31 / 69
幼少期 旅立ち編(前)
30
しおりを挟むそして、ついにその時はやってきた
ケイ様は陛下の側に立ち、僕達は専用に用意された席についた
案内された席は、ホール全体が見える、舞台の特等席のような場所
何も知らされずに集められた貴族たちも、それぞれ席につき始めた
僕達がいるこの席は高いところにあって、下にいるこれから裁かれる貴族たちがあまりにもちっぽけに見える
もちろん、その中にはプラント公爵もいる
あんなに恐れてた相手なのに、こんなに小さく見えるなんて
それだけでも圧倒的優位に立つような感覚がある
でも、今はそれは錯覚では無い
「これより、貴族裁判を執り行う!」
陛下の一声で裁判は開始した
何も知らなかった貴族たちはざわつき始めたが、高所から観察すると、これから裁かれる者とそうでない者の違いがよく分かる
「何かしただろうか」と焦る貴族
「知られたのではないか」と焦る貴族
顔色は全く違った
でも、公爵は焦りも恐怖も無く堂々と座っている
知られるはずないから焦る必要が無い、と思っているのだろう
……証拠は慎重なアズが集めた物だ、大丈夫
次々と裁かれる貴族達
そのどれもが爵位の剥奪や財産の没収などを言い渡されている
そしてついに来たプラント公爵
見たところ、残ってる反王室派は公爵のみ
反王室派の最後の裁判だ
「第一王子殺害未遂、他国との違法薬物の貿易、奴隷や兵器の取引等が挙げられます!」
「お待ちください、国王陛下!私はそれら全てに覚えが一切ございません!何か、情報の間違いではありませんか?」
こいつ……白々しい!
この期に及んで涼しい顔で嘘を吐いて、本当に人間か!?
今すぐ殴り込みたい衝動を抑えて、もう少し様子を見てみる
「ふむ……確かにそうかも知れぬ。ならばこの場でもう一度、証拠となる記録魔法を再生して見ようでは無いか。のぉ?プラント元・公爵よ」
「は……記録魔法?」
そうして再生された魔法は、それはそれはひどい物だった
密輸現場の、取引相手との会話
まともな精神で聴いてられるようなものでは無かった
公爵は戦争を起こそうとしていたんだ
なるほど……僕に渡してきた猛毒も戦争の兵器の試作品だったってこと
本当に救いようが無い
映像の他にも書面や証人など、公爵は絶対に逃げられなくなった
涼しい顔に焦りが見え、惨めったらしく言い訳を並べる姿は何よりも滑稽で、爵位を剥奪されたその男は醜態を晒しながら地下牢へと連れて行かれた
あとで面会の予定だけど、急に死んだ筈の双子が圧倒的な立場で現れたらどう反応するだろうか
楽しみっちゃ楽しみだけど、顔も見たく無いって気持ちもある
そんな風に考えていると、陛下がまた動き出した
さて、神子の役目はこれからだ……
ケイ様は陛下の側に立ち、僕達は専用に用意された席についた
案内された席は、ホール全体が見える、舞台の特等席のような場所
何も知らされずに集められた貴族たちも、それぞれ席につき始めた
僕達がいるこの席は高いところにあって、下にいるこれから裁かれる貴族たちがあまりにもちっぽけに見える
もちろん、その中にはプラント公爵もいる
あんなに恐れてた相手なのに、こんなに小さく見えるなんて
それだけでも圧倒的優位に立つような感覚がある
でも、今はそれは錯覚では無い
「これより、貴族裁判を執り行う!」
陛下の一声で裁判は開始した
何も知らなかった貴族たちはざわつき始めたが、高所から観察すると、これから裁かれる者とそうでない者の違いがよく分かる
「何かしただろうか」と焦る貴族
「知られたのではないか」と焦る貴族
顔色は全く違った
でも、公爵は焦りも恐怖も無く堂々と座っている
知られるはずないから焦る必要が無い、と思っているのだろう
……証拠は慎重なアズが集めた物だ、大丈夫
次々と裁かれる貴族達
そのどれもが爵位の剥奪や財産の没収などを言い渡されている
そしてついに来たプラント公爵
見たところ、残ってる反王室派は公爵のみ
反王室派の最後の裁判だ
「第一王子殺害未遂、他国との違法薬物の貿易、奴隷や兵器の取引等が挙げられます!」
「お待ちください、国王陛下!私はそれら全てに覚えが一切ございません!何か、情報の間違いではありませんか?」
こいつ……白々しい!
この期に及んで涼しい顔で嘘を吐いて、本当に人間か!?
今すぐ殴り込みたい衝動を抑えて、もう少し様子を見てみる
「ふむ……確かにそうかも知れぬ。ならばこの場でもう一度、証拠となる記録魔法を再生して見ようでは無いか。のぉ?プラント元・公爵よ」
「は……記録魔法?」
そうして再生された魔法は、それはそれはひどい物だった
密輸現場の、取引相手との会話
まともな精神で聴いてられるようなものでは無かった
公爵は戦争を起こそうとしていたんだ
なるほど……僕に渡してきた猛毒も戦争の兵器の試作品だったってこと
本当に救いようが無い
映像の他にも書面や証人など、公爵は絶対に逃げられなくなった
涼しい顔に焦りが見え、惨めったらしく言い訳を並べる姿は何よりも滑稽で、爵位を剥奪されたその男は醜態を晒しながら地下牢へと連れて行かれた
あとで面会の予定だけど、急に死んだ筈の双子が圧倒的な立場で現れたらどう反応するだろうか
楽しみっちゃ楽しみだけど、顔も見たく無いって気持ちもある
そんな風に考えていると、陛下がまた動き出した
さて、神子の役目はこれからだ……
21
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説

転生しても山あり谷あり!
tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」
兎にも角にも今世は
“おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!”
を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。

賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!
織侍紗(@'ω'@)ん?
ファンタジー
ルーチェ村に住む少年アインス。幼い頃両親を亡くしたアインスは幼馴染の少女プラムやその家族たちと仲良く過ごしていた。そして今年で十二歳になるアインスはプラムと共に近くの町にある学園へと通うことになる。
そこではまず初めにこの世界に生きる全ての存在が持つ職位というものを調べるのだが、そこでアインスはこの世界に存在するはずのない無職であるということがわかる。またプラムは賢者だということがわかったため、王都の学園へと離れ離れになってしまう。
その夜、アインスは自身に前世があることを思い出す。アインスは前世で嫌な上司に手柄を奪われ、リストラされたあげく無職となって死んだところを、女神のノリと嫌がらせで無職にさせられた転生者だった。
そして妖精と呼ばれる存在より、自身のことを聞かされる。それは、無職と言うのはこの世界に存在しない職位の為、この世界がアインスに気づくことが出来ない。だから、転生者に対しての調整機構が働かない、という状況だった。
アインスは聞き流す程度でしか話を聞いていなかったが、その力は軽く天災級の魔法を繰り出し、時の流れが遅くなってしまうくらいの亜光速で動き回り、貴重な魔導具を呼吸をするように簡単に創り出すことが出来るほどであった。ただ、争いやその力の希少性が公になることを極端に嫌ったアインスは、そのチート過ぎる能力を全力にバレない方向に使うのである。
これはそんな彼が前世の知識と無職の圧倒的な力を使いながら、仲間たちとスローライフを楽しむ物語である。
以前、掲載していた作品をリメイクしての再掲載です。ちょっと書きたくなったのでちまちま書いていきます。

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる