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三章 〜半年が経って〜
八話 『犯人は?』
しおりを挟む対談室に移動したら、まずはリリィが口を開いた。
「単刀直入に言います。闇魔法のことを教えて下さい」
リリィは真剣な表情でそう言った。スティブーン様も真剣な眼差しを向けながら、
「分かった。闇魔法のことを教えるね」
と答えた。そして、ゆっくりと話し始めた。
「闇魔法は世界でも珍しい魔法で、使える者は限られている。ある意味光属性よりもレアな属性だよ」
スティブーン様は闇魔法について説明を始めた。曰く、闇魔法は人を操り、操ることで魔法をかけることができるらしい。
また、人の心の闇を増幅させることもできるとのことで、それによって洗脳や精神操作などもできるそうだ。
これだけ聞くと闇魔法が最強な魔法にも聞こえるが、弱点もあるとのことだ。
まず1つ目は、光属性に弱いということだ。光属性の魔法を使われると、強制的に解除されてしまうらしい。
2つ目は、闇魔法で心を操ることはできても、記憶を消すことはできないらしい。つまり、人の思い出を操ったり、思考や性格を変えることもできないということだ。つまり、メンタルが強い人は闇魔法で操りにくく、逆にメンタルが弱い人は操りやすいということだ。
「で。闇魔法を使える奴はこの学園にはいないんだよねー」
「ずいぶんとお詳しいですね。スティブーン様、闇属性じゃないのに」
私がそう言うと、スティブーン様はあははと笑う。
「闇属性は俺の父親が使えるんだよ。だから俺も昔から闇魔法について知ってるわけ」
なるほど、そういうことだったのか。しかし、それよりも――。
「結局、闇魔法をかけたのは誰なんですか?」
私は率直に聞いた。すると、スティブーン様は困ったような顔をした。
「それが分からないんだよねぇ……分かったら苦労しないんだけど」
……結局分からないのか。私は少し落胆する。だが、まぁ、当然と言えば当然だろう。学園に通っている生徒が闇魔法を使っていたら、スティブーン様ならもっと早く気付くはずだし…
「でもさー、闇属性な奴なんてこの学園にはいないんだよ?」
問題はそこなのだ。闇属性は珍しい魔法。それが使える者など、ごく僅かしかいないだろう。
それに、もしいたとしても、そう簡単にバレるような真似はしないはずだし……
「だから、多分、犯人は依頼したんじゃないかな?」
依頼……つまり、誰かに依頼されて闇魔法を使ったということか。
しかし、一体誰に……?そもそも、何のために?
「犯人はよくわかんないけど、ま。とりあえず、ナタリーちゃんに恨みを持ってる奴の犯行だっていうのは確実だよ」
スティブーン様はそう言う。確かに、それしか考えられないが……一体誰が?敢えて言うのなら……
「(私が転生する前にいじめていた人達か……?)」
なら、文句は言えない。私のせい、と言われたらそれまでだし。でも、何故……
「(……まぁ、考えても仕方ないよね)」
ため息を一つ吐き、思考を放棄した。
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