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二章 〜思惑〜
六話 『無駄な話し合い①』
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私達は平和な日々を過ごしていた。ローラがレオン様とニコラス様と接触することをなるべく避けて私達の学園生活は平穏だった。
しかし、その平穏は――、
「ナタリー・アルディ!お前との婚約を破棄させて貰う!!」
………婚約破棄を宣言されてしまうまでは。
△▼△▼
ニコラス・シャトレからの突然の婚約破棄の宣告を受けた私……ナタリー・アルディは混乱していた。
「え、えーと……ど、どういうことでしょうか……?」
私は困惑しながら、目の前にいる男を見つめる。学園に来て急にそんなことを言われるとは思わなかったのだ。それに……
「え……?ナタリー様とニコラス様が?」
「いつもニコニコしているニコラス様が……そんなことを言うなんて…」
周りがめっちゃくちゃヒソヒソされているからだ!とゆうか、こんなところで言うな!馬鹿!! そう思いながら私はキッと睨むが、ニコラス様は全く気づいていない様子だ。それどころか――。
「お前はローラ・クレーヴをいじめているのだろう?」
………全くの的外れなことを言ってきた。
いじめてる?私が?ローラを?何故そんな考えに至ったのかしら?と、私が考えていると、
「は?」
ごご……という効果音が聞こえてきそうなほど低い声が後ろから聞こえた。
振り向くとそこには――、
「り、リリィ……?」
怒りの形相をしたリリィがいた。
そして、リリィはツカツカと歩き出すと、ニコラス様の前に立ち塞がり、
「………ナタリー様がローラ様を虐めている?寝言は寝てから言ってください!」
と、叫んだ。あまりの迫力に圧倒されたのだろうか。ニコラス様は唖然としている一方で――。
「で?それはどの人から聞いたのですか?ローラ様本人から聞きましたか?私は、ローラ様の口から直接言われないと信じません」
と、続けた。
すると、ニコラス様は少しだけたじろいだが、すぐに平静を取り戻し、こう言った。
「そこの令嬢達から聞いたんだ。ローラ・クレーヴがナタリー・アルディをにいじめられているとな。それに、この手紙を見てみろ。証拠もあるぞ。これは、ローラ・クレーヴが書いたものなんだ。だから、ナタリー・アルディがやったに違いないんだよ。そうだよな、ナタリー・アルディ?」
と言っで取り出したのは一通の手紙。
確かにローラの字で書かれている。しかし、嫌がらせの内容は何一つ知らないことだ。
「ここに書いてある内容は全て嘘ですね。私はローラに嫌がらせなどしておりません。なんなら、ローラ本人に聞いてみましょうか?」
と、私が反論するとのと同時にローラがやってきた。
「ナタリー様に……リリィさんに……ニコラス様?そんなところで何を……?」
困惑気味に首を傾げるローラと、
「ローラにニコラスにナタリー・アルディにそのメイド?そんなところでどうしたんだ?何かあったのか?」
同じく、困惑しているレオン様と、
「おー。ナタリーちゃんにローラちゃんにリリィちゃんにニコラスじゃーん。こんなところで何してんの?」
呑気に笑っているスティーブン様がやって来た。……なんか、面倒なことになってるなぁ……
「スティーブン様とレオン様には関係ありません。……この件は放課後に話しましょう。では、これで失礼しますね。行きますよ、ナタリー様にローラ様」
そう言うと、リリィはローラと私の手を引いてその場を離れた。
そして放課後。私達は誰もいない空き教室に集まった。そこにはニコラス様にリリィと――、
「……どうして部外者がいらっしゃいますの?」
何故かいるスティーブン様とレオン様にリリィは盛大に顔を歪めているし。しかし、それを意にも返さないかのようにスティーブン様は笑顔でこう言った。
「んー、だって面白そーじゃん。俺も混ぜてよ」
うーわ、面白そうって理由で来たのか。なんて迷惑な人だ。
「俺はこいつ……スティーブンとは違う。ローラに話があってきただけだ」
レオン様は淡々とそう言った。それも迷惑だけどさ……そんなことを思っていると、
「ご、ごめんなさい!お、遅れました!」
息を切らしながら走って入ってきたのは、ローラだ。主役は遅れてくるものだからそれは問題ないんだけど……
「揃いましたね。じゃ、話し合いを……始めましょうか……」
と、リリィが仕切り始め。そして舞台が上がる。――この世で一番時間の無駄になるであろう話し合いが始まった。
しかし、その平穏は――、
「ナタリー・アルディ!お前との婚約を破棄させて貰う!!」
………婚約破棄を宣言されてしまうまでは。
△▼△▼
ニコラス・シャトレからの突然の婚約破棄の宣告を受けた私……ナタリー・アルディは混乱していた。
「え、えーと……ど、どういうことでしょうか……?」
私は困惑しながら、目の前にいる男を見つめる。学園に来て急にそんなことを言われるとは思わなかったのだ。それに……
「え……?ナタリー様とニコラス様が?」
「いつもニコニコしているニコラス様が……そんなことを言うなんて…」
周りがめっちゃくちゃヒソヒソされているからだ!とゆうか、こんなところで言うな!馬鹿!! そう思いながら私はキッと睨むが、ニコラス様は全く気づいていない様子だ。それどころか――。
「お前はローラ・クレーヴをいじめているのだろう?」
………全くの的外れなことを言ってきた。
いじめてる?私が?ローラを?何故そんな考えに至ったのかしら?と、私が考えていると、
「は?」
ごご……という効果音が聞こえてきそうなほど低い声が後ろから聞こえた。
振り向くとそこには――、
「り、リリィ……?」
怒りの形相をしたリリィがいた。
そして、リリィはツカツカと歩き出すと、ニコラス様の前に立ち塞がり、
「………ナタリー様がローラ様を虐めている?寝言は寝てから言ってください!」
と、叫んだ。あまりの迫力に圧倒されたのだろうか。ニコラス様は唖然としている一方で――。
「で?それはどの人から聞いたのですか?ローラ様本人から聞きましたか?私は、ローラ様の口から直接言われないと信じません」
と、続けた。
すると、ニコラス様は少しだけたじろいだが、すぐに平静を取り戻し、こう言った。
「そこの令嬢達から聞いたんだ。ローラ・クレーヴがナタリー・アルディをにいじめられているとな。それに、この手紙を見てみろ。証拠もあるぞ。これは、ローラ・クレーヴが書いたものなんだ。だから、ナタリー・アルディがやったに違いないんだよ。そうだよな、ナタリー・アルディ?」
と言っで取り出したのは一通の手紙。
確かにローラの字で書かれている。しかし、嫌がらせの内容は何一つ知らないことだ。
「ここに書いてある内容は全て嘘ですね。私はローラに嫌がらせなどしておりません。なんなら、ローラ本人に聞いてみましょうか?」
と、私が反論するとのと同時にローラがやってきた。
「ナタリー様に……リリィさんに……ニコラス様?そんなところで何を……?」
困惑気味に首を傾げるローラと、
「ローラにニコラスにナタリー・アルディにそのメイド?そんなところでどうしたんだ?何かあったのか?」
同じく、困惑しているレオン様と、
「おー。ナタリーちゃんにローラちゃんにリリィちゃんにニコラスじゃーん。こんなところで何してんの?」
呑気に笑っているスティーブン様がやって来た。……なんか、面倒なことになってるなぁ……
「スティーブン様とレオン様には関係ありません。……この件は放課後に話しましょう。では、これで失礼しますね。行きますよ、ナタリー様にローラ様」
そう言うと、リリィはローラと私の手を引いてその場を離れた。
そして放課後。私達は誰もいない空き教室に集まった。そこにはニコラス様にリリィと――、
「……どうして部外者がいらっしゃいますの?」
何故かいるスティーブン様とレオン様にリリィは盛大に顔を歪めているし。しかし、それを意にも返さないかのようにスティーブン様は笑顔でこう言った。
「んー、だって面白そーじゃん。俺も混ぜてよ」
うーわ、面白そうって理由で来たのか。なんて迷惑な人だ。
「俺はこいつ……スティーブンとは違う。ローラに話があってきただけだ」
レオン様は淡々とそう言った。それも迷惑だけどさ……そんなことを思っていると、
「ご、ごめんなさい!お、遅れました!」
息を切らしながら走って入ってきたのは、ローラだ。主役は遅れてくるものだからそれは問題ないんだけど……
「揃いましたね。じゃ、話し合いを……始めましょうか……」
と、リリィが仕切り始め。そして舞台が上がる。――この世で一番時間の無駄になるであろう話し合いが始まった。
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