転生先では幸せになります

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幼少期 旅立ち編(前)

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村を出てからはあっという間で、ルクシアに到着した後は盗賊達の身柄をギルドに引き渡し、私達はルクシアの宿に一泊した。宿代金はギルドが負担してくれたみたいだ。

次の日、ルクシアからリクドウに戻る為に列車に乗って移動をしていた。

「すげぇ…俺、初めて列車に乗った」

「確かに…私達にとって列車は贅沢な乗り物だもんね」

私もアルクは列車の窓から外の景色を見ていた。

「あぁ、そうかもしれなせんねぇ。確かに列車は少し高いですよね。僕も今のランクになる前は列車代金を節約していました。」

「今はしてないんですか?」

「そうですねぇ、このランクになると国を超えた依頼がギルドから来るのですが、そう言った場合は列車代金もギルドが支給してくれるので、列車での移動が増えましたね…僕自身も今はお金にそんな困っていないので私用の移動でも列車を使う機会は増えましたけどね」

「そうなんですね、じゃあ、今回の列車もギルドが支給してくれるって事ですか?」

「いえいえ~、これは僕のポケットマネーですね~」

「えっ⁈そ,そんなっ‼︎でしたらお金出します」

「今回の依頼に付き合って貰ったお礼だと思って気楽に乗ってください、それに先ほども言いましたが、お2人の列車代金くらいは余裕で負担できるくらいには普段から稼いでますので」

「そ、そうですか…」

「すげぇ、カッコいいなぁ…俺もいつかそうなりたいな!」

「アルクさんならなれますよ、期待してます」

「あ、ありがとうございます!」

「クラークさん、本当にありがとうございます」

「はい~、くつろいじゃって下さいね~。ギルドに着いたらCランクに昇級ですからねぇ」

「はい!」

それから列車の中で3人で話をしていたらあっという間にリクドウに到着した。

約1ヶ月ぶりのリクドウに既に懐かしさを覚えた。

「到着しましたね、とりあえずギルドに行って依頼の報告と、Cランクへの昇級手続きをしてしまいましょう」

「よろしくお願いします」



「クラークさん、アーシェンリファーさん、アルクさん、大変お疲れ様でした。」

「はい、お疲れ様です。今回の依頼に同行した2人は問題なくCランク試験に合格ですので、依頼報酬の入金と昇級手続きをお願いします~。」

「承知致しました。では、お2人のギルドカードを拝借しますね」

ギルドの受付の方にギルドカードを渡すと私とアルクのカードがCランクになって返却された。

「すげぇ…俺ら、結構出世してるな!」

「そうだね!」

「改めてCランク、おめでとうございます!今後の活躍も期待していますよ」

「はい!今回は本当にありがとうございました!」

「いえいえ~。また、どこかでお会いできるといいですね?」

「はい!その時はまたよろしくお願いします」

「あ、クラークさん、戻られたばかりで申し訳ないのですが、次の依頼が入って来ていて…」

受付の方が申し訳なさそうにクラークさんに声をかける。

「…そうですか、僕も中々人気者ですねぇ…」

クラークさんは軽い調子でそう言うと受付へと歩き出す。

「クラークさん、本当にお世話になりました!また何処かで会いましょう!」

「はい~」

私達ははクラークさんに挨拶を済ましてギルドから出た。

「アルク、今回の依頼の報酬も大分入ったから、近いうちにこの街も出て、イーストに向かう?」

「お、いいな!少しこの町で簡単な依頼を受けて休息を取りつつ、準備したら次に行こうぜ!」

「うん!じゃあ、明日から準備をしよっか!」

今日の宿探しのためにアルクと街を歩き出す。

次はクラレンス王国、東の街イーストへ!




ーー数日後ーー

私は現在リクドウの街を1人で探索していた。

珍しくアルクと一緒に行動をしていないのには理由がある。
それは、もう直ぐでアルクの誕生を迎える為、プレゼントの候補を探しているためである。

しかし、いざプレゼントを探し出すとアルクの欲しいものが分からず街を歩き続けているだけになってしまっている。

アルクは今度の誕生日で9歳になるはずだが、9歳とは思えないくらいに物欲が無い。

王都大悪魔襲撃事件あの事件以降、余計に物欲が無くなってしまった印象はある。
仕方ないとは言え、まだ10歳にも満たない子供なのにな、などと自分の事を棚に上げてそんな事を考えていた。

それから暫く街を見て回ったがアルクが欲しがりそうな物が見つからなかった。

(どうしよっかな…)

少し考えた末、一旦宿に戻ることにした。

宿に戻るとアルクが部屋の中に居た。

「お、アーシャ。おかえり」

「うん、ただいま」

「…?どうしたんだ?」

「う~ん…欲しい物とか、ある?」

私は少し悩んだが、やっぱりアルクの欲しい物が分からないため、今回は大人しくアルクに聞く事にした。

「は?欲しい物?いや、急に言われてもな…?」

アルク自身も考え込んでしまった

「なんでまた急に欲しい物なんて…」

「いや、だって、アルクもう直ぐで誕生日でしょ?だから誕生日プレゼントの用意をしないとなって思ったんだけど…正直アルクの欲しい物が分からなくて…」

「あぁ…そういえば俺ってもう直ぐ誕生日なんだな…すっかり忘れてたな!」

アルクはヘラヘラと笑いながら言った。

「そんな事だろうとは思ってたよ」

「いや、でもなぁ…まじで欲しい物なんて思い付かないぞ…じゃあ、俺の誕生日の日は美味しい飯屋でも行こーぜ?」

「それでいいの?」

「おう!それがいい!」

「そっか…わかった!じゃ、とびきり美味しいお店に行こ!」

アルクの要望を聞く事が出来たので、私はシャワールームに向かいシャワーを浴びる事にした。程よく暖かいシャワーを頭の上からかける。

暫くしてシャワーを出るとアルクは自身の剣の手入れをしていた。

「さっきさ、アーシャに欲しい物がないかって聞かれた時、咄嗟に自分の新しい剣が欲しいって思ったんだ。でも、自分の剣だけは自分で稼いだお金で買いたいなって思ったから胸にしまった」

「そっか、でもその気持ち、分かるかも。私も自分の武器は自分で用意したいなって思うもん」

「だよな!だから暫くは新しい剣を買えるように金貯めないとな」

「いいじゃん!あ、そうだ、前にも言ったけだ、次に行くイーストの街はクラレンス王国きっての鍛冶の街だから武器を変えるにはもってこいだと思うよ!」

「あっ、そういや言ってたな。そりゃ張り切って金貯めないとな!」

「うんうん!」

アルクは武器の手入れが終わり剣をしまう。

「明日にはこの街を出るんだっけか?」

「私はいつでも良いけど、アルクの誕生日パーティーをここで過してから街を出ても良いと思うよ?」

「う~ん…正直こだわりもないけど、折角アーシャがそう言ってくれてるし、俺の誕生日の次の日に街を出るか」

「うん、そうしよ!」






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