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二章 〜思惑〜
二十二話 『その後の話』
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私の前世――田中奈緒は前世は百合が好きだった。でも、それはあくまで漫画の中の話である。創作の、架空の世界の話だからこそ楽しめるのだ。
だから自分がそんな状況になるなんて、夢にも思わなかった。私が女の子を好きになるだなんて、誰が想像しただろうか。
否、私が一番想像していないのだから誰にも想像なんてできるはずがない。ともかく、私は――、
「(ローラに…恋をしてしまった)」
だってしょうがないじゃないか。ローラは可愛くて、優しくて、明るくて、守ってあげたくなる女の子なんだから。
ただ、一つ問題があるとすれば――。
「ナタリー様!今、ローラ様がいますよ!お声かけしましょ!」
リリィが凄くテンションが高く、そしてうざくなっていることだ。いや、普段も十分テンションは高いのだが、今日は一段と高い気がする。
「リリィ、うるさい」
私はジト目でリリィのことを見る。だって、今は……ローラとレオン様が話してるし、邪魔できないでしょ。
「えー?邪魔しましょうよー!せっかくのチャンスなんですから!」
「いや、駄目だよ。私、レオン様と言ったもの!お互い話し合ってるときは大人しくしてるって決めたでしょ?」
「それは……そうですけど……でもー」
リリィは不満そうに口を尖らせる。そんな顔しても駄目なものは駄目なのだ。だって、せっかくの二人の時間を邪魔してしまうじゃないか。
レオン様も私とローラの時間は邪魔はしないし、お互いが二人の時間にローラにちょっかいをかけるのは禁止だ、と二人の中で約束している。……それじゃなかったら私だって邪魔していたわよ!
「もうー!ナタリー様、真面目すぎますよー!」
「真面目で良いのよ。それより、早く行きましょう」
私はリリィを引っ張りながら、授業が行われる教室に向かっていった。
△▼△▼
恋のライバルがレオン様という強敵なんて、全く勝ち目がないと思っている。でも、諦めるつもりは全くない。
「ローラ。レオン様とどんなお話をされていたのですか?」
授業が始まるまではローラの側にいて、お昼ごはんのときになったら二人で食事をとる。それが私達、ナタリー・アルディとローラ・クレーヴの日常なのだ。
「え……?挨拶とか世間話ですよ?」
ヒロインが鈍感なのは前世から知っているけれど、ここまでとは思っていなかった。もう少し、異性として好かれているとか思わないのだろうか? ……いや、思わないだろうな。
だってローラだもん! ローラ・クレーヴはまさに天然系ヒロインなのだ! 可愛らしい見た目とは裏腹に、自分のやりたいことに対しては真っ直ぐで決して曲げない頑固さがある。
「そうなの……」
まあ、でもローラがそういう反応をするのは分かっていたことだ。鈍感だしね……
ならば、攻め方を変えていこうか。ローラが鈍感なのは知っていることだし、今更それを嘆いたりはしないよ!
「それより明日はアシュリー様主催のお茶会ですよね?私、アシュリー様のお茶会に初めて招かれたので失礼がないようにしないと……」
アシュリー・ベルナール。彼女はローラに続く、天才魔法使いである。彼女はローラの次に、この学園で有名だと言っても過言ではない。何故なら彼女もまた希少の光属性の持ち主なのだから。
光属性の魔力は珍しく、持って生まれる人間は十年に一度いるかいないかの確率である。そのため、光属性を持つ人間はとても重宝されるのだ。
その上、優れた頭脳も持ち合わせている。まさに完璧超人なのだ。
「何故かレオン様はアシュリー様のことをよく思ってないみたいですけど……。私、お二人はお似合いだと思うんですよね」
アシュリー様はとても美人で、レオン様と並べば美男美女カップルの完成といった感じ、とローラはそう言った。私はそれに全乗りしている。レオン様とアシュリー様はお似合い、と。これは決して邪魔ではない。
とゆうか、レオン様もレオン様でニコラス様と私のことをくっつけようとしているしねー。婚約者だから当たり前と言われれば当たり前だけど…!
『お前らは婚約者なんだから、もっと仲良くしろよ』
なんて、レオン様に言われてしまったのだ。そしてニコラス様は凄く満更でもねー顔していた。正直、私は嫌だけど……。
「(まぁ、リリィが全力で邪魔してるけどね……)」
リリィはニコラス様とレオン様とスティーブン様にはめちゃくちゃ厳しいのだ。ローラには甘々だが。
「ナタリー様、明日楽しみですね」
無邪気に笑うローラが可愛くてしょうがないので、リリィの気持ちが分かるので何も言えないが。
「楽しみですね、ローラ」
私はそんな純粋な気持ちなど全くないが、ローラに合わせて笑った
だから自分がそんな状況になるなんて、夢にも思わなかった。私が女の子を好きになるだなんて、誰が想像しただろうか。
否、私が一番想像していないのだから誰にも想像なんてできるはずがない。ともかく、私は――、
「(ローラに…恋をしてしまった)」
だってしょうがないじゃないか。ローラは可愛くて、優しくて、明るくて、守ってあげたくなる女の子なんだから。
ただ、一つ問題があるとすれば――。
「ナタリー様!今、ローラ様がいますよ!お声かけしましょ!」
リリィが凄くテンションが高く、そしてうざくなっていることだ。いや、普段も十分テンションは高いのだが、今日は一段と高い気がする。
「リリィ、うるさい」
私はジト目でリリィのことを見る。だって、今は……ローラとレオン様が話してるし、邪魔できないでしょ。
「えー?邪魔しましょうよー!せっかくのチャンスなんですから!」
「いや、駄目だよ。私、レオン様と言ったもの!お互い話し合ってるときは大人しくしてるって決めたでしょ?」
「それは……そうですけど……でもー」
リリィは不満そうに口を尖らせる。そんな顔しても駄目なものは駄目なのだ。だって、せっかくの二人の時間を邪魔してしまうじゃないか。
レオン様も私とローラの時間は邪魔はしないし、お互いが二人の時間にローラにちょっかいをかけるのは禁止だ、と二人の中で約束している。……それじゃなかったら私だって邪魔していたわよ!
「もうー!ナタリー様、真面目すぎますよー!」
「真面目で良いのよ。それより、早く行きましょう」
私はリリィを引っ張りながら、授業が行われる教室に向かっていった。
△▼△▼
恋のライバルがレオン様という強敵なんて、全く勝ち目がないと思っている。でも、諦めるつもりは全くない。
「ローラ。レオン様とどんなお話をされていたのですか?」
授業が始まるまではローラの側にいて、お昼ごはんのときになったら二人で食事をとる。それが私達、ナタリー・アルディとローラ・クレーヴの日常なのだ。
「え……?挨拶とか世間話ですよ?」
ヒロインが鈍感なのは前世から知っているけれど、ここまでとは思っていなかった。もう少し、異性として好かれているとか思わないのだろうか? ……いや、思わないだろうな。
だってローラだもん! ローラ・クレーヴはまさに天然系ヒロインなのだ! 可愛らしい見た目とは裏腹に、自分のやりたいことに対しては真っ直ぐで決して曲げない頑固さがある。
「そうなの……」
まあ、でもローラがそういう反応をするのは分かっていたことだ。鈍感だしね……
ならば、攻め方を変えていこうか。ローラが鈍感なのは知っていることだし、今更それを嘆いたりはしないよ!
「それより明日はアシュリー様主催のお茶会ですよね?私、アシュリー様のお茶会に初めて招かれたので失礼がないようにしないと……」
アシュリー・ベルナール。彼女はローラに続く、天才魔法使いである。彼女はローラの次に、この学園で有名だと言っても過言ではない。何故なら彼女もまた希少の光属性の持ち主なのだから。
光属性の魔力は珍しく、持って生まれる人間は十年に一度いるかいないかの確率である。そのため、光属性を持つ人間はとても重宝されるのだ。
その上、優れた頭脳も持ち合わせている。まさに完璧超人なのだ。
「何故かレオン様はアシュリー様のことをよく思ってないみたいですけど……。私、お二人はお似合いだと思うんですよね」
アシュリー様はとても美人で、レオン様と並べば美男美女カップルの完成といった感じ、とローラはそう言った。私はそれに全乗りしている。レオン様とアシュリー様はお似合い、と。これは決して邪魔ではない。
とゆうか、レオン様もレオン様でニコラス様と私のことをくっつけようとしているしねー。婚約者だから当たり前と言われれば当たり前だけど…!
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なんて、レオン様に言われてしまったのだ。そしてニコラス様は凄く満更でもねー顔していた。正直、私は嫌だけど……。
「(まぁ、リリィが全力で邪魔してるけどね……)」
リリィはニコラス様とレオン様とスティーブン様にはめちゃくちゃ厳しいのだ。ローラには甘々だが。
「ナタリー様、明日楽しみですね」
無邪気に笑うローラが可愛くてしょうがないので、リリィの気持ちが分かるので何も言えないが。
「楽しみですね、ローラ」
私はそんな純粋な気持ちなど全くないが、ローラに合わせて笑った
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