15 / 65
二章 〜思惑〜
六話 『無駄な話し合い①』
しおりを挟む
私達は平和な日々を過ごしていた。ローラがレオン様とニコラス様と接触することをなるべく避けて私達の学園生活は平穏だった。
しかし、その平穏は――、
「ナタリー・アルディ!お前との婚約を破棄させて貰う!!」
………婚約破棄を宣言されてしまうまでは。
△▼△▼
ニコラス・シャトレからの突然の婚約破棄の宣告を受けた私……ナタリー・アルディは混乱していた。
「え、えーと……ど、どういうことでしょうか……?」
私は困惑しながら、目の前にいる男を見つめる。学園に来て急にそんなことを言われるとは思わなかったのだ。それに……
「え……?ナタリー様とニコラス様が?」
「いつもニコニコしているニコラス様が……そんなことを言うなんて…」
周りがめっちゃくちゃヒソヒソされているからだ!とゆうか、こんなところで言うな!馬鹿!! そう思いながら私はキッと睨むが、ニコラス様は全く気づいていない様子だ。それどころか――。
「お前はローラ・クレーヴをいじめているのだろう?」
………全くの的外れなことを言ってきた。
いじめてる?私が?ローラを?何故そんな考えに至ったのかしら?と、私が考えていると、
「は?」
ごご……という効果音が聞こえてきそうなほど低い声が後ろから聞こえた。
振り向くとそこには――、
「り、リリィ……?」
怒りの形相をしたリリィがいた。
そして、リリィはツカツカと歩き出すと、ニコラス様の前に立ち塞がり、
「………ナタリー様がローラ様を虐めている?寝言は寝てから言ってください!」
と、叫んだ。あまりの迫力に圧倒されたのだろうか。ニコラス様は唖然としている一方で――。
「で?それはどの人から聞いたのですか?ローラ様本人から聞きましたか?私は、ローラ様の口から直接言われないと信じません」
と、続けた。
すると、ニコラス様は少しだけたじろいだが、すぐに平静を取り戻し、こう言った。
「そこの令嬢達から聞いたんだ。ローラ・クレーヴがナタリー・アルディをにいじめられているとな。それに、この手紙を見てみろ。証拠もあるぞ。これは、ローラ・クレーヴが書いたものなんだ。だから、ナタリー・アルディがやったに違いないんだよ。そうだよな、ナタリー・アルディ?」
と言っで取り出したのは一通の手紙。
確かにローラの字で書かれている。しかし、嫌がらせの内容は何一つ知らないことだ。
「ここに書いてある内容は全て嘘ですね。私はローラに嫌がらせなどしておりません。なんなら、ローラ本人に聞いてみましょうか?」
と、私が反論するとのと同時にローラがやってきた。
「ナタリー様に……リリィさんに……ニコラス様?そんなところで何を……?」
困惑気味に首を傾げるローラと、
「ローラにニコラスにナタリー・アルディにそのメイド?そんなところでどうしたんだ?何かあったのか?」
同じく、困惑しているレオン様と、
「おー。ナタリーちゃんにローラちゃんにリリィちゃんにニコラスじゃーん。こんなところで何してんの?」
呑気に笑っているスティーブン様がやって来た。……なんか、面倒なことになってるなぁ……
「スティーブン様とレオン様には関係ありません。……この件は放課後に話しましょう。では、これで失礼しますね。行きますよ、ナタリー様にローラ様」
そう言うと、リリィはローラと私の手を引いてその場を離れた。
そして放課後。私達は誰もいない空き教室に集まった。そこにはニコラス様にリリィと――、
「……どうして部外者がいらっしゃいますの?」
何故かいるスティーブン様とレオン様にリリィは盛大に顔を歪めているし。しかし、それを意にも返さないかのようにスティーブン様は笑顔でこう言った。
「んー、だって面白そーじゃん。俺も混ぜてよ」
うーわ、面白そうって理由で来たのか。なんて迷惑な人だ。
「俺はこいつ……スティーブンとは違う。ローラに話があってきただけだ」
レオン様は淡々とそう言った。それも迷惑だけどさ……そんなことを思っていると、
「ご、ごめんなさい!お、遅れました!」
息を切らしながら走って入ってきたのは、ローラだ。主役は遅れてくるものだからそれは問題ないんだけど……
「揃いましたね。じゃ、話し合いを……始めましょうか……」
と、リリィが仕切り始め。そして舞台が上がる。――この世で一番時間の無駄になるであろう話し合いが始まった。
しかし、その平穏は――、
「ナタリー・アルディ!お前との婚約を破棄させて貰う!!」
………婚約破棄を宣言されてしまうまでは。
△▼△▼
ニコラス・シャトレからの突然の婚約破棄の宣告を受けた私……ナタリー・アルディは混乱していた。
「え、えーと……ど、どういうことでしょうか……?」
私は困惑しながら、目の前にいる男を見つめる。学園に来て急にそんなことを言われるとは思わなかったのだ。それに……
「え……?ナタリー様とニコラス様が?」
「いつもニコニコしているニコラス様が……そんなことを言うなんて…」
周りがめっちゃくちゃヒソヒソされているからだ!とゆうか、こんなところで言うな!馬鹿!! そう思いながら私はキッと睨むが、ニコラス様は全く気づいていない様子だ。それどころか――。
「お前はローラ・クレーヴをいじめているのだろう?」
………全くの的外れなことを言ってきた。
いじめてる?私が?ローラを?何故そんな考えに至ったのかしら?と、私が考えていると、
「は?」
ごご……という効果音が聞こえてきそうなほど低い声が後ろから聞こえた。
振り向くとそこには――、
「り、リリィ……?」
怒りの形相をしたリリィがいた。
そして、リリィはツカツカと歩き出すと、ニコラス様の前に立ち塞がり、
「………ナタリー様がローラ様を虐めている?寝言は寝てから言ってください!」
と、叫んだ。あまりの迫力に圧倒されたのだろうか。ニコラス様は唖然としている一方で――。
「で?それはどの人から聞いたのですか?ローラ様本人から聞きましたか?私は、ローラ様の口から直接言われないと信じません」
と、続けた。
すると、ニコラス様は少しだけたじろいだが、すぐに平静を取り戻し、こう言った。
「そこの令嬢達から聞いたんだ。ローラ・クレーヴがナタリー・アルディをにいじめられているとな。それに、この手紙を見てみろ。証拠もあるぞ。これは、ローラ・クレーヴが書いたものなんだ。だから、ナタリー・アルディがやったに違いないんだよ。そうだよな、ナタリー・アルディ?」
と言っで取り出したのは一通の手紙。
確かにローラの字で書かれている。しかし、嫌がらせの内容は何一つ知らないことだ。
「ここに書いてある内容は全て嘘ですね。私はローラに嫌がらせなどしておりません。なんなら、ローラ本人に聞いてみましょうか?」
と、私が反論するとのと同時にローラがやってきた。
「ナタリー様に……リリィさんに……ニコラス様?そんなところで何を……?」
困惑気味に首を傾げるローラと、
「ローラにニコラスにナタリー・アルディにそのメイド?そんなところでどうしたんだ?何かあったのか?」
同じく、困惑しているレオン様と、
「おー。ナタリーちゃんにローラちゃんにリリィちゃんにニコラスじゃーん。こんなところで何してんの?」
呑気に笑っているスティーブン様がやって来た。……なんか、面倒なことになってるなぁ……
「スティーブン様とレオン様には関係ありません。……この件は放課後に話しましょう。では、これで失礼しますね。行きますよ、ナタリー様にローラ様」
そう言うと、リリィはローラと私の手を引いてその場を離れた。
そして放課後。私達は誰もいない空き教室に集まった。そこにはニコラス様にリリィと――、
「……どうして部外者がいらっしゃいますの?」
何故かいるスティーブン様とレオン様にリリィは盛大に顔を歪めているし。しかし、それを意にも返さないかのようにスティーブン様は笑顔でこう言った。
「んー、だって面白そーじゃん。俺も混ぜてよ」
うーわ、面白そうって理由で来たのか。なんて迷惑な人だ。
「俺はこいつ……スティーブンとは違う。ローラに話があってきただけだ」
レオン様は淡々とそう言った。それも迷惑だけどさ……そんなことを思っていると、
「ご、ごめんなさい!お、遅れました!」
息を切らしながら走って入ってきたのは、ローラだ。主役は遅れてくるものだからそれは問題ないんだけど……
「揃いましたね。じゃ、話し合いを……始めましょうか……」
と、リリィが仕切り始め。そして舞台が上がる。――この世で一番時間の無駄になるであろう話し合いが始まった。
24
お気に入りに追加
175
あなたにおすすめの小説

キモおじさんの正体は…
クラッベ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生し、ヒロインとなったナディア。
彼女はゲーム通りにいかない悪役令嬢のビビアンに濡れ衣を着せ、断罪イベントの発生を成功させる。
その後の悪役令嬢の末路は、ゲーム通りでは気持ち悪いおっさんに売られていくのを知っているナディアは、ざまぁみろと心の中で嘲笑っていた。
だけどこの時、この幸せが終わりを迎えることになるとは、ナディアは思っても見なかったのだ。

原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

気が付けば悪役令嬢
karon
ファンタジー
交通事故で死んでしまった私、赤ん坊からやり直し、小学校に入学した日に乙女ゲームの悪役令嬢になっていることを自覚する。
あきらかに勘違いのヒロインとヒロインの親友役のモブと二人ヒロインの暴走を抑えようとするが、高校の卒業式の日、とんでもないどんでん返しが。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる