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第12章 トラブル、トラブル、トラブル
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「ああ、びっくりした。お父様は見た目が怖いのですからあんな登場の仕方をしないでください。ただでさえまだ戻ってきてから少ししかお会いしていないので、心の準備が出来ていないのです」
「心の準備……」
モロク大公は茫然と呟いた。
そのとき。
部屋の扉が乱暴にノックされた。
「姫様? セルリア様? 何かございましたか?」
控えの間の侍女長の声である。
今の物音が外にも聞こえたようだった。
「だ、大丈夫です」
セロリは慌てて答える。
「しかし何か物音と、それから『ふんが~』と云う声が」
セロリはあきれ顔でモロク大公を睨みつける。
大公は、ペロリ、と舌を出して、てへへ、と、笑いながら頭を掻いた。
可愛くはない。むしろ不気味である。
「大丈夫です。あの声はラフィンが居眠りをして鼾をかいた声です。物音はそのあと寝ぼけて、テーブルに一本背負いをした音です」
「ええ? 姫様、それは……」
抗議しようとするラフィンをセロリが手で制する。
そんな言い訳でごまかせるだろうか?
「ああ、さようでございますか。わかりました、姫様。それから、ラフィン、あなたも姫様付きならば自覚を持ちなさい!」
「は、はい。申し訳ございません」
落ち着きを取り戻したラフィンが反射的に答える。
(姫様、言い訳とは云え、鼾とか一本背負いとか、それはあんまりです。私はそんなに滅茶苦茶ではございませんのに)
侍女長に答えながらも抗議の言葉をぐっと噛み殺すラフィンであった。
「まったく、最近の侍女はたるんでいて困ります」
扉の向こうで侍女長がぶつくさ云うのが聞こえた。
何とかごまかせたらしい。平和ボケのリスタル公国ならではである。
セロリが、ほっ、と胸を撫で下ろした。
イザベラ妃はマイペースの笑顔で侍女長の声が聞こえた入り口の扉を眺めている。
「ごまかせたみたいね。よかったわ。この城の使用人がお間抜けばかりで。でもそれはそれで心配ですけれどね。ところでセロリ……」
イザベラ妃が、セロリの顔を覗き込んだ。
「泣いていたの?」
「ええ……。はい」と、セロリ。
「そう。あの『運び屋』さんたちのことね? 処刑される、とか聞きましたが?」
「はい、そうなのです。……お母様、ラスバルトの凶行を止めてください。このままでは私の恩人のおふたりが……」
「ええ、わかっていますよ。そのためにわざわざここまで来たのですから」
イザベラ妃は愛おしそうにセロリの髪とネコ耳を撫でた。
その優しい感触は久しぶりだな、と、セロリは目を閉じて身を任せる。
(ああ、そう云えば、サンタと羽衣もこんなふうに優しく撫でてくれたっけ)
だからこそあのふたりを助けなければならないのだ。
「ところで、お母様。どうやってここまで? お父様とお母様はラスバルトによってトナーク宮に軟禁されていたのでは?」
「ええ。けれど、トナーク宮には私たちの味方になってくださる者が大勢いるの。その者たちが私たちをここまでつれて来てくれたのよ。トナーク宮にはもともとラスバルトのやり方に馴染めない者たちが集められていたのだし」
「協力者?」
そのセロリの声にモロク大公が破壊した壁の穴から顔を出したのは、リステリアス宮の馬車守の喜助、御用馬車の馬車守の弥平次のふたりであった。
「そろそろ、わしらの出番かの?」
「わっしらがその協力者だ」
喜助じいさんと弥平次じいさんが、へらへら、と笑って手を振る。
緊張感のないじいさんたちである。
「この者たちは、トナーク宮の牢に監禁されていたのを忠義な侍女たちの働きで解放させて、こうしてここまで私たちを運ぶ役目をしてくれたのです」
「そうなんですね。ありがとう、喜助、弥平次」
セロリは嬉しそうな笑顔を見せると、ふたりに抱きつこうとした。
しかしふたりは揃って人差し指を立てると、ちっちっ、と舌打して、ラフィンを指差した。
「わしらはどちらかと云うと貧弱なボディの姫様でなく、そっちのオッパイ侍女殿に、こう、ハグされたいんじゃがのう」
セロリは反射的に手近の花瓶をふたりに向かって投げつけたのだった。
***
「それで」と、気を取り直したセロリ。
「お母様、これからどうなさるおつもりですか?」
それへ答えたのはどうやら娘の毒舌から立ち直ったモロク大公であった。
「まずはリステリアス宮にわしが戻ったことを知らしめす。と、同時にラスバルトから権限を剥奪せねばなるまい」
「しかし、それは簡単なことではないのでは?」
「少なくともわしがここに戻った、となれば、ラスバルトが今のように振舞うことはできない。あくまでかれはわしの代理で政務を執り行っていたのだからな」
大公はセロリに向かって親指を立てて、ウインクして見せた。
「相変わらず、お父様のそう云う仕種は不気味ですね」
にっこりと笑うセロリ。
大公の顔が強張った。
「それで、お父様、ここに戻ったことを皆に知らせるのは、どのようにするおつもりですか? 大声で城中に触れ回る訳には行かないでしょうし」
「う、うむ……。それは、だな」
口篭る。あまり考えがないらしい。
「つくづく考えのない方ですね、お父様」
あきれたようにセロリが云う。
大公が、また、しゅん、となって俯いた。
その様子にイザベラ妃が、まあまあ、と、割って入る。
「もう、セルリア、あまりパパを苛めないであげて。そう云う行き当たりばったりなところはあなたもそっくりなんだから。本当に似た者親子よね?」
今度はセロリがショックで固まった。
結局、大公家で一番の毒舌家はイザベラ妃なのであった。
「でも、それは簡単なことではないかしら? だってこの城の中枢と云えば大公執務室しかないし、あそこに行けば宮殿中に即時で指示命令を出せる設備も整っているのですから、まずは大公執務室に入れば万事解決ですわ」
「おお」と、大公が感心したように唸った。
「その通りだ、イザベラ。さすが、我が最愛の妻」
「まあ、パパったら。最愛だなんて。私も、あ・い・し・て・る」
「あの、お父様、お母様、……そう云うのは夜までとっておいてくださいませんか?」
うんざり顔のセロリ。
それに向かってイザベラ妃は微笑する。
「セルリアったら、パパとママの夜の生活のことまで心配してくれるなんて、おませなことを云うようになったのね」
「そんな生々しい心配はしてません!」
頬を染めて抗議するセロリの体を、イザベラ妃は自分に引き寄せてその耳許に囁いた。
「ところで、セロリ。あなた、あの『運び屋』さんが好きなんでしょ? パパに聞かれるとまた大騒ぎになりそうだけども……。で、どこまで行ったの? キスはしたの? それとももっと先まで? ママだけにこっそり教えて」
セロリは顔中真っ赤にして慌ててかぶりを振った。
「な、な、何にもありません。そんなことよりも早く脱出して執務室まで行きましょう! 行動を起こしましょう!」
「まあ、初心なのね。じゃ、落ち着いたらゆっくり聞かせてね? うふふ」
そしてイザベラ妃は、つとモロク大公に向き直る。
「さ、それではセルリアの云う通り行動に移しましょう。パパ、よろしく」
満面の笑みでモロク大公を促すイザベラ妃。
それを見るなりさながらパワーを充電されたかのように、モロク大公は全身に力を込めて気合を入れた。
「おお。久々の実戦、腕が鳴るぞ。じいさんたちも元は騎士であったな? 期待しておるぞ」
その言葉にふたりのじいさんは膝をつき、正式な騎士の礼をする。
「仰せの通りに、モロク大公殿下。我らは常に殿下の御心のままに!」
そう云う台詞だけは一丁前のじいさんズであった。
「心の準備……」
モロク大公は茫然と呟いた。
そのとき。
部屋の扉が乱暴にノックされた。
「姫様? セルリア様? 何かございましたか?」
控えの間の侍女長の声である。
今の物音が外にも聞こえたようだった。
「だ、大丈夫です」
セロリは慌てて答える。
「しかし何か物音と、それから『ふんが~』と云う声が」
セロリはあきれ顔でモロク大公を睨みつける。
大公は、ペロリ、と舌を出して、てへへ、と、笑いながら頭を掻いた。
可愛くはない。むしろ不気味である。
「大丈夫です。あの声はラフィンが居眠りをして鼾をかいた声です。物音はそのあと寝ぼけて、テーブルに一本背負いをした音です」
「ええ? 姫様、それは……」
抗議しようとするラフィンをセロリが手で制する。
そんな言い訳でごまかせるだろうか?
「ああ、さようでございますか。わかりました、姫様。それから、ラフィン、あなたも姫様付きならば自覚を持ちなさい!」
「は、はい。申し訳ございません」
落ち着きを取り戻したラフィンが反射的に答える。
(姫様、言い訳とは云え、鼾とか一本背負いとか、それはあんまりです。私はそんなに滅茶苦茶ではございませんのに)
侍女長に答えながらも抗議の言葉をぐっと噛み殺すラフィンであった。
「まったく、最近の侍女はたるんでいて困ります」
扉の向こうで侍女長がぶつくさ云うのが聞こえた。
何とかごまかせたらしい。平和ボケのリスタル公国ならではである。
セロリが、ほっ、と胸を撫で下ろした。
イザベラ妃はマイペースの笑顔で侍女長の声が聞こえた入り口の扉を眺めている。
「ごまかせたみたいね。よかったわ。この城の使用人がお間抜けばかりで。でもそれはそれで心配ですけれどね。ところでセロリ……」
イザベラ妃が、セロリの顔を覗き込んだ。
「泣いていたの?」
「ええ……。はい」と、セロリ。
「そう。あの『運び屋』さんたちのことね? 処刑される、とか聞きましたが?」
「はい、そうなのです。……お母様、ラスバルトの凶行を止めてください。このままでは私の恩人のおふたりが……」
「ええ、わかっていますよ。そのためにわざわざここまで来たのですから」
イザベラ妃は愛おしそうにセロリの髪とネコ耳を撫でた。
その優しい感触は久しぶりだな、と、セロリは目を閉じて身を任せる。
(ああ、そう云えば、サンタと羽衣もこんなふうに優しく撫でてくれたっけ)
だからこそあのふたりを助けなければならないのだ。
「ところで、お母様。どうやってここまで? お父様とお母様はラスバルトによってトナーク宮に軟禁されていたのでは?」
「ええ。けれど、トナーク宮には私たちの味方になってくださる者が大勢いるの。その者たちが私たちをここまでつれて来てくれたのよ。トナーク宮にはもともとラスバルトのやり方に馴染めない者たちが集められていたのだし」
「協力者?」
そのセロリの声にモロク大公が破壊した壁の穴から顔を出したのは、リステリアス宮の馬車守の喜助、御用馬車の馬車守の弥平次のふたりであった。
「そろそろ、わしらの出番かの?」
「わっしらがその協力者だ」
喜助じいさんと弥平次じいさんが、へらへら、と笑って手を振る。
緊張感のないじいさんたちである。
「この者たちは、トナーク宮の牢に監禁されていたのを忠義な侍女たちの働きで解放させて、こうしてここまで私たちを運ぶ役目をしてくれたのです」
「そうなんですね。ありがとう、喜助、弥平次」
セロリは嬉しそうな笑顔を見せると、ふたりに抱きつこうとした。
しかしふたりは揃って人差し指を立てると、ちっちっ、と舌打して、ラフィンを指差した。
「わしらはどちらかと云うと貧弱なボディの姫様でなく、そっちのオッパイ侍女殿に、こう、ハグされたいんじゃがのう」
セロリは反射的に手近の花瓶をふたりに向かって投げつけたのだった。
***
「それで」と、気を取り直したセロリ。
「お母様、これからどうなさるおつもりですか?」
それへ答えたのはどうやら娘の毒舌から立ち直ったモロク大公であった。
「まずはリステリアス宮にわしが戻ったことを知らしめす。と、同時にラスバルトから権限を剥奪せねばなるまい」
「しかし、それは簡単なことではないのでは?」
「少なくともわしがここに戻った、となれば、ラスバルトが今のように振舞うことはできない。あくまでかれはわしの代理で政務を執り行っていたのだからな」
大公はセロリに向かって親指を立てて、ウインクして見せた。
「相変わらず、お父様のそう云う仕種は不気味ですね」
にっこりと笑うセロリ。
大公の顔が強張った。
「それで、お父様、ここに戻ったことを皆に知らせるのは、どのようにするおつもりですか? 大声で城中に触れ回る訳には行かないでしょうし」
「う、うむ……。それは、だな」
口篭る。あまり考えがないらしい。
「つくづく考えのない方ですね、お父様」
あきれたようにセロリが云う。
大公が、また、しゅん、となって俯いた。
その様子にイザベラ妃が、まあまあ、と、割って入る。
「もう、セルリア、あまりパパを苛めないであげて。そう云う行き当たりばったりなところはあなたもそっくりなんだから。本当に似た者親子よね?」
今度はセロリがショックで固まった。
結局、大公家で一番の毒舌家はイザベラ妃なのであった。
「でも、それは簡単なことではないかしら? だってこの城の中枢と云えば大公執務室しかないし、あそこに行けば宮殿中に即時で指示命令を出せる設備も整っているのですから、まずは大公執務室に入れば万事解決ですわ」
「おお」と、大公が感心したように唸った。
「その通りだ、イザベラ。さすが、我が最愛の妻」
「まあ、パパったら。最愛だなんて。私も、あ・い・し・て・る」
「あの、お父様、お母様、……そう云うのは夜までとっておいてくださいませんか?」
うんざり顔のセロリ。
それに向かってイザベラ妃は微笑する。
「セルリアったら、パパとママの夜の生活のことまで心配してくれるなんて、おませなことを云うようになったのね」
「そんな生々しい心配はしてません!」
頬を染めて抗議するセロリの体を、イザベラ妃は自分に引き寄せてその耳許に囁いた。
「ところで、セロリ。あなた、あの『運び屋』さんが好きなんでしょ? パパに聞かれるとまた大騒ぎになりそうだけども……。で、どこまで行ったの? キスはしたの? それとももっと先まで? ママだけにこっそり教えて」
セロリは顔中真っ赤にして慌ててかぶりを振った。
「な、な、何にもありません。そんなことよりも早く脱出して執務室まで行きましょう! 行動を起こしましょう!」
「まあ、初心なのね。じゃ、落ち着いたらゆっくり聞かせてね? うふふ」
そしてイザベラ妃は、つとモロク大公に向き直る。
「さ、それではセルリアの云う通り行動に移しましょう。パパ、よろしく」
満面の笑みでモロク大公を促すイザベラ妃。
それを見るなりさながらパワーを充電されたかのように、モロク大公は全身に力を込めて気合を入れた。
「おお。久々の実戦、腕が鳴るぞ。じいさんたちも元は騎士であったな? 期待しておるぞ」
その言葉にふたりのじいさんは膝をつき、正式な騎士の礼をする。
「仰せの通りに、モロク大公殿下。我らは常に殿下の御心のままに!」
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