知らない世界に転生したと思ったら、すぐ側にガチ勢がいた件について

かんな

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二章 〜思惑〜

二十八話 『面倒くさい女』

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「死にたい……」


私は一人部屋のベッドの上で枕を抱きしめて、そう呟いた。リリィが何か文句言っていたけど、そんなのは知らない。


私、ナタリー・アルディは今日フラれたし、もう死ぬしかないんだ。誰が私のことを殺せ!


「ナタリー様。お気持ちは分かりますが、どうか落ち着いてください」


リリィが隣で何か言っているけど、私はそれどころじゃない。もう生きてる意味なんてないし、いっそ死んでしまいたい。


だって、私の初恋はたった今、フラれたのだから。しかもガチ告白ではなく、冗談としてだし。
もう、どうすればいいの?


「ローラ様は百合じゃないのか……なら、ローラ様を百合に堕とせば良いのでは?そうだ……そうしよう!」


「何言ってるの?」


リリィがめちゃくちゃ変なこと言い出したんだけど。百合に堕とすってどういうことやねん。


「百合の沼に堕とせば女の子同士の恋愛も許容するのではないかと思いまして!ナタリー様もそう思いますよね!」


「思わないよ!?」


何言ってんの!?リリィ頭おかしくなったの?大丈夫か?こいつ?


「は?ローラ様を百合に堕とせば良いのに何言ってるんですか?ナタリー様」


「いや、だから……はぁ……」


もうダメだ…こいつ。なんか頭痛くなってきたわ。考えるだけ無駄かも……うん、諦めよう。好きにさせよう。


「はぁ……」


私は深いため息を吐く。もう、死にたい……ローラに振られたし、生きてても辛いだけだ。リリィもなんか変なこと言ってるし。


「ローラ様なら百合に堕とせるはずです!頑張れ、ナタリー様!」


いや、頑張るとか頑張らないとかそういう問題じゃないんだけど!酷いわー!リリィ酷いわー!!


「どうして私が酷いんですか!?私はナタリー様の幸せを願って言っているだけですよ!」


「うっさいわ!とにかく、しばらく一人になりたいから放っておいてくれないかな?お願いだから」


懇願するように私は言う。今は一人になりたい。誰とも話したくないし、何もしたくない。もうどうでもいいや……
するとリリィは何かを考えた後――。


「………わかりました。なら、私は失礼します」


そう言って部屋から出ていった。ようやく、一人になれた……悪いことをしたなとは思うけど、今は一人になりたい。しばらくしたら、落ち着くはずだし……


「……せめて」


あんなふざけた告白じゃなくて、真面目に告白すれば良かった。そしたら、まだダメージ少なかったのに……!


「……バカバカ!私のバカ!」


私は枕を床に叩きつける。何度も、何度も……涙が止まらない。失恋とはこういうことを言うのだ。
私はそれからしばらくの間、泣き続けた。


△▼△▼


翌日、私は目を覚ますと鏡の前に立って自分の姿を確認する。酷い顔だ。目は腫れているし、目の下にはクマがある。
私は鏡を見ながらため息を吐く。今日は学校を休みたい気分だし、休んじゃおうかな?


「お嬢様、おはようございます」


リリィが部屋に入ってきて私に挨拶をしてくるが、私は無視して支度を始める。今は誰とも話したくないし、とにかく一人になりたかったから……するとリリィが私に近寄ってきて、声をかけてきた。


「……学校、休むんですか?」


親みたいなことを言うリリィ。私が彼女を睨むと彼女はビクッとして怯えたような表情をする。珍しいこともあるものだ。いつもは無表情で感情の起伏がないはずなのに……


「休む」


私は短くそう答える。今日は学校に行く気分じゃないし、休んでしまおう。ローラに合わせる顔がないし……


「……かしこまりました。では、私は学校に行きますね」


そう言って部屋から出ていこうとするリリィ。私は彼女に声をかけようとするが、言葉がうまく出てこない。
リリィが出ていって静かになった部屋で私は再びため息を吐くと、ベッドに倒れ込む。ふかふかのベッドは私の身体を受け止めてくれた。



「はぁ……」


私はため息を吐きながら、目を閉じると、いつの間にか眠ってしまった。
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