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三章 〜半年が経って〜
九話 『疑惑と夢』
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あれから数日が経った。相変わらず、犯人の正体は分からない。
今日は私はローラとアシュリーとお昼を食べていた。
「まだ犯人、分からないの?」
「うん……全く手がかりがなくて……」
私はお弁当を食べながら答えるとアシュリーはため息をついた。犯人の目的は分からないしあれ以来何事も起きない。そのため、段々と皆はあの事件を忘れてきていた。
犯人の目的は一体なんだろう。私の命が目的ならもうとっくに殺されていてもおかしくないと思うんだよね……
「犯人の目的は分かりませんが、あれから何も起きないのはかえって不気味ですね」
アシュリーの言葉にアシュリーの隣にいるローラは頷く。確かにアシュリーの言うとうり、犯人の目的は分からないけどあの事件から何も起きない。そのせいで逆に不安を煽られる。私がうーんと唸っていると隣でアシュリーが何か思い出したように声を上げた。
「そういえば……この前……イザベル様が気になる事を言ってましたね」
「気になること?」
私が聞き返すとアシュリーが頷いた。イザベル・ディグルム。ナタリー・アルディと同じく、悪役令嬢ポジションの人らしい。リリィ曰く。彼女はとてもプライドが高く、自分は特別だと考えている。まさしく、漫画の世界線のナタリー・アルディと同じ性格の持ち主らしい。
つまり、悪役思考の持ち主だということだ。そんな人に目をつけられるような事はしてないと思うんだけどな……
「イザベル様、ナタリー様のことを、気に食わないって言っていましたので……それが気になって」
「えっ、そうなの?」
気に食わない……?確かに、入学したてのナタリー・アルディとは別人……とゆうか、別人なんだし気に食わない要素は沢山あるし、そう思われても仕方がない。でも、ただの気に食わないであんな事件を起こすのだろうか……?
「今のところ、私はイザベル様が怪しいと思いますわ」
アシュリーの言葉に私は何とも言えない気持ちになる。
「確かに、私もイザベル様が怪しいと思います。でも、証拠はないんですよね……」
私が呟くと、ローラは頷いた。確かにローラの言う通り、証拠は何もない。アシュリーも頷きながら続ける。
「そうね。それに、証拠があったとしてもあのイザベル様が簡単に罪を認めるとは思えないわ」
確かに、アシュリーの言う通りだ。アシュリーの言う通り、あのプライドの高いイザベル様が罪を認めるとは思えないし、そもそも証拠がないし……
「うーん……」
「まぁ、考えすぎも良くないですし、とりあえずは様子を見ましょう。下手に刺激してまたあの事件が起こったら大変ですわ」
まぁ、確かに。あの事件は起こらない方が平和だし。でも、やっぱり気になるなぁ……なんて、思ってため息を吐いた。
△▼△▼
――夢を見た。懐かしい夢を。
それはまだ、私が高校生だった頃の夢だ。
『ねぇ、奈緒。本当、このゲーム面白いよー!今度奈緒も読んでみて!』
『また?そんなに面白いの?』
そのゲームは……『恋と魔法とチョコレート』のゲームだった。ごめんな。美香……そのゲーム、結局やってねーわ。
『うん!めっちゃ面白いよー。漫画を追体験出来るモードやゲームオリジナルストーリーとかあるんだよ!奈緒、絶対ハマるよー!それに……!ゲームオリジナルキャラクター、奈緒の性癖にドストライクなんだよ』
こんなこと、話していたな。と懐かしい思い出を夢で見ていたら美香がキラキラした目で私におすすめしてきたゲームをすることもなく、死んでいくだなんて思ってなかった。
懐かしい……。美香、今何してるのかな。元気にしてるかな。
そんなことを考えていると、私の意識はだんだん遠のいていったのだった。
今日は私はローラとアシュリーとお昼を食べていた。
「まだ犯人、分からないの?」
「うん……全く手がかりがなくて……」
私はお弁当を食べながら答えるとアシュリーはため息をついた。犯人の目的は分からないしあれ以来何事も起きない。そのため、段々と皆はあの事件を忘れてきていた。
犯人の目的は一体なんだろう。私の命が目的ならもうとっくに殺されていてもおかしくないと思うんだよね……
「犯人の目的は分かりませんが、あれから何も起きないのはかえって不気味ですね」
アシュリーの言葉にアシュリーの隣にいるローラは頷く。確かにアシュリーの言うとうり、犯人の目的は分からないけどあの事件から何も起きない。そのせいで逆に不安を煽られる。私がうーんと唸っていると隣でアシュリーが何か思い出したように声を上げた。
「そういえば……この前……イザベル様が気になる事を言ってましたね」
「気になること?」
私が聞き返すとアシュリーが頷いた。イザベル・ディグルム。ナタリー・アルディと同じく、悪役令嬢ポジションの人らしい。リリィ曰く。彼女はとてもプライドが高く、自分は特別だと考えている。まさしく、漫画の世界線のナタリー・アルディと同じ性格の持ち主らしい。
つまり、悪役思考の持ち主だということだ。そんな人に目をつけられるような事はしてないと思うんだけどな……
「イザベル様、ナタリー様のことを、気に食わないって言っていましたので……それが気になって」
「えっ、そうなの?」
気に食わない……?確かに、入学したてのナタリー・アルディとは別人……とゆうか、別人なんだし気に食わない要素は沢山あるし、そう思われても仕方がない。でも、ただの気に食わないであんな事件を起こすのだろうか……?
「今のところ、私はイザベル様が怪しいと思いますわ」
アシュリーの言葉に私は何とも言えない気持ちになる。
「確かに、私もイザベル様が怪しいと思います。でも、証拠はないんですよね……」
私が呟くと、ローラは頷いた。確かにローラの言う通り、証拠は何もない。アシュリーも頷きながら続ける。
「そうね。それに、証拠があったとしてもあのイザベル様が簡単に罪を認めるとは思えないわ」
確かに、アシュリーの言う通りだ。アシュリーの言う通り、あのプライドの高いイザベル様が罪を認めるとは思えないし、そもそも証拠がないし……
「うーん……」
「まぁ、考えすぎも良くないですし、とりあえずは様子を見ましょう。下手に刺激してまたあの事件が起こったら大変ですわ」
まぁ、確かに。あの事件は起こらない方が平和だし。でも、やっぱり気になるなぁ……なんて、思ってため息を吐いた。
△▼△▼
――夢を見た。懐かしい夢を。
それはまだ、私が高校生だった頃の夢だ。
『ねぇ、奈緒。本当、このゲーム面白いよー!今度奈緒も読んでみて!』
『また?そんなに面白いの?』
そのゲームは……『恋と魔法とチョコレート』のゲームだった。ごめんな。美香……そのゲーム、結局やってねーわ。
『うん!めっちゃ面白いよー。漫画を追体験出来るモードやゲームオリジナルストーリーとかあるんだよ!奈緒、絶対ハマるよー!それに……!ゲームオリジナルキャラクター、奈緒の性癖にドストライクなんだよ』
こんなこと、話していたな。と懐かしい思い出を夢で見ていたら美香がキラキラした目で私におすすめしてきたゲームをすることもなく、死んでいくだなんて思ってなかった。
懐かしい……。美香、今何してるのかな。元気にしてるかな。
そんなことを考えていると、私の意識はだんだん遠のいていったのだった。
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