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六話 『避けられている……?』
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――最近、上原悠馬にめちゃくちゃ避けられている。学校には来ているのだが、俺と目を合わせようとしない。お昼も一緒に食べてくれねーし。
「……まぁ。いつも通りの日常に戻った……ってことなのかな」
………いつも通りの日常が戻ってきた。……ただそれだけのことだ。ぼっちはぼっちらしく、これからも静かに学校生活を送ればいい、とそう言われている様だ。
「………いやだな」
変だ。いつもと変わらずにぼっち生活を送っていくだけなのに。
……俺は……どうして寂しいと感じているんだろう?
「………俺、どうしちゃったんだろうな」
俺はそう呟き、ため息をついた。……そして、静かに空を見上げる。この〝寂しい〟という感情は、一体いつまで続くんだろうか。
「何これ……」
〝寂しい〟という感情は、しばらく続いた。……いや、正確に言えば今も続いている。
「(隣のクラスに……行こうかな……)」
しかし、悲しいことに、俺はコミュ障だ。……隣のクラスに行く勇気が湧かない。俺は、自分の席から窓の外をただじっと眺めながら、
「(……来るわけないのに何を期待しているんだろう。俺は)」
そう心の中で呟いた。……そう、来るわけないのだ。だって、上原悠馬は俺を避けているんだから。何故避けているのかはわからないし……直接聞く勇気なんて、俺にはない。
そして、俺の虚しい時間だけが過ぎていった。
△▼△▼
――どうしてこんなことになったのだろう。
「ちょ……み、稔……?」
何故、俺は上原悠馬を壁ドンをしているのだろうか。自分でしたことなのに、分からないなんて変な話だけど……
「な、何。早く放せよ……」
あの、上原悠馬が俺にこんなことを言っている。……こんな上原悠馬、誰も知らないだろう。俺は今、そんな優越感に浸っていた。
「……ねぇ。どうして。避けるの?」
「それは……その……」
「どうして?」
俺は問い詰める。いつもなら、考えられない。こんなこと。
「べ、別に……避けてなんていないし……」
上原悠馬は、そう言って俺から目を逸らした。……どうして、目を逸らすの?……どうして。
「好きじゃ、なかったの。俺のこと」
「……え?」
「嘘だったの……?あの告白。じゃあ、最初から、俺のことなんて……好きじゃなかったの?」
俺は…何を言っているんだろう。……上原悠馬と過ごした期間なんてそんなにないのに。
……でも、俺は確かに感じてしまっていたんだ。〝寂しい〟という感情を。
「そ、そういうわけじゃなくて……その……」
「……じゃあ、どういうこと?」
俺はそう言って、再び上原悠馬に問い詰める。……何でこんなにこいつに執着するのかはわからない。でも、今はそうしないといけない気がしたんだ。
――きっと、こいつと離れたくないから。
「……引いただろ。男が少女漫画を読むなんて」
「え……?」
俺は、上原悠馬が言ったその言葉が理解できず、そう言葉を返す。どうして上原悠馬は少女漫画を読んでいることで俺に引かれると思ったんだ? その疑問が俺の頭の中をグルグルと回っていると、
「だって俺が……〝貴方に花束を〟を読んでいるって聞いたら、引くだろ。普通」
そう言って、上原悠馬は顔を赤らめた。……え?〝貴方に花束を〟って……ああ、なるほどね……
「……えっと……その……俺もその漫画を買おうとしてたけど」
「………え……?」
俺は、そう言って上原悠馬から目を逸らした。……やばい。今思えばこの状況……めちゃくちゃ恥ずかしい。
そして、俺は恐る恐る上原悠馬の顔を見た。すると、そこには顔を真っ赤にした上原悠馬がいたし、俺も真っ赤。……この沈黙は、一体いつまで続くんだろう……と、思われたが、俺がその沈黙を破る。
「……俺は別に恥ずかしくないと思うけど。男が少女漫画読んでいること」
上原悠馬にとってそれが〝恥ずかしい〟ことなんだろう。だけど、俺が持ってしまったのは興味。……だから、俺はこの興味を大事にしたい。
「え?そ、そうか……?」
「うん。寧ろ、興味があるよ。弟にお願いして、俺もその漫画読むわ。じゃあな。上原くん」
そう言って俺は去っていった。
「……まぁ。いつも通りの日常に戻った……ってことなのかな」
………いつも通りの日常が戻ってきた。……ただそれだけのことだ。ぼっちはぼっちらしく、これからも静かに学校生活を送ればいい、とそう言われている様だ。
「………いやだな」
変だ。いつもと変わらずにぼっち生活を送っていくだけなのに。
……俺は……どうして寂しいと感じているんだろう?
「………俺、どうしちゃったんだろうな」
俺はそう呟き、ため息をついた。……そして、静かに空を見上げる。この〝寂しい〟という感情は、一体いつまで続くんだろうか。
「何これ……」
〝寂しい〟という感情は、しばらく続いた。……いや、正確に言えば今も続いている。
「(隣のクラスに……行こうかな……)」
しかし、悲しいことに、俺はコミュ障だ。……隣のクラスに行く勇気が湧かない。俺は、自分の席から窓の外をただじっと眺めながら、
「(……来るわけないのに何を期待しているんだろう。俺は)」
そう心の中で呟いた。……そう、来るわけないのだ。だって、上原悠馬は俺を避けているんだから。何故避けているのかはわからないし……直接聞く勇気なんて、俺にはない。
そして、俺の虚しい時間だけが過ぎていった。
△▼△▼
――どうしてこんなことになったのだろう。
「ちょ……み、稔……?」
何故、俺は上原悠馬を壁ドンをしているのだろうか。自分でしたことなのに、分からないなんて変な話だけど……
「な、何。早く放せよ……」
あの、上原悠馬が俺にこんなことを言っている。……こんな上原悠馬、誰も知らないだろう。俺は今、そんな優越感に浸っていた。
「……ねぇ。どうして。避けるの?」
「それは……その……」
「どうして?」
俺は問い詰める。いつもなら、考えられない。こんなこと。
「べ、別に……避けてなんていないし……」
上原悠馬は、そう言って俺から目を逸らした。……どうして、目を逸らすの?……どうして。
「好きじゃ、なかったの。俺のこと」
「……え?」
「嘘だったの……?あの告白。じゃあ、最初から、俺のことなんて……好きじゃなかったの?」
俺は…何を言っているんだろう。……上原悠馬と過ごした期間なんてそんなにないのに。
……でも、俺は確かに感じてしまっていたんだ。〝寂しい〟という感情を。
「そ、そういうわけじゃなくて……その……」
「……じゃあ、どういうこと?」
俺はそう言って、再び上原悠馬に問い詰める。……何でこんなにこいつに執着するのかはわからない。でも、今はそうしないといけない気がしたんだ。
――きっと、こいつと離れたくないから。
「……引いただろ。男が少女漫画を読むなんて」
「え……?」
俺は、上原悠馬が言ったその言葉が理解できず、そう言葉を返す。どうして上原悠馬は少女漫画を読んでいることで俺に引かれると思ったんだ? その疑問が俺の頭の中をグルグルと回っていると、
「だって俺が……〝貴方に花束を〟を読んでいるって聞いたら、引くだろ。普通」
そう言って、上原悠馬は顔を赤らめた。……え?〝貴方に花束を〟って……ああ、なるほどね……
「……えっと……その……俺もその漫画を買おうとしてたけど」
「………え……?」
俺は、そう言って上原悠馬から目を逸らした。……やばい。今思えばこの状況……めちゃくちゃ恥ずかしい。
そして、俺は恐る恐る上原悠馬の顔を見た。すると、そこには顔を真っ赤にした上原悠馬がいたし、俺も真っ赤。……この沈黙は、一体いつまで続くんだろう……と、思われたが、俺がその沈黙を破る。
「……俺は別に恥ずかしくないと思うけど。男が少女漫画読んでいること」
上原悠馬にとってそれが〝恥ずかしい〟ことなんだろう。だけど、俺が持ってしまったのは興味。……だから、俺はこの興味を大事にしたい。
「え?そ、そうか……?」
「うん。寧ろ、興味があるよ。弟にお願いして、俺もその漫画読むわ。じゃあな。上原くん」
そう言って俺は去っていった。
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