30 / 35
第7章
不吉を呼ぶ男(1)
しおりを挟む
サイトン診療所。
村に唯一の医療機関の質素な病室でトーコは手術を待っていた。
ベッドサイドにはタイトがいつものように無表情な視線で彼女を見下ろして立っている。トーコはそんなかれを見て、くすくす、と笑い声を立てた。
「タイトったらどうしたの? 珍しくそんなに心配そうな顔をして」
かれは無表情のままだ。
「心配そうに見えるのか? 他人に云わせるとおれは表情が読みにくいらしいのだが?」
「もちろん。だって子供の頃からあなたを知っているのよ。だからそんな顔はしないで、タイト。私はあなたを信じている。この足もきっと動くようになる。そうしたらまたいっしょにサイトンの村で追いかけっ子をしましょうね」
「さすがにこの歳になって追いかけっ子をするつもりはないが、ゆっくりと散歩はしたいと思う。だが……」
タイトはそう云って、トーコの手を握った。
トーコは驚いてタイトの顔を見つめた。
「まあ、いきなり手を握るなんてエロガキになったのね。タイトったら。うふふ」
「……」
「もう、そんな目で見ないでよ。冗談よ。冗談」
相変わらず空気を読まないトーコである。
「……私を元気づけてくれようと思ったの? もしかして手術がうまく行かない、と?」
とりあえずシリアスシーンであることはわかったらしい。
「正直なところ歩けるまで回復するかは五分五分だと思っている」
タイトが答えた。
「そう。……タイト、あなたって本当に正直で、やさしい子」
トーコの笑顔は逆にタイトを元気づけるような笑顔だった。
「大丈夫よ、私は――」
彼女が少しだけ緊張してそう云った時、病室の扉が開いて沈痛な面持ちのロード神父と相変わらず冷淡な表情のドクター・クロが病室に入って来た。
「準備が出来た。オペ室の方へ」と、クロ。
トーコが頷いた。
「はい。……じゃ、タイト、行って来るわね」
タイトは無言だった。
神父とクロに付き添われて、トーコがストレッチャーで運ばれて病室を出て行く。
入れ替わりにツグミが病室に入って来た。
「タイト、付き添わなくていいの?」
「おれに出来ることはもうない。手術の手順もラリエットの〈賢者の石〉もドクターに引継ぎ済だ」
かれはそこにあった椅子に疲れたようにのろのろと腰掛けた。
「そっか。あのラリエットの石ってトーコさんに使うためのラピスだったんだね?」
タイトが似合いもしないのにわざわざ身に着けていたのは、それがかれにとってとても貴重なものだったからなのだと、ツグミは気づいた。
「あの〈賢者の石〉は星船に利用するよりも高純度の結晶体だ。持ち出すのに苦労した」
「研究室から? きっと無断で持ち出したんだよね? まあ、今さらどうでもいいけど。ねえ、ずっと訊こうと思ってたんだけど」と、ツグミ。
「ドクター・クロって、連邦の重要人物だよね?」
「ああ。医療局の副局長だ。局長はお役所からの天下りだから、実質、連邦医療局ナンバーワンのドクターだな」
「そんな連邦の最重要人物が非合法の手術って、ヤバいんじゃないの?」
「だとしたらエージェントとして報告するか?」
「え……? いや、だって、あたしはもう……」
ツグミは少佐との一件を思い出してうなだれる。
あの一件で少佐は彼女を見限ったのだ。彼女はすでに、エージェントとして不適格、と、そう云われたようなものだった。
少なくとも彼女はそう思っていた。
その様子を見てタイトは椅子から立ち上がるとツグミの銀髪に手をやった。
「余計なことを云った。悪かった」
(え? タイト? あたしに謝るの? え? 頭、撫でてくれるの? え?)
あのタイトが? と、彼女は驚いたような顔でかれを見つめた。
「ともかくあとは彼女に任せる以外にはやることはない。オトマタさんに戻ってドライ・スイーツでも食べながら祈ることくらいしか」
タイトが少しばかり照れたように云って彼女から目を逸らした。
ツグミはそんなタイトの様子に、逆にどうしていいかわからず、どぎまぎとして俯いた。何故か頬が熱かった。
(な、何よ、タイトってば……。い、いつもと様子が違うからどうしていいかわからないじゃん)
ちらり、と、タイトに目をやるが、その表情はいつも通りの無表情だ。
いったい今のは何だったんだろう、と、彼女がもう一度よくタイトを見ようとした時――。
ツグミのフォン端末の呼び出し音が鳴った。
「ひゃん!」
驚いて思わず変な声を上げる。
冷たいタイトの視線がツグミに突き刺さった。
「あ、ご、ごめん。で、電話みたい……」
ツグミは緊張して、傍らのタイトを見上げる。
「おまえにフォン端末を使って来るものなど、限られているのではないか?」
「へ? ひどいよ、タイト。それってあたしがボッチだって云ってる?」
「余計なことを云ってないで、発信者の表示を見てみろ」
タイトに云われるまでもなかった。このフォン端末を使う者は限られている。
今、これを使って来る者と云えば――。
「ランベール少佐……」
呟くツグミ。顔は一瞬にして真顔になった。
そしてそのまましばらくフォン端末のモニタをじっと見つめていたが、意を決したようにモニタをタップする。
『やあ、〈銀狐〉。通話に出たと云うことはどうやら記憶は回復したようだね。きみのいとしの〈錬金術師〉の仕業かな?』
ランベールの声はいつものように冷徹で穏やかだった。
不愉快なほどに。
(いとしの〈錬金術師〉?)
「お言葉ですが……、『いとしの』ではありません。そこは断固否定します」
「何を否定しているのだ?」と、タイトが横から訊ねる。
「うるさい。黙ってて、タイト!」
ツグミが一喝する。
『仲良しだね。うらやましい』
「それも断じてありません」
『隠すことはないのだが、まあ、いい。……ところで時間もないので用件を云おう。きみのいとしのかれを返してもらう。これからそちらに受け取りに行くよ』
「もう一度云いますが……『いとしの』ではありません。が、その件に関しては……」
一瞬のためらいの後、ツグミは強い口調で答えた。
「お断りします!」
フォン端末の向こうでランベール少佐が、かすかに笑ったようだった。
『なるほど。それはもはや完全なる命令違反だが、それが理解出来ているかな?』
「あたしはすでに〈記憶抹消処理〉を施された身です」
『すでにエージェントではない、と? まあ、いいだろう。きみがそう云うのなら。ただ、だからと云って、邪魔立てするようならば私も容赦はしない』
ランベールは、淡々と、そう告げる。
「……」
『言葉がないか? まあ、いい。そちらにはもうすぐ到着する。楽しみにしていたまえ』
「もう? そんなバカな。アンクローデまで跳ばされたはずなのに……」
『ああ、云い忘れていたが、ちょうど〈錬金術師〉が転送してくれた先がアンクローデ郊外の軍施設のすぐ近くで助かったよ。お礼を云っておいてくれないか? ……では、またあとで会おう、〈銀狐〉』
そこで通話は唐突に切れた。
ツグミがタイトに目をやる。
「タイト、あんた、バカ?」
「何がだ?」
「少佐がもうそこまで来てるみたいよ」
「そうか? 思ったよりも素早い行動だな」
「……あんたが転送した先が軍の施設の近くだったかららしいよ」
「それはラッキーな男だな。かれ自身に関しては〈不吉を呼ぶ〉と云うのは当てはまらないと云うことか」
「云いたいのは、それだけ?」
ツグミがあきれ顔で睨みつける。
「……むぅ。いや、あれはまだ試作品で遠くなると細かい転送座標は設定できないのだ」
「最悪……」
彼女が複雑な表情で首を振った。
「いずれにしても」と、タイト。
「投降する訳には行かない。おまえはランベールと一戦交えるつもりか?」
「え? それは、あたしは……」
口を閉ざすツグミ。決心がつきかねている表情である。
捨てられたとは云え、元上司だ。思うところもあるのだろう、と、タイトは思った。
「ふん。わかった。……では雇い主としての命令だ。奴におれが捕らえられることがないようにきっちりと護衛しろ。報酬として白玉あんみつを二杯追加してやろう」
「白玉あんみつ?」
「ああ。好物だろ?」
ツグミは無言でタイトの無表情な顔を見つめた。
「相変わらず、それであたしを雇うつもり?」
タイトが意味ありげに頷いた。
「あんたって、どんだけなのよ? でも、ま、いっか。仕方ない。……その代わり白玉あんみつ三杯ね。いい?」
ツグミが、にやり、と笑う。
「了解だ」
タイトが右手を差し出した。
ツグミはタイトを見つめ、それからかれの手をがっちりと握り返したのだった。
村に唯一の医療機関の質素な病室でトーコは手術を待っていた。
ベッドサイドにはタイトがいつものように無表情な視線で彼女を見下ろして立っている。トーコはそんなかれを見て、くすくす、と笑い声を立てた。
「タイトったらどうしたの? 珍しくそんなに心配そうな顔をして」
かれは無表情のままだ。
「心配そうに見えるのか? 他人に云わせるとおれは表情が読みにくいらしいのだが?」
「もちろん。だって子供の頃からあなたを知っているのよ。だからそんな顔はしないで、タイト。私はあなたを信じている。この足もきっと動くようになる。そうしたらまたいっしょにサイトンの村で追いかけっ子をしましょうね」
「さすがにこの歳になって追いかけっ子をするつもりはないが、ゆっくりと散歩はしたいと思う。だが……」
タイトはそう云って、トーコの手を握った。
トーコは驚いてタイトの顔を見つめた。
「まあ、いきなり手を握るなんてエロガキになったのね。タイトったら。うふふ」
「……」
「もう、そんな目で見ないでよ。冗談よ。冗談」
相変わらず空気を読まないトーコである。
「……私を元気づけてくれようと思ったの? もしかして手術がうまく行かない、と?」
とりあえずシリアスシーンであることはわかったらしい。
「正直なところ歩けるまで回復するかは五分五分だと思っている」
タイトが答えた。
「そう。……タイト、あなたって本当に正直で、やさしい子」
トーコの笑顔は逆にタイトを元気づけるような笑顔だった。
「大丈夫よ、私は――」
彼女が少しだけ緊張してそう云った時、病室の扉が開いて沈痛な面持ちのロード神父と相変わらず冷淡な表情のドクター・クロが病室に入って来た。
「準備が出来た。オペ室の方へ」と、クロ。
トーコが頷いた。
「はい。……じゃ、タイト、行って来るわね」
タイトは無言だった。
神父とクロに付き添われて、トーコがストレッチャーで運ばれて病室を出て行く。
入れ替わりにツグミが病室に入って来た。
「タイト、付き添わなくていいの?」
「おれに出来ることはもうない。手術の手順もラリエットの〈賢者の石〉もドクターに引継ぎ済だ」
かれはそこにあった椅子に疲れたようにのろのろと腰掛けた。
「そっか。あのラリエットの石ってトーコさんに使うためのラピスだったんだね?」
タイトが似合いもしないのにわざわざ身に着けていたのは、それがかれにとってとても貴重なものだったからなのだと、ツグミは気づいた。
「あの〈賢者の石〉は星船に利用するよりも高純度の結晶体だ。持ち出すのに苦労した」
「研究室から? きっと無断で持ち出したんだよね? まあ、今さらどうでもいいけど。ねえ、ずっと訊こうと思ってたんだけど」と、ツグミ。
「ドクター・クロって、連邦の重要人物だよね?」
「ああ。医療局の副局長だ。局長はお役所からの天下りだから、実質、連邦医療局ナンバーワンのドクターだな」
「そんな連邦の最重要人物が非合法の手術って、ヤバいんじゃないの?」
「だとしたらエージェントとして報告するか?」
「え……? いや、だって、あたしはもう……」
ツグミは少佐との一件を思い出してうなだれる。
あの一件で少佐は彼女を見限ったのだ。彼女はすでに、エージェントとして不適格、と、そう云われたようなものだった。
少なくとも彼女はそう思っていた。
その様子を見てタイトは椅子から立ち上がるとツグミの銀髪に手をやった。
「余計なことを云った。悪かった」
(え? タイト? あたしに謝るの? え? 頭、撫でてくれるの? え?)
あのタイトが? と、彼女は驚いたような顔でかれを見つめた。
「ともかくあとは彼女に任せる以外にはやることはない。オトマタさんに戻ってドライ・スイーツでも食べながら祈ることくらいしか」
タイトが少しばかり照れたように云って彼女から目を逸らした。
ツグミはそんなタイトの様子に、逆にどうしていいかわからず、どぎまぎとして俯いた。何故か頬が熱かった。
(な、何よ、タイトってば……。い、いつもと様子が違うからどうしていいかわからないじゃん)
ちらり、と、タイトに目をやるが、その表情はいつも通りの無表情だ。
いったい今のは何だったんだろう、と、彼女がもう一度よくタイトを見ようとした時――。
ツグミのフォン端末の呼び出し音が鳴った。
「ひゃん!」
驚いて思わず変な声を上げる。
冷たいタイトの視線がツグミに突き刺さった。
「あ、ご、ごめん。で、電話みたい……」
ツグミは緊張して、傍らのタイトを見上げる。
「おまえにフォン端末を使って来るものなど、限られているのではないか?」
「へ? ひどいよ、タイト。それってあたしがボッチだって云ってる?」
「余計なことを云ってないで、発信者の表示を見てみろ」
タイトに云われるまでもなかった。このフォン端末を使う者は限られている。
今、これを使って来る者と云えば――。
「ランベール少佐……」
呟くツグミ。顔は一瞬にして真顔になった。
そしてそのまましばらくフォン端末のモニタをじっと見つめていたが、意を決したようにモニタをタップする。
『やあ、〈銀狐〉。通話に出たと云うことはどうやら記憶は回復したようだね。きみのいとしの〈錬金術師〉の仕業かな?』
ランベールの声はいつものように冷徹で穏やかだった。
不愉快なほどに。
(いとしの〈錬金術師〉?)
「お言葉ですが……、『いとしの』ではありません。そこは断固否定します」
「何を否定しているのだ?」と、タイトが横から訊ねる。
「うるさい。黙ってて、タイト!」
ツグミが一喝する。
『仲良しだね。うらやましい』
「それも断じてありません」
『隠すことはないのだが、まあ、いい。……ところで時間もないので用件を云おう。きみのいとしのかれを返してもらう。これからそちらに受け取りに行くよ』
「もう一度云いますが……『いとしの』ではありません。が、その件に関しては……」
一瞬のためらいの後、ツグミは強い口調で答えた。
「お断りします!」
フォン端末の向こうでランベール少佐が、かすかに笑ったようだった。
『なるほど。それはもはや完全なる命令違反だが、それが理解出来ているかな?』
「あたしはすでに〈記憶抹消処理〉を施された身です」
『すでにエージェントではない、と? まあ、いいだろう。きみがそう云うのなら。ただ、だからと云って、邪魔立てするようならば私も容赦はしない』
ランベールは、淡々と、そう告げる。
「……」
『言葉がないか? まあ、いい。そちらにはもうすぐ到着する。楽しみにしていたまえ』
「もう? そんなバカな。アンクローデまで跳ばされたはずなのに……」
『ああ、云い忘れていたが、ちょうど〈錬金術師〉が転送してくれた先がアンクローデ郊外の軍施設のすぐ近くで助かったよ。お礼を云っておいてくれないか? ……では、またあとで会おう、〈銀狐〉』
そこで通話は唐突に切れた。
ツグミがタイトに目をやる。
「タイト、あんた、バカ?」
「何がだ?」
「少佐がもうそこまで来てるみたいよ」
「そうか? 思ったよりも素早い行動だな」
「……あんたが転送した先が軍の施設の近くだったかららしいよ」
「それはラッキーな男だな。かれ自身に関しては〈不吉を呼ぶ〉と云うのは当てはまらないと云うことか」
「云いたいのは、それだけ?」
ツグミがあきれ顔で睨みつける。
「……むぅ。いや、あれはまだ試作品で遠くなると細かい転送座標は設定できないのだ」
「最悪……」
彼女が複雑な表情で首を振った。
「いずれにしても」と、タイト。
「投降する訳には行かない。おまえはランベールと一戦交えるつもりか?」
「え? それは、あたしは……」
口を閉ざすツグミ。決心がつきかねている表情である。
捨てられたとは云え、元上司だ。思うところもあるのだろう、と、タイトは思った。
「ふん。わかった。……では雇い主としての命令だ。奴におれが捕らえられることがないようにきっちりと護衛しろ。報酬として白玉あんみつを二杯追加してやろう」
「白玉あんみつ?」
「ああ。好物だろ?」
ツグミは無言でタイトの無表情な顔を見つめた。
「相変わらず、それであたしを雇うつもり?」
タイトが意味ありげに頷いた。
「あんたって、どんだけなのよ? でも、ま、いっか。仕方ない。……その代わり白玉あんみつ三杯ね。いい?」
ツグミが、にやり、と笑う。
「了解だ」
タイトが右手を差し出した。
ツグミはタイトを見つめ、それからかれの手をがっちりと握り返したのだった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
我ら新興文明保護艦隊
ビーデシオン
SF
もしも道行く野良猫が、百戦錬磨の獣戦士だったら?
もしも冴えないサラリーマンが、戦争上がりのアンドロイドだったら?
これは、実際にそんな空想めいた素性をもって、陰ながら地球を守っているエージェントたちのお話。
※表紙絵はひのたけきょー(@HinotakeDaYo)様より頂きました!
虚界生物図録
nekojita
SF
序論
1. 虚界生物
界は、生物学においてドメインに次いで2番目に高い分類階級である。古典的な生物学ではすべての生物が六界(動物界、植物界、菌界、原生生物界、古細菌界、細菌/真正細菌)に分類される。しかしこれらの「界」に当てはまらない生物も、我々の知覚の外縁でひそかに息づいている。彼らは既存の進化の法則や生態系に従わない。あるものは時間を歪め、あるものは空間を弄び、あるものは因果の流れすら変えてしまう。
こうした異質な生物群は、「界」による分類を受け付けない生物として「虚界生物」と名付けられた。
虚界生物の姿は、地球上の動植物に似ていることもあれば、夢の中の幻影のように変幻自在であることもある。彼らの生態は我々の理解を超越し、認識を変容させる。目撃者の証言には概して矛盾が多く、科学的手法による解析が困難な場合も少なくない。これらの生物は太古の伝承や神話、芸術作品、禁断の書物の中に断片的に記され、伝統的な科学的分析の対象とはされてこなかった。しかしながら各地での記録や報告を統合し、一定の体系に基づいて分析を行うことで、現代では虚界生物の特性をある程度明らかにすることが可能となってきた。
本図録は、こうした神秘的な存在に関する情報、観察、諸記録、諸仮説を可能な限り収集、整理することで、未知の領域へと踏み出すための道標となることを目的とする。
2. 研究の意義と目的
本図録は、初学者にも分かりやすく、虚界生物の不思議と謎をひも解くことを目的としている。それぞれの記録には、観察された異常現象や生態、目撃談、さらには学術的仮説までを網羅する。
各項は独立しており、前後の項目と直接の関連性はない。読者は必要な、あるいは興味のある項目だけを読むことができる。
いくつかの虚界生物は、人間社会に直接的、あるいは間接的に影響を及ぼしている。南極上空に黄金の巣を築いた帝天蜂は、巣の内部で異常に発達した知性と生産性を持つ群体を形成している。この巣の研究は人類の生産システムに革新をもたらす可能性がある。
カー・ゾン・コーに代表される、人間社会に密接に関与する虚界生物や、逆に復讐珊瑚のように、接触を避けるべき危険な存在も確認されている。
一方で、一部の虚界生物は時空や因果そのものを真っ向から撹乱する。逆行虫やテンノヒカリは、我々の時間概念に重大な示唆を与える。
これらの異常な生物を研究することは単にその生物への対処方法を確立するのみならず、諸々の根源的な問いに新たな視点を与える。本図録が、虚界生物の研究に携わる者、または未知の存在に興味を持つ者にとっての一助となることを願う。
※※図や文章の一部はAIを用いて作成されている。
※※すべての内容はフィクションであり、実在の生命、科学、人物、出来事、団体、書籍とは関係ありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
モニターに応募したら、系外惑星に来てしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。
津嶋朋靖(つしまともやす)
SF
近未来、物体の原子レベルまでの三次元構造を読みとるスキャナーが開発された。
とある企業で、そのスキャナーを使って人間の三次元データを集めるプロジェクトがスタートする。
主人公、北村海斗は、高額の報酬につられてデータを取るモニターに応募した。
スキャナーの中に入れられた海斗は、いつの間にか眠ってしまう。
そして、目が覚めた時、彼は見知らぬ世界にいたのだ。
いったい、寝ている間に何が起きたのか?
彼の前に現れたメイド姿のアンドロイドから、驚愕の事実を聞かされる。
ここは、二百年後の太陽系外の地球類似惑星。
そして、海斗は海斗であって海斗ではない。
二百年前にスキャナーで読み取られたデータを元に、三次元プリンターで作られたコピー人間だったのだ。
この惑星で生きていかざるを得なくなった海斗は、次第にこの惑星での争いに巻き込まれていく。
(この作品は小説家になろうとマグネットにも投稿してます)
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる