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三章 〜半年が経って〜
六話 『強制イベント』
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次の日。私はいつも通り学園に登校した。特に変わったこともなく、授業を受けて、昼食を食べて、午後の授業を受けて……今日も何事もない1日を過ごそうとしていたときだった。
「ナタリー・アルディ!」
いきなり大きな声で呼ばれたので、私は「はい?」と間抜けな声を出してしまった。相手は令嬢達だ。誰だ?と思っていると、
断罪イベントか?これ。悪役令嬢ものの漫画だと必ずあるイメージがある……この漫画も例に漏れず、断罪イベントがあったらしい。
「この場であなたの悪事の数々を公のものとするわ!」
……悪事?確かにこの身体になる一週間前は、令嬢に嫌がらせをしたりしていたから事実なのでそこについては何も言えないわ……。
「あなたの悪事、それは……」
私はごくりと喉を鳴らした。すると令嬢は高らかに言った。
「あなたがローラ・クレーヴさんを虐めたということよ!」
「……え?」
私は思わず声を出してしまった。だってローラのことはいじめてはいないし、むしろ仲良くしてるんですけど!?
「あなたがローラさんにしたことは、全部分かっているんだから!」
も、もしかして……これって強制イベントなの?私は悪役令嬢に仕立てあげられる運命なのか?
「証拠はこの書類の中にあるわよ!ほら、見なさいよ!」
私は渋々それを受け取った。そこには私がローラにしたこと……というか嫌がらせがいっぱい書かれていた。それはデタラメなものではなく、事実だった。ただし、それはローラに対してではなく、他の令嬢に対しての嫌がらせだけども。
「ローラ・クレーヴさんはとても優しい方なの。それなのにあなたは彼女を虐めて……最低だわ!」
「ほんとよね!ローラさんかわいそう……」
令嬢達は口々にそう言っていた。私は何も言うことができなかった。いったいどの口が言っているのだろう。お前らだってローラに嫌がらせをしていたくせに!そんなことがよく言えるわね!
「ナタリー・アルディ!認めたらどうなの!?」
「そうよ!早く認めなさいよ!」
令嬢達は口々に言ってくる。私は何も言うことができなかった。確かに私がしたことは悪いことだが――。
「私はローラにはこんなことしてないわ……!」
「嘘おっしゃい!証拠はちゃんとあるのよ!」
「そうよ!」
令嬢達は口々に言うが、お門違いだ。確かに私は令嬢達にはいやがらせをしていたが、ローラにはしていないからこれを認めることは出来ないし。
「何ですか?この騒ぎは」
ローラがそう言いながら近づいてきた。
令嬢達はローラを見るなりローラに捲し立てるように、
「ローラさん!この女があなたを虐めているんですよね!」
「さぁ、ローラさん!この女に罰を与えましょう!」
と言った。ローラは困惑しつつも、令嬢達にこういった。
「こ、これは一体どういうことですか……?ナタリー様が私を虐めているとは……?」
意味がわからない、と言ったような表情だった。それはそうだ、ローラは何も知らないのだから。
「これを見てください!ローラさん!この女があなたを虐めたんです!」
令嬢はそう言ってローラにその紙を渡した。それをみたローラは、驚いた表情をした後――。
「何ですか……これ」
ローラは俯いて、そう呟いた。その声音には怒気が孕んでいた。
ローラは顔を上げると、
「こんなこと……ナタリー様はしていません。寧ろ、逆です。ナタリー様は私の相談に乗ってくれたり、話を聞いてくれます。それに……私が嫌がらせされているとき、助けてくれたのは他でもない彼女です。だから、ナタリー様は私を虐めてなんかいません……!」
ローラはそう言ってくれた。その言葉を聞いた令嬢達は、
「そ、そんなはずないわ……!きっとこの女はローラさんを利用して……」
「そうだわ……!この女、昔から性格悪かったから……!」
と口々に言っていた。まぁ、性格が悪いのは間違ってはいないが……!
「………確かに、この嫌がらせをした人はいます。しかし、それはナタリー様ではありません。何なら、今からその人達を連れてきてもいいですが」
ギロリとローラは令嬢達を睨みつけた。令嬢達は怯んで、何も言わなくなったのと同時に、
「どうしたんだ?一体……」
ニコラス様がやってきた。ニコラス様は険しい表情を浮かべているローラと、泣きそうになっている令嬢達を交互に見つめていた。
「どうしたんだ?何があった?」
ニコラス様は怪訝そうに令嬢達に話しかける。令嬢達は口籠っていたが、
「ニコラス様。実は……」
とローラがこれまでのことを話した。するとニコラス様は令嬢達を睨みつける。
「なんだ、それは……」
ニコラス様は怒気を孕んだ声でそう言った。令嬢達はビクッと肩を震わせていた。
「つまりこいつらはナタリーに、罪を押し付け合いたいということか?」
ゴゴゴ……と効果音が聞こえてきそうなほど、ニコラス様の表情は怒りに満ちていた。
令嬢達は顔面蒼白になりながらも、その場を逃げていった。
「………なんだったの、あの子達……」
私は思わずそう呟いてしまった。ローラも不思議そうに首を傾げていた。
「ナタリー・アルディ!」
いきなり大きな声で呼ばれたので、私は「はい?」と間抜けな声を出してしまった。相手は令嬢達だ。誰だ?と思っていると、
断罪イベントか?これ。悪役令嬢ものの漫画だと必ずあるイメージがある……この漫画も例に漏れず、断罪イベントがあったらしい。
「この場であなたの悪事の数々を公のものとするわ!」
……悪事?確かにこの身体になる一週間前は、令嬢に嫌がらせをしたりしていたから事実なのでそこについては何も言えないわ……。
「あなたの悪事、それは……」
私はごくりと喉を鳴らした。すると令嬢は高らかに言った。
「あなたがローラ・クレーヴさんを虐めたということよ!」
「……え?」
私は思わず声を出してしまった。だってローラのことはいじめてはいないし、むしろ仲良くしてるんですけど!?
「あなたがローラさんにしたことは、全部分かっているんだから!」
も、もしかして……これって強制イベントなの?私は悪役令嬢に仕立てあげられる運命なのか?
「証拠はこの書類の中にあるわよ!ほら、見なさいよ!」
私は渋々それを受け取った。そこには私がローラにしたこと……というか嫌がらせがいっぱい書かれていた。それはデタラメなものではなく、事実だった。ただし、それはローラに対してではなく、他の令嬢に対しての嫌がらせだけども。
「ローラ・クレーヴさんはとても優しい方なの。それなのにあなたは彼女を虐めて……最低だわ!」
「ほんとよね!ローラさんかわいそう……」
令嬢達は口々にそう言っていた。私は何も言うことができなかった。いったいどの口が言っているのだろう。お前らだってローラに嫌がらせをしていたくせに!そんなことがよく言えるわね!
「ナタリー・アルディ!認めたらどうなの!?」
「そうよ!早く認めなさいよ!」
令嬢達は口々に言ってくる。私は何も言うことができなかった。確かに私がしたことは悪いことだが――。
「私はローラにはこんなことしてないわ……!」
「嘘おっしゃい!証拠はちゃんとあるのよ!」
「そうよ!」
令嬢達は口々に言うが、お門違いだ。確かに私は令嬢達にはいやがらせをしていたが、ローラにはしていないからこれを認めることは出来ないし。
「何ですか?この騒ぎは」
ローラがそう言いながら近づいてきた。
令嬢達はローラを見るなりローラに捲し立てるように、
「ローラさん!この女があなたを虐めているんですよね!」
「さぁ、ローラさん!この女に罰を与えましょう!」
と言った。ローラは困惑しつつも、令嬢達にこういった。
「こ、これは一体どういうことですか……?ナタリー様が私を虐めているとは……?」
意味がわからない、と言ったような表情だった。それはそうだ、ローラは何も知らないのだから。
「これを見てください!ローラさん!この女があなたを虐めたんです!」
令嬢はそう言ってローラにその紙を渡した。それをみたローラは、驚いた表情をした後――。
「何ですか……これ」
ローラは俯いて、そう呟いた。その声音には怒気が孕んでいた。
ローラは顔を上げると、
「こんなこと……ナタリー様はしていません。寧ろ、逆です。ナタリー様は私の相談に乗ってくれたり、話を聞いてくれます。それに……私が嫌がらせされているとき、助けてくれたのは他でもない彼女です。だから、ナタリー様は私を虐めてなんかいません……!」
ローラはそう言ってくれた。その言葉を聞いた令嬢達は、
「そ、そんなはずないわ……!きっとこの女はローラさんを利用して……」
「そうだわ……!この女、昔から性格悪かったから……!」
と口々に言っていた。まぁ、性格が悪いのは間違ってはいないが……!
「………確かに、この嫌がらせをした人はいます。しかし、それはナタリー様ではありません。何なら、今からその人達を連れてきてもいいですが」
ギロリとローラは令嬢達を睨みつけた。令嬢達は怯んで、何も言わなくなったのと同時に、
「どうしたんだ?一体……」
ニコラス様がやってきた。ニコラス様は険しい表情を浮かべているローラと、泣きそうになっている令嬢達を交互に見つめていた。
「どうしたんだ?何があった?」
ニコラス様は怪訝そうに令嬢達に話しかける。令嬢達は口籠っていたが、
「ニコラス様。実は……」
とローラがこれまでのことを話した。するとニコラス様は令嬢達を睨みつける。
「なんだ、それは……」
ニコラス様は怒気を孕んだ声でそう言った。令嬢達はビクッと肩を震わせていた。
「つまりこいつらはナタリーに、罪を押し付け合いたいということか?」
ゴゴゴ……と効果音が聞こえてきそうなほど、ニコラス様の表情は怒りに満ちていた。
令嬢達は顔面蒼白になりながらも、その場を逃げていった。
「………なんだったの、あの子達……」
私は思わずそう呟いてしまった。ローラも不思議そうに首を傾げていた。
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