知らない世界に転生したと思ったら、すぐ側にガチ勢がいた件について

かんな

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二章 〜思惑〜

二話 『テスト』

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パーティが終わり、私は部屋に戻った。ベッドに寝転びながら今日の出来事を思い出していると、コンコンとノック音が聞こえてきた。
そして返事を待たずに入ってきてリリィはこう言った。


「ナタリー様、お願いがあります。スティーブン・マーティンとは絶対に関わらないでください。」


リリィは真剣な表情でそう言った。それはいつものオタク口調で早口で話すリリィとは違っていて、私は少し驚いてしまった。


「ど、どうして?」


「それはですね!スティーブン様がめちゃくちゃ屑だからです!漫画だとローラ様のことを好きだって言ってたくせに他の女を口説いたりしているのが許せないんですよね!しかも、こいつ遊びでやって妊娠した令嬢に責任取らずに別れるとか最低最悪なことをしてますし!その上、最後はローラ様に振られて、フラれた腹いせにレオン様のことも狙ったり……そんな奴をナタリー様が関わる必要ありません!」


リリィがめっちゃ喋ってる。まぁ、ローラ主義者のリリィにとっては許せるような相手ではないんだろう。てゆうか、浮気された挙句、捨てられたのか……可哀想だな、その令嬢……。


「その令嬢は結局どうなったの……?」


「確か……別の男と結婚されて幸せに暮らしてらっしゃいますよ。妊娠した子供に罪はないし、産む選択をしていました。ちなみに、スティーブン・マーティンはその後、地下労働施設に送られてそこで一生を終えたらしいですね。これが本当のざまぁというやつでしょうか」


リリィ……めっちゃくちゃ悪い顔してるよ?……まぁ、でも気持ちはわかる。令嬢からしたらスティーブン様は最悪の男だろうなーと思う。
それにしてもスティーブン様はそこまでクズだったとは……


「そうなんだ。じゃあ、スティーブン様とはあんまり関わらないようにするから。後、リリィに聞きたいことがあったのだけど……」


「何です?」


「レオン様に招待状を送ったのってリリィなんでしょう?」


「やだなぁ。ナタリー様。たかがメイドの私にそんな権限あるわけないじゃ無いですか~」


嘘っぽい笑みを浮かべながら言うリリィだが、目が泳ぎまくりじゃないか。これは確実に私が言ったことを実行しているに違いない。


「正直に言いなさい。怒らないから」


「……はい。送りました。だってこれ以上ローラ様とレオン様の仲を深められる訳にはいかないんですもの!!」


開き直ったように叫ぶリリィ。……うん。そうだと思った。


「…ナタリー様はお二人を応援するって仰いましたが、私は反対です!ニコラス様はいい人ですがローラと恋して婚約破棄される可能性も大ですし!」


早口で言うリリィに苦笑いするしかない。まぁ、ニコラス様の第一印象は良かったし、カッコいい人だったしなぁ……


「ローガス様の見る目があるのは確かなんですが……」


はぁ……と言うため息をつくリリィに、漫画ではどんな感じだったのか聞いてみると、


「えっとですね~、クール系美形でしたね!かっこよくて優しくて天然な方でしたよ。つまり、昨日見たまんまですね!」


クールで優しいイケメンか……昨夜のパーティーでのまんまだな…



「そういえば……今ってどの段階なの?」 


ふっと疑問に思ってリリィに聞いてみるとリリィはこう言った。


「さぁ。…てゆうか、今の話は漫画にないですし。それにレオン様とローラ様の仲は漫画より進展が遅めですしね。まぁ、私が妨害しているからなんですけどね」


満面の笑顔で言われても困るんだけど……この子、いつかローラのためなら殺人とかやりかねないな……いや、もう既にやってるかも……


「ナタリー様、今失礼なこと考えてませんでした?」


「いや、何も考えていないわよ。そんなことより明日は学校なんだから早めに寝ましょう」


そう言ってベッドに入った。リリィも渋々といった様子で私の部屋に出て行った。


△▼△▼



あれから数日が経った。ニコラス様とは話していない。たまにすれ違ったりするのだが、会釈だけで終わっていた。婚約者としてどうなのって思うかもしれないけど、私としては気軽で助かった。


そして今日は魔法の授業がある。魔法属性別に授業があるのだが、今日は初日だ。……ローラもリリィもいないから話し相手がいなくて暇だな……
そんなことを考えていると、


「……え?」


ニコラス・シャトレ様が教室に入って来た。…ニコラス様も水魔法属性なん?……マジか……


「ニコラス様素敵ですわ……」


「本当にカッコいいわ……」


女子達は頬を赤らめながらうっとりとした表情でニコラス様を見つめていた。……ああ、まぁ、確かに素敵だよねぇ……わかるよ。


「…こんにちは。ナタリーさん。隣いいですか?」


そんなことを思ってたらニコラス様が笑顔で話しかけられた。…その途端殺気を感じる。……嫌だわー……とは思ったが断るのはどうかと思ったので了承した。
すると、彼は嬉しそうに微笑みながら、 ありがとうございます。と言い、私の隣に座った直後。


「はい、みなさん、始めますよ!」


先生の声によって、実技の時間が始まった。
最初は呪文の練習から始まった。
私は練習用の杖を使い、


「ウォーターボール!」


水の玉を飛ばした。これは威力が低く、誰でも出来る魔法の練習をとりあえず始めた。まぁ、威力が低い魔法だし、一発で出来た。次は――


「……ゼロフールフィル」


不意に隣からそんな声が聞こえてきた。見ると、木は氷の結晶になり、閉じ込められている。……その魔法を使っているのは――ニコラス様だ。流石、ニコラス様……魔力も高いのか。


「………ニコラス様、凄いですね……」


「ニコラス様素敵だわ……」


他の生徒から黄色い歓声が上がる。
その後も次々と上級の魔法を使っていく。……それを見ると、私も上級の魔法をやってみたくなってきた。


「アクアカッター!」


私は水の刃を作り、それを飛ばす。もちろん、ニコラス様には当てない。当てたら絶対怒られるもん!だから氷の結晶に閉じ込められている木の枝を切った。


「な、ナタリー様も凄いですわ!!」


……周りからも感嘆の声が上がる。私がドヤ顔しているとニコラス様も何かの火がついたのか、 更に難易度の高い水魔法の上級魔法を使ってきた。く……負けてられるか…!
それから暫く、お互いの得意な魔法を出し合っていたら先生に叱られ、中断させられた。
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