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三章 〜半年が経って〜
七話 『闇魔法のこと』
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「先の令嬢達の事情徴収をしてきました」
あの後。リリィは、私の部屋に来てそう言った。私は緊張しながらもこう言った。
「どうだった?」
私はそうリリィに問うと、彼女は言った。
「なんであんなことをしたのか、と聞いたら……どうやら、覚えてないみたいです」
「え、どういうこと?」
「令嬢達曰く、『気付いたらやってた』らしいです。まるで、操られているみたいに」
「操られてる……ってもしかして闇魔法?」
「ええ、おそらく……ニコラス様と同じかと」
以前、ニコラス様も闇魔法をかけられて、操られていた。操られて、私に婚約破棄を言い渡してきたときのことを思い出した。でも、闇魔法ってそう簡単に使えるものじゃないはずだし…
「それで一つ思ったのですが……スティブーン様って闇魔法のこと詳しいんですよね?もしかしたら、スティブーン様なら何か知っているかもしれません」
「確かに……」
思えば、あの人がニコラス様の闇魔法を解除したのはスティブーン様だ。もしかしたら、何か知っているのかもしれない。
「気は進みませんが、聞いてみましょう」
渋い顔で、リリィは言った。まぁ、リリィはスティブーン様のことが嫌い……とゆうか、苦手だもんね……
「本当ならあんな男に頼りたくないのですが……」
……そんなに嫌いなんだ。まぁ、リリィはチャラ男とか嫌いだしね……
「でも、背に腹はかえられません。あの令嬢達がまた闇魔法をかけられたら厄介ですし……」
そう言いながらもリリィはため息を吐く。そんな彼女の様子を見て、私は苦笑いするしかなかった。
△▼△▼
そして次の日。私はスティブーン様に会いに、彼の教室へと向かった。
スティブーン様の教室に行くと、彼はいつも通り取り巻き達に囲まれて談笑していた。そんな彼を見て、周りの令嬢達はキャーキャー言っている。本当にモテるんだな……と改めて思った。
「……何でこんな男、モテるのかしら」
リリィは、小声で悪態をついた。そんなリリィに私は苦笑いするしかなかったが――。
「スティブーン様」
リリィはそうスティブーン様に話しかけた。すると、彼はこちらに気付いたようで、笑みを浮かべながら私達の元へとやってきた。
「リリィちゃんじゃん。どうしたの?」
彼はそう言ってリリィに近づいてきた。相変わらず、ニコニコとして爽やかな笑顔を浮かべている。
「スティブーン様に少しお聞きしたいことがありまして……」
そうリリィが言うと、彼は「なになに?」と言って興味津々といった様子で聞いていた。
「スティブーン様は闇魔法を知っていますか?」
リリィが単刀直入に聞く。あまりにも単刀直入すぎて、私は焦ったが彼は全く気にしていない様子だった。いや、二人が気にしなくとも周りはめちゃくちゃざわざわしちゃっているのだけれど。
「何だこの騒ぎは?」
レオン様がやってきた。彼は周りを見て、少し眉をひそめていたが、私とリリィがいることに気付くと、こちらに近寄ってきた。
スティブーン様はレオン様を見ると、彼にも笑みを向けて言った。
「レオンじゃん!こんなところでどうしたのー?」
軽い口調で言うスティブーン様に、レオン様は冷たい視線を向けた。
「…俺も、闇魔法について知りたいと思っていたところだ」
堂々した態度でレオン様はそう言い放った。その態度からして、彼もまた闇魔法について気になっているようだった。
スティブーン様は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにいつもの笑顔に戻りこう言った。
「オッケオッケー!なら、対談室に行こっか!」
そう言ったスティブーン様に、リリィは何か言いたげだったが……
「……はぁ」
結局、何も言わずに私達は対談室へと向かったのであった。
あの後。リリィは、私の部屋に来てそう言った。私は緊張しながらもこう言った。
「どうだった?」
私はそうリリィに問うと、彼女は言った。
「なんであんなことをしたのか、と聞いたら……どうやら、覚えてないみたいです」
「え、どういうこと?」
「令嬢達曰く、『気付いたらやってた』らしいです。まるで、操られているみたいに」
「操られてる……ってもしかして闇魔法?」
「ええ、おそらく……ニコラス様と同じかと」
以前、ニコラス様も闇魔法をかけられて、操られていた。操られて、私に婚約破棄を言い渡してきたときのことを思い出した。でも、闇魔法ってそう簡単に使えるものじゃないはずだし…
「それで一つ思ったのですが……スティブーン様って闇魔法のこと詳しいんですよね?もしかしたら、スティブーン様なら何か知っているかもしれません」
「確かに……」
思えば、あの人がニコラス様の闇魔法を解除したのはスティブーン様だ。もしかしたら、何か知っているのかもしれない。
「気は進みませんが、聞いてみましょう」
渋い顔で、リリィは言った。まぁ、リリィはスティブーン様のことが嫌い……とゆうか、苦手だもんね……
「本当ならあんな男に頼りたくないのですが……」
……そんなに嫌いなんだ。まぁ、リリィはチャラ男とか嫌いだしね……
「でも、背に腹はかえられません。あの令嬢達がまた闇魔法をかけられたら厄介ですし……」
そう言いながらもリリィはため息を吐く。そんな彼女の様子を見て、私は苦笑いするしかなかった。
△▼△▼
そして次の日。私はスティブーン様に会いに、彼の教室へと向かった。
スティブーン様の教室に行くと、彼はいつも通り取り巻き達に囲まれて談笑していた。そんな彼を見て、周りの令嬢達はキャーキャー言っている。本当にモテるんだな……と改めて思った。
「……何でこんな男、モテるのかしら」
リリィは、小声で悪態をついた。そんなリリィに私は苦笑いするしかなかったが――。
「スティブーン様」
リリィはそうスティブーン様に話しかけた。すると、彼はこちらに気付いたようで、笑みを浮かべながら私達の元へとやってきた。
「リリィちゃんじゃん。どうしたの?」
彼はそう言ってリリィに近づいてきた。相変わらず、ニコニコとして爽やかな笑顔を浮かべている。
「スティブーン様に少しお聞きしたいことがありまして……」
そうリリィが言うと、彼は「なになに?」と言って興味津々といった様子で聞いていた。
「スティブーン様は闇魔法を知っていますか?」
リリィが単刀直入に聞く。あまりにも単刀直入すぎて、私は焦ったが彼は全く気にしていない様子だった。いや、二人が気にしなくとも周りはめちゃくちゃざわざわしちゃっているのだけれど。
「何だこの騒ぎは?」
レオン様がやってきた。彼は周りを見て、少し眉をひそめていたが、私とリリィがいることに気付くと、こちらに近寄ってきた。
スティブーン様はレオン様を見ると、彼にも笑みを向けて言った。
「レオンじゃん!こんなところでどうしたのー?」
軽い口調で言うスティブーン様に、レオン様は冷たい視線を向けた。
「…俺も、闇魔法について知りたいと思っていたところだ」
堂々した態度でレオン様はそう言い放った。その態度からして、彼もまた闇魔法について気になっているようだった。
スティブーン様は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにいつもの笑顔に戻りこう言った。
「オッケオッケー!なら、対談室に行こっか!」
そう言ったスティブーン様に、リリィは何か言いたげだったが……
「……はぁ」
結局、何も言わずに私達は対談室へと向かったのであった。
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