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6《彼視点》
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俺の目を見た桜坂さんは気丈に話しているが、握ったままの手は震え、涙目の桜坂さんは意地悪したくなる
好きだから、と囁くような小声で話す桜坂さんは耐えられずポロポロと涙を零す
しかし、俺を好きになった桜坂さんが悪い
首まで真っ赤にして恥じらいながら、プルプルと震え、涙を流すその様は格好の餌としか言いようがない
桜坂さんは気づいていないだろう
自分がどれだけ可愛くて、いじめがいのある泣き顔をしているのか
目の前にいるのが桜坂さんで無かったら最初の告白で即座に振っていた
俺が桜坂さんを、彼女を知ったのは受験の時だった
中学の担任にはもっと上を目指せると言われたが、1番近いと言う理由で選んだ
3年になってよく見るようになったピリピリした雰囲気の中、左斜め前の席に座っていた彼女が目に入った
静かに窓の外を眺める彼女に興味を惹かれた
その澄ました顔がどんな風に変わるのか、最初はそれだけだった
当然のように受かった俺は用事を片付け、高校を出ようと正門に向けて歩いていると夕方近くで人が殆ど居ない中受験番号が出された掲示の前で1人、ポツンと立っていた彼女を見つけた
受かったのだろうか?と言う疑問はしゃがみ込んだ彼女の反応で分かった
「良かった…」
ただ一言、小さな声で喜ぶ彼女は真後ろにいた俺に気づくと謝りながら去っていった
俺はそこから暫く動けずにいた
見られていたと気づいた途端に染まる頬、嬉しさからか僅かに滲んだ涙目、恥ずかしさからか、はにかむ表情と少し高くなった声全てに、俺は動揺した
もっと…もっと見たい
恐怖で泣く顔も、最高に喜んだ顔も何もかもを…
〝独占したい〟
何が渦巻いていたのか…
そう思うと心臓がドクンとはねた
その感情が何なのか、分かっているようで分かっていない感覚がした
俺が彼女から目が離せなくなったのはその時からだった
壊したいのに、何者からも守りたいなど、これは恋でも愛でもない
ドス黒く、渦を巻く激情はある意味狂っているとさえ感じた
だから、触れるギリギリまでを見誤らぬよう我慢をしていた
しかし、目の前でプルプル震える桜坂さんはそんな俺の我慢を打ち消そうとする
そっと桜坂さんの手から手を離すと名残惜しそうに僅かに彷徨い、慌てて引っ込める
その反応が可愛くて、折角いつもどおりのクールな桜坂さんに戻りかけていたのを頰に手を添え、上をむかせる事で少し怯えの混じった涙目にさせる
「可愛いなぁ…」
「え…?」
「俺と付き合いたい?」
好きだから、と囁くような小声で話す桜坂さんは耐えられずポロポロと涙を零す
しかし、俺を好きになった桜坂さんが悪い
首まで真っ赤にして恥じらいながら、プルプルと震え、涙を流すその様は格好の餌としか言いようがない
桜坂さんは気づいていないだろう
自分がどれだけ可愛くて、いじめがいのある泣き顔をしているのか
目の前にいるのが桜坂さんで無かったら最初の告白で即座に振っていた
俺が桜坂さんを、彼女を知ったのは受験の時だった
中学の担任にはもっと上を目指せると言われたが、1番近いと言う理由で選んだ
3年になってよく見るようになったピリピリした雰囲気の中、左斜め前の席に座っていた彼女が目に入った
静かに窓の外を眺める彼女に興味を惹かれた
その澄ました顔がどんな風に変わるのか、最初はそれだけだった
当然のように受かった俺は用事を片付け、高校を出ようと正門に向けて歩いていると夕方近くで人が殆ど居ない中受験番号が出された掲示の前で1人、ポツンと立っていた彼女を見つけた
受かったのだろうか?と言う疑問はしゃがみ込んだ彼女の反応で分かった
「良かった…」
ただ一言、小さな声で喜ぶ彼女は真後ろにいた俺に気づくと謝りながら去っていった
俺はそこから暫く動けずにいた
見られていたと気づいた途端に染まる頬、嬉しさからか僅かに滲んだ涙目、恥ずかしさからか、はにかむ表情と少し高くなった声全てに、俺は動揺した
もっと…もっと見たい
恐怖で泣く顔も、最高に喜んだ顔も何もかもを…
〝独占したい〟
何が渦巻いていたのか…
そう思うと心臓がドクンとはねた
その感情が何なのか、分かっているようで分かっていない感覚がした
俺が彼女から目が離せなくなったのはその時からだった
壊したいのに、何者からも守りたいなど、これは恋でも愛でもない
ドス黒く、渦を巻く激情はある意味狂っているとさえ感じた
だから、触れるギリギリまでを見誤らぬよう我慢をしていた
しかし、目の前でプルプル震える桜坂さんはそんな俺の我慢を打ち消そうとする
そっと桜坂さんの手から手を離すと名残惜しそうに僅かに彷徨い、慌てて引っ込める
その反応が可愛くて、折角いつもどおりのクールな桜坂さんに戻りかけていたのを頰に手を添え、上をむかせる事で少し怯えの混じった涙目にさせる
「可愛いなぁ…」
「え…?」
「俺と付き合いたい?」
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