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〜番外編〜
『パーティ②』
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綺麗なドレス。美味しい料理。
豪華なプレゼント。
全部、カナのために用意されたもの。
今まで生きてきて、一番嬉しいバースデーパーティーだった。その上――。
「カナちゃんー、おめでとう!」
「カナちゃん、おめでとう」
そんな友達の言葉が、嬉しかった。カナには友達という概念がなかったのだ。ずっと一人ぼっちだったため、友人というものに憧れを抱いていた。それが今叶っていることが本当に幸せだった。
そして――、
「カナ、おめでとう!」
「お嬢様、おめでとうございます」
「おめでとう。……カナ」
愛おしい人と大切な使用人の声と大嫌いだった父親の声。大嫌いだった筈の父親のことを今じゃ好きになっているし、光輝も大切な使用人でいつもカナの愚痴を聞いてくれるから好きだし透は言わずもがなだ。
そして――、
「カナちゃん、おめでとう~!」
「松崎さん、おめでとう」
「えーーと…おめでとうございます」
茜と和馬と奏太も祝ってくれた。三人はカナにとってはよく分からない人だが、それでも三人とも祝ってくれたことに違いはなかった。
みんながカナの誕生日を覚えてくれていたのは驚きだったが、それ以上にとても嬉しかった。
こんな誕生日は初めてだ。
そして――、
「ま、おめでとうー」
適当にそう言いながら、照れ臭そうに笑う春人の姿があった。
カナはその言葉だけで充分満足していた。
だから――、 この瞬間だけは、素直になろうと思った。
いつものように意地悪なことを言いたい気持ちを抑え込み、今日くらいは自分の本心を曝け出そうと思った。
自然と口から出た言葉は――、
「みんな…… ありがとう……」
ただそれだけだった。
しかし、今のカナにとってそれは大きな一歩であった。
それから一時間ほど経った頃だろうか。
ケーキを食べたり、ゲームをしたりして楽しんでいった――。
△▼△▼
「……俺ここにいていいの?俺この子と全く持って無関係だよ?」
奏太はそう言いながら周りを見渡す。実際無関係だ。カナとは会ったことはないし、茜のツテで来ただけだ。茜はカナの先生だからともかく、奏太は完全に部外者だ。
すると、茜はこう言った。
「いいじゃない。カナちゃんには自慢しなくちゃ。私の彼氏をね~」
茜は悪戯っぽく笑った。奏太は思わずドキッとする。――やはり美少女だ、と改めて思う。そんなことを思っていると、
「成宮……来てくれないと思ってた」
「あら。来るに決まってるじゃない。私はもうあのナヨナヨしていた頃の私じゃなくなったんだから」
モヤモヤと心の中で何かが渦巻く感覚に陥る。この男は茜の初恋の男であり、今は思いは断ち切れた、と聞くが、嫉妬する、しないは別の話である。
やはり彼女が自分以外の男と話している姿を見るとどうしても嫉妬してしまうのだ。その感情を隠すように奏太がため息を吐いていると、
「どうしたの?奏太」
ツンツンとほっぺたをつついてきた。急に話しかけられたことに驚いたのか、ビクッとして少し赤面しながら答える。
茜はニコッとした顔で言う。
奏太はそれを見てまたドキドキしてしまった。
「(……反則)」
先までくだらないことで悩んでいた自分が馬鹿らしくなってくる。こんな可愛い女の子が自分の彼女なのだ。嫉妬も消えていくのを感じていたのと同時に――。
「夜。帰ったら覚悟しろよ」
小声でボソッと言った。
それを聞いた茜の顔はさらに赤く染まる。そして、目を逸らすようにしてこう言う。
「馬鹿」
この表情は自分のものなんだという優越感に浸っていた。
豪華なプレゼント。
全部、カナのために用意されたもの。
今まで生きてきて、一番嬉しいバースデーパーティーだった。その上――。
「カナちゃんー、おめでとう!」
「カナちゃん、おめでとう」
そんな友達の言葉が、嬉しかった。カナには友達という概念がなかったのだ。ずっと一人ぼっちだったため、友人というものに憧れを抱いていた。それが今叶っていることが本当に幸せだった。
そして――、
「カナ、おめでとう!」
「お嬢様、おめでとうございます」
「おめでとう。……カナ」
愛おしい人と大切な使用人の声と大嫌いだった父親の声。大嫌いだった筈の父親のことを今じゃ好きになっているし、光輝も大切な使用人でいつもカナの愚痴を聞いてくれるから好きだし透は言わずもがなだ。
そして――、
「カナちゃん、おめでとう~!」
「松崎さん、おめでとう」
「えーーと…おめでとうございます」
茜と和馬と奏太も祝ってくれた。三人はカナにとってはよく分からない人だが、それでも三人とも祝ってくれたことに違いはなかった。
みんながカナの誕生日を覚えてくれていたのは驚きだったが、それ以上にとても嬉しかった。
こんな誕生日は初めてだ。
そして――、
「ま、おめでとうー」
適当にそう言いながら、照れ臭そうに笑う春人の姿があった。
カナはその言葉だけで充分満足していた。
だから――、 この瞬間だけは、素直になろうと思った。
いつものように意地悪なことを言いたい気持ちを抑え込み、今日くらいは自分の本心を曝け出そうと思った。
自然と口から出た言葉は――、
「みんな…… ありがとう……」
ただそれだけだった。
しかし、今のカナにとってそれは大きな一歩であった。
それから一時間ほど経った頃だろうか。
ケーキを食べたり、ゲームをしたりして楽しんでいった――。
△▼△▼
「……俺ここにいていいの?俺この子と全く持って無関係だよ?」
奏太はそう言いながら周りを見渡す。実際無関係だ。カナとは会ったことはないし、茜のツテで来ただけだ。茜はカナの先生だからともかく、奏太は完全に部外者だ。
すると、茜はこう言った。
「いいじゃない。カナちゃんには自慢しなくちゃ。私の彼氏をね~」
茜は悪戯っぽく笑った。奏太は思わずドキッとする。――やはり美少女だ、と改めて思う。そんなことを思っていると、
「成宮……来てくれないと思ってた」
「あら。来るに決まってるじゃない。私はもうあのナヨナヨしていた頃の私じゃなくなったんだから」
モヤモヤと心の中で何かが渦巻く感覚に陥る。この男は茜の初恋の男であり、今は思いは断ち切れた、と聞くが、嫉妬する、しないは別の話である。
やはり彼女が自分以外の男と話している姿を見るとどうしても嫉妬してしまうのだ。その感情を隠すように奏太がため息を吐いていると、
「どうしたの?奏太」
ツンツンとほっぺたをつついてきた。急に話しかけられたことに驚いたのか、ビクッとして少し赤面しながら答える。
茜はニコッとした顔で言う。
奏太はそれを見てまたドキドキしてしまった。
「(……反則)」
先までくだらないことで悩んでいた自分が馬鹿らしくなってくる。こんな可愛い女の子が自分の彼女なのだ。嫉妬も消えていくのを感じていたのと同時に――。
「夜。帰ったら覚悟しろよ」
小声でボソッと言った。
それを聞いた茜の顔はさらに赤く染まる。そして、目を逸らすようにしてこう言う。
「馬鹿」
この表情は自分のものなんだという優越感に浸っていた。
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