知らない世界に転生したと思ったら、すぐ側にガチ勢がいた件について

かんな

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二章 〜思惑〜

二十五話 『テストあるある』

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テストというと前世の学生時代を思い出す。
数学や英語といった科目は得意だったが、国語とか社会科が苦手だった。特に歴史なんかは全く分からない。覚える気もなかったけど。


しかし、今の私は前世とは全く違う。
だって、今から行われるテストの科目は全て――。


「(……あれ?簡単すぎない?)」


テストの問題文をスラスラと解いていった。前世では簡単とされている問題ばかり。これが俗に言う――、


「(異世界無双ってやつ?)」


チートとは違うかもしれない。でも、勉強せずにテストで高得点を取るのはやはりチートなのかもしれない……って!ちょっと待った!


「(後半急に難しすぎない!?)」


前半の問題は簡単だった。しかし、前半は小学生レベルの問題などが出てきたのに後半は大学や高校で習うような内容だ。


「(いや、でも、急に難しすぎない?)」


先生、難易度上げすぎじゃないですか? そう思いながら、私は数学のテストを終えたのだった。


△▼△▼


次は国語のテストだ。国語はめっちゃくちゃ苦手で前世の国語の成績は結構悪かった。しかし――


「(簡単だなー。でも、知ってるよ?どうせ後半難しくなるんでしょ?)」


先調子に乗ったら後半で地獄を見るパターンを先見てしまったから。だから、前半で本気を出す!そして案の定、後半は難問だらけだった。


「(主人公の心情なんて知らねーわ!)」


国語で大嫌いだったのが、登場人物や作者の心情を答えろという問題だ。
作者が何を思ってこの文章を書いたのか?とか自分じゃねーんだから分かるわけねーだろ!と前世ではブチ切れていたしそれは今もそう。


「(適当に書いておこう……)」


登場人物の心情なんて全く考えずに私は適当に書いていたら筆記試験は終了した。


△▼△▼


それからも私は次々とテストを終えた。数学は前世でやった内容と類似しており、歴史は……うん。分かんねー!


「(私、この世界の歴史に全く詳しくないからなー)」


きっと赤点ギリギリだろう。リリィはめちゃくちゃ自信があるみたいだしローラも数学以外は自信があるみたいだし。
レオン様とニコラス様は余裕な表情だし。


その表情が凄いムカつくけど……!殴りたい!その顔!とそう思った。何故だ?ローラの自信満々の表情は可愛いと思ったのに、何故かレオン様とニコラス様の顔は殴りたいと思ってしまう。


そんなことを思っていると。


「あら。ナタリー様。随分と余裕そうですわね」


アシュリー様が話しかけてきた。
私の表情を見て余どこが裕そうだと言ったのだろうか?いや、本当に自信ないよ?赤点ギリギリの自信があるよ……? しかし、そんなことは口に出さない。アシュリー様には負けたくないから。


「え、ええ。アシュリー様。これからが本番ですわね」


だから余裕なふりをした。
本当は余裕なんてないけど、私はアシュリー様より上だと見せつけるためにそう言ったのだ。


「そうですわね。お互い頑張りましょう」


そう言ってアシュリー様は私の傍から離れていった。え?これだけ……?アシュリー様は嫌味を言うような人ではないとしても、流石にそれだけしか言わないのはおかしい……


「おい。ナタリー。お前……」


そんなことを思っているとニコラス様に話しかけられた。なんだこいつ。私は忙しいのだ。話しかけないで欲しい。
しかし、無視するのも良くないと思い、私は振り返った。


「何ですか。ニコラス様」


不機嫌さを隠そうともせずに私はそう答えた。
ニコラス様はそんな私の態度を気にも留めず、口を開いた。


「お前……。もしかして、アシュリー・ベルナールのことが苦手なのか?」


……は?何言ってんのこいつ。アシュリー様が苦手?苦手ではないし、寧ろ好きだけど?少なくとも、ニコラス様よりは断然好きな部類に入る。


「何故そのように?」


「いや……それならいいんだ。忘れてくれ」


そう言ってニコラス様は私から目を逸らした。……意味が分からないし、気持ち悪い。しかし、今は試験に集中するべきだ。明日は実技テストなのだから。私は明日の実技テストのイメージトレーニングをしておいた。
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