ」
悪びれもなく言う妹の態度にイラッとしたけど、元からこいつはこういうやつだ。いちいちこんなことに反応していたら疲れるだけだわ。
私は大きくため息を吐く。そして、この世界に来た経緯を説明した。
流石に神様のことは言わなかったけど……
妹は興味なさげにうなずいていたけれど、私が話し終えると口を開いた。
その言葉に思わず絶句する。
「へぇ~。じゃああんたはこの世界に転生したわけじゃないんだ。何でこんな奴が転移で私は転生なのかしら?」
……相変わらずの妹。私よりずっとかわいいのに性格最悪なのは今も変わらないらしい。やはり人はそう簡単に変われないということか……。
「まぁいいわ。もうあんたに用はないし。ささっと大声出して助けてもらいましょうかねー」
そう言って妹は大声を出すために息を大きく吸い込んだ。
しかし、そんなことをさせるはずがない。
私は咄嵯に手を伸ばして妹の口を塞ぐとそのまま地面に押し倒した。
突然の行動に驚いたのか、目を白黒させてこちらを見上げてくる妹。
「させないわよ。私の邪魔をするなら容赦しないから」
「……っ」
ギリギリ、と力を込めていくと苦しそうな表情を浮かべながらも抵抗してくる。
「……ずっとこうしたかったわ。あんたが憎くて仕方がなかった」
いつも、いつも、私のものを奪っていく。両親もおもちゃも洋服も……そして彼氏さえ。
あの時の私はいつものことだと諦めていた。だけど今となっては後悔しかない。もっと早くこうしていればよかった。そうしたらきっと……
「ぐ……ぅ……!」
悔し気に顔を歪める妹。それを見ても何も思わない。ただ、このまま殺してしまおうかとも考えたけど……
「(それでは意味がない……!)」
殺すだけではだめなのだ。復讐とはそういうものではない。それに、ここで殺してしまったら私が捕まるかもしれないしね。それは避けたいところだ。
だから私は手を離すと立ち上がった。
「げほっごほ……」
咳き込む妹を見下ろす。すると彼女はキッと睨みつけてきた。その顔は何をされたかわかっているようで怒りに染まっている。
さっきまでの余裕のある笑みや人を小馬鹿にしたような態度は一切見られない。
「な、何すんのよ!!死ぬかと思ったじゃん!!」
涙目になりながら怒鳴ってくる妹。その姿に少しだけ胸がスッとするのは気のせいではないはずだ。
「あら、ごめんなさい。ついやりすぎちゃったみたい」
自分でも驚くくらい冷たい声が出た。それを聞いた妹が一瞬怯んだように見えたけど、すぐに睨み返してきた。そんなことをしていると……
「お嬢様?どうかされましたか?」
そんな声がしてきた。どうやら騒ぎを聞きつけた使用人が来たらしい。やべ……
「あ!ちょっとあんた!この不審者どうにかしなさいよ!」
「不審者……?」
その声とともに足音が近づいてくる。厳しい顔つきのメイドが私を見て、妹を見た。
そして……
「…は……?え……?」
ぽかん、とした表情で私と妹を交互に見ている。……ど、どうした?しばらく呆然としていた彼女だったけど、ハッとすると慌てて妹にこう言ってきた。
「……不審者ですね。このものは私が始末いたしますのでお嬢様はゆっくりお休みください」
そう言って彼女は私の手を掴むとそのまま引っ張っていく。
「お願いするわ!ああ!本当に最悪!」
そんな妹の声を聞きながら私はメイドに引っ張られていったのだった。
「それで?ここの世界にはどうやって来たの?ささっと教えなさいよ」
悪びれもなく言う妹の態度にイラッとしたけど、元からこいつはこういうやつだ。いちいちこんなことに反応していたら疲れるだけだわ。
私は大きくため息を吐く。そして、この世界に来た経緯を説明した。
流石に神様のことは言わなかったけど……
妹は興味なさげにうなずいていたけれど、私が話し終えると口を開いた。
その言葉に思わず絶句する。
「へぇ~。じゃああんたはこの世界に転生したわけじゃないんだ。何でこんな奴が転移で私は転生なのかしら?」
……相変わらずの妹。私よりずっとかわいいのに性格最悪なのは今も変わらないらしい。やはり人はそう簡単に変われないということか……。
「まぁいいわ。もうあんたに用はないし。ささっと大声出して助けてもらいましょうかねー」
そう言って妹は大声を出すために息を大きく吸い込んだ。
しかし、そんなことをさせるはずがない。
私は咄嵯に手を伸ばして妹の口を塞ぐとそのまま地面に押し倒した。
突然の行動に驚いたのか、目を白黒させてこちらを見上げてくる妹。
「させないわよ。私の邪魔をするなら容赦しないから」
「……っ」
ギリギリ、と力を込めていくと苦しそうな表情を浮かべながらも抵抗してくる。
「……ずっとこうしたかったわ。あんたが憎くて仕方がなかった」
いつも、いつも、私のものを奪っていく。両親もおもちゃも洋服も……そして彼氏さえ。
あの時の私はいつものことだと諦めていた。だけど今となっては後悔しかない。もっと早くこうしていればよかった。そうしたらきっと……
「ぐ……ぅ……!」
悔し気に顔を歪める妹。それを見ても何も思わない。ただ、このまま殺してしまおうかとも考えたけど……
「(それでは意味がない……!)」
殺すだけではだめなのだ。復讐とはそういうものではない。それに、ここで殺してしまったら私が捕まるかもしれないしね。それは避けたいところだ。
だから私は手を離すと立ち上がった。
「げほっごほ……」
咳き込む妹を見下ろす。すると彼女はキッと睨みつけてきた。その顔は何をされたかわかっているようで怒りに染まっている。
さっきまでの余裕のある笑みや人を小馬鹿にしたような態度は一切見られない。
「な、何すんのよ!!死ぬかと思ったじゃん!!」
涙目になりながら怒鳴ってくる妹。その姿に少しだけ胸がスッとするのは気のせいではないはずだ。
「あら、ごめんなさい。ついやりすぎちゃったみたい」
自分でも驚くくらい冷たい声が出た。それを聞いた妹が一瞬怯んだように見えたけど、すぐに睨み返してきた。そんなことをしていると……
「お嬢様?どうかされましたか?」
そんな声がしてきた。どうやら騒ぎを聞きつけた使用人が来たらしい。やべ……
「あ!ちょっとあんた!この不審者どうにかしなさいよ!」
「不審者……?」
その声とともに足音が近づいてくる。厳しい顔つきのメイドが私を見て、妹を見た。
そして……
「…は……?え……?」
ぽかん、とした表情で私と妹を交互に見ている。……ど、どうした?しばらく呆然としていた彼女だったけど、ハッとすると慌てて妹にこう言ってきた。
「……不審者ですね。このものは私が始末いたしますのでお嬢様はゆっくりお休みください」
そう言って彼女は私の手を掴むとそのまま引っ張っていく。
「お願いするわ!ああ!本当に最悪!」
そんな妹の声を聞きながら私はメイドに引っ張られていったのだった。
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