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『シャーロット・グレイの日常 〜中編〜』
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――あれからめっちゃくちゃあの子……白鷺玲奈に睨まれている。正面から私に嫌味を言ってくるけど、正直可愛いものだ。
だからダメージはゼロなんだけど、白鷺玲奈は私が気に食わないらしい。
事あるごとに突っかかってきている。
……いや、まぁそれは別にいいんだけど。問題は――、
「ちょっと!理事長の孫と仲良くして生意気なのよ!」
あの子――白鷺玲奈は理事長の孫らしい。そんなつもりは全くないのだが、周囲からそう見られているらしい。正直、嫌だった。あっちから一方的に絡んできて、私は何もしていないのに。
「天才だからって調子に乗らないでよね」
「そう、そうよ。理事長の孫だからって……特別扱いされないように気を付けることね」
「ちょっと可愛いからって調子に乗ってたら、すぐ痛い目見るわよ?」
とまぁこんな感じである。いつも通りの流れ。正直、相手にするだけ時間の無駄なのでスルーを決め込んでいる、いつも通りの日常だった。この後、暴力という名の反撃があるだろう。
……そんなことを思っていると。
「ちょっと!」
――突如に響き渡った、力強い声。思わず私は顔を上げる。声のした方向を見ると、白鷺玲奈が他の女子生徒をキッと睨みつけていた。
「黙って聞いてたら好き勝手言ってくれて……天才だとか理事長の孫だとか関係ないでしょ!」
普段の姿からは想像もつかない、力強く凛とした声色でそう言い放つ。何この人。めっちゃ強気じゃん。
白鷺玲奈の言葉に、他の女子生徒たちは言葉を失う。そして、その隙を突くように彼女は言葉を続けた。
「あんた達、自分が気に入らないからって、他人を貶めるようなことばっかり言って恥ずかしくないの?」
ズバッと言い切る白鷺玲奈。そんな姿にポカンとする他の女子生徒。……そして、私もまた同じ反応をしていた。
「……何。文句ある?」
ギロリ、と鋭い目つきで睨みつける白鷺玲奈にたじろいたのか女子生徒達は何も言えず散り散りに去っていった。
「………ったく」
「………凄いわね」
思わず、ほめてしまった。素直に関心した、ということもある。ただ、それだけじゃない。今までにないタイプだったのもある。
「どうして助けたの?あんなこと言ったら余計面倒なのに」
「別に。ただムカついたのと、あいつらが間違ってると思ったから言っただけよ」
「……そう」
その目は嘘じゃない。本気でそう思って言ったのだろう。だから、カッコいいと思った。
「……シラサギレイナ」
「何よ。急に名前で呼んで。しかも日本語で」
「………ありがとう」
素直に、お礼を言った。白鷺玲奈は私のお礼が意外だったのか、少し驚いた表情を見せた。そして、すぐに……
「ねぇ。私達友達にならない?」
そう、問いかけてきた。私はポカーン
とする。
友達?私と白鷺玲奈が?マジで言ってる?
「え、えっと……本気?」
私のことを嫌っていると思っていた。だから、そんな言葉が彼女の口から出るなんて思いもしなかったし、何より信じられなかった。
「何よ?友達になりたくないの?」
まるで、私が『はい』と答えるのが当然のような聞き方。いや、まぁ別に嫌なわけじゃないし、なりたくないわけではないんだけど……でも、あの態度が気に食わない。
「どうして、私なの?」
だから、理由を知りたくなった。きっとそこには何かあると思ったから。すると白鷺玲奈は……
「私達って似たもの同士でしょ?だから、仲良くなれそうと思って。ほら、天才ってレッテル貼られて孤立してるじゃない?親近感があるっていうか……」
「天才って……自分で言う?」
「私が言うのはいいの!でも、他のやつらに言われるとめちゃくちゃ腹が立つの!」
理不尽すぎる。矛盾しているし、ワガママが過ぎる。
……でも、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。むしろ、どこか気持ちが楽になったような感じがした
「それでよ。……ダメ?」
「……はぁ」
白鷺玲奈の言葉に私はため息をついた。自信満々で私が友達になってくれると信じて疑わない感じ……わがままだな。
……でも、何だか嫌な気分じゃなかった。だから……
私は白鷺玲奈に手を差し出しながら、
「………ええ。友達になりましょう」
そう言った。
すると、白鷺玲奈はパァーっと表情を明るくさせ、私の手を強く握り返してきた。
こうして、私と白鷺玲奈は友達になった。
だからダメージはゼロなんだけど、白鷺玲奈は私が気に食わないらしい。
事あるごとに突っかかってきている。
……いや、まぁそれは別にいいんだけど。問題は――、
「ちょっと!理事長の孫と仲良くして生意気なのよ!」
あの子――白鷺玲奈は理事長の孫らしい。そんなつもりは全くないのだが、周囲からそう見られているらしい。正直、嫌だった。あっちから一方的に絡んできて、私は何もしていないのに。
「天才だからって調子に乗らないでよね」
「そう、そうよ。理事長の孫だからって……特別扱いされないように気を付けることね」
「ちょっと可愛いからって調子に乗ってたら、すぐ痛い目見るわよ?」
とまぁこんな感じである。いつも通りの流れ。正直、相手にするだけ時間の無駄なのでスルーを決め込んでいる、いつも通りの日常だった。この後、暴力という名の反撃があるだろう。
……そんなことを思っていると。
「ちょっと!」
――突如に響き渡った、力強い声。思わず私は顔を上げる。声のした方向を見ると、白鷺玲奈が他の女子生徒をキッと睨みつけていた。
「黙って聞いてたら好き勝手言ってくれて……天才だとか理事長の孫だとか関係ないでしょ!」
普段の姿からは想像もつかない、力強く凛とした声色でそう言い放つ。何この人。めっちゃ強気じゃん。
白鷺玲奈の言葉に、他の女子生徒たちは言葉を失う。そして、その隙を突くように彼女は言葉を続けた。
「あんた達、自分が気に入らないからって、他人を貶めるようなことばっかり言って恥ずかしくないの?」
ズバッと言い切る白鷺玲奈。そんな姿にポカンとする他の女子生徒。……そして、私もまた同じ反応をしていた。
「……何。文句ある?」
ギロリ、と鋭い目つきで睨みつける白鷺玲奈にたじろいたのか女子生徒達は何も言えず散り散りに去っていった。
「………ったく」
「………凄いわね」
思わず、ほめてしまった。素直に関心した、ということもある。ただ、それだけじゃない。今までにないタイプだったのもある。
「どうして助けたの?あんなこと言ったら余計面倒なのに」
「別に。ただムカついたのと、あいつらが間違ってると思ったから言っただけよ」
「……そう」
その目は嘘じゃない。本気でそう思って言ったのだろう。だから、カッコいいと思った。
「……シラサギレイナ」
「何よ。急に名前で呼んで。しかも日本語で」
「………ありがとう」
素直に、お礼を言った。白鷺玲奈は私のお礼が意外だったのか、少し驚いた表情を見せた。そして、すぐに……
「ねぇ。私達友達にならない?」
そう、問いかけてきた。私はポカーン
とする。
友達?私と白鷺玲奈が?マジで言ってる?
「え、えっと……本気?」
私のことを嫌っていると思っていた。だから、そんな言葉が彼女の口から出るなんて思いもしなかったし、何より信じられなかった。
「何よ?友達になりたくないの?」
まるで、私が『はい』と答えるのが当然のような聞き方。いや、まぁ別に嫌なわけじゃないし、なりたくないわけではないんだけど……でも、あの態度が気に食わない。
「どうして、私なの?」
だから、理由を知りたくなった。きっとそこには何かあると思ったから。すると白鷺玲奈は……
「私達って似たもの同士でしょ?だから、仲良くなれそうと思って。ほら、天才ってレッテル貼られて孤立してるじゃない?親近感があるっていうか……」
「天才って……自分で言う?」
「私が言うのはいいの!でも、他のやつらに言われるとめちゃくちゃ腹が立つの!」
理不尽すぎる。矛盾しているし、ワガママが過ぎる。
……でも、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。むしろ、どこか気持ちが楽になったような感じがした
「それでよ。……ダメ?」
「……はぁ」
白鷺玲奈の言葉に私はため息をついた。自信満々で私が友達になってくれると信じて疑わない感じ……わがままだな。
……でも、何だか嫌な気分じゃなかった。だから……
私は白鷺玲奈に手を差し出しながら、
「………ええ。友達になりましょう」
そう言った。
すると、白鷺玲奈はパァーっと表情を明るくさせ、私の手を強く握り返してきた。
こうして、私と白鷺玲奈は友達になった。
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