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幼少期 クラレンス王国編
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アーシェンリファーとアルクがEランク昇級試験を受けるため王都の領内から出て行った頃。
「おや。ミズキちゃん!今日は1人かい?」
街の出店のおばちゃんがミズキに声をかける。
「うん!今日はね、アルクとアーシャがね、Eランクの試験を受けに行ってるの!」
ミズキが笑顔でおばさんに答える。
「そーかい!それは立派だね!じゃ、合格祝いにこれ、持って行きな!」
「えぇ~?まだ合格してないよぉ~。」
ミズキは嬉しそうに答える。
「いいんだよ!こーいうのは、合格するって信じて帰りを待ってて損ないよ。仮に落ちまったら慰めにもなるしね。」
おばさんは愛嬌のある笑顔でミズキを誘う。
「そっかぁ…。じゃあ貰って行くね!」
「はいよ!」
ミズキは店のおばちゃんから美味しそうな飴玉を貰う。
「ありがと!」
ミズキはおばさんにお礼を言うと店から離れる。
(アルク…アーシャちゃん…どうか無事で…私はここで、待ってるからね…。)
ミズキは祈るように2人の帰りを待った。
そして、太陽が昇る空を見つめる。
同時刻のシリシアン。
「あ、そろそろアイファーが試験に行ったかしらぁ…」
現在シリシアンはソロでダンジョンクエストを受けてダンジョンに入っていた。
(まぁ、あの子の事だから問題ないでしょう…確か、試験監督もクラーク君って話だったし…。)
シリシアンはアーシェンリファーが無事に戻る事を信じていた。
そんな他ごとを考えながらシリシアンは魔法を出し目の前にいる黒いドラゴンを得意の氷魔法で凍結させる。
「う~ん。私も今日は頑張って早く終わらせて、アイファーに合格祝いを用意してあげようかしらぁ…。」
シリシアンは上級ダンジョンにソロで攻略しにきているとは到底思えないようなマイペースな言葉尻で進んでいく。シリシアンの周りには有象無象の魔物が多く生息しており、今にもシリシアンに襲い掛かろうとしている。シリシアンはそんな魔物達を一切気にせず、ルンルンで進んでいく。シリシアンが通り過ぎた後は全てが氷で凍結され、ダンジョンのエリアも魔物も全てが凍っていた。
「ふんふんふ~ん。」
変わらずシリシアンはダンジョンの中を歩き続けた。
これが、クラレンス王国で現在SSランク冒険者に最も近い人物と言われるシリシアンの実力だ。
「アイファーの好物をたぁ~くさん、用意しないと!」
場面は王都外の森林地帯、アーシェンリファー達に戻る
アーシェンリファーとアルクはクラークを先頭にダークウッドの猛攻を凌いでいる。
「もう!これじゃキリがないじゃん!」
文句を言いながら目の前に現れるダークウッドの枝を避ける。どうしようもない枝は魔力の拳で壊す。
「そうっだなっ!」
アルクも8歳の新人冒険者ながらも、必死の攻防の中で成長しているのか、剣捌きがここに来てかなり成長している。
「なんか、アルク…ここに来て剣の扱い上手くなった?」
ヘラっと笑いながら聞く。
「アーシャっ…結構余裕っそうだな…」
アルクは息を切らしそうになりながらも剣でダークウッドの枝を切り裂く。
「まぁ…体力は結構鍛えてるからねぇ…」
こんなに早く実践的持久力を試すときが来るとは思わなかったけど…。
目の前のクラークの背中を眺めているが、向こうも流石Sランク冒険者、疲れを感じさせない無駄のない動きをしている。
「なんだっよ…疲れてんの俺だけかよ…。」
アルクが悪態をつく。
「いや、アルク…初めてなのに、凄いよ!」
「いや、アーシャも初めてだろう」
「あっ!そっか。」
危ない、口を滑らすところだった。
「2人共っ!ダークウッドからもう直ぐ抜けますよ!頑張っ下さい!」
前からクラークの声が聞こえる。
「「はい!」」
もう少し…頑張らないとね!
隣にいるアルクを気にしながらクラークに着いて行く。
ダークウッドの数もだいぶ減ってきている。
確かにクラークの言う通りダークウッドの群れから抜けれるのだろう。
(これって森の奥だよね…。)
ダークウッドの群れよりも今現在、自分たちがどんどん森の奥に入っている事に不安を募らせていた。
「ダークウッドの群れから抜けます!」
クラークがそう言うと最後のダークウッドを火炎魔法で燃やした。
ダークウッドの群れから抜けるとそのにはさらに深い森が続いていた。
しかし、幸いな事にそこにダークウッドはいない。
「はぁ…とりあえずダークウッドの群れからは抜けましたね…。安全の確保はできませんが、ここで一旦休憩しましょう…。2人共…初めての討伐試験で災難でしたが、無事で何よりです。」
「はい。」
「はぁ…はぁ…」
私は木々の間のスペースに座り込み、アルクは完全に地面に寝転がり体全体で息をしている。
「これ…Eランク…だよな…」
「う~ん…Eランクだったはずだけど…完全に変わっちゃったねぇ…。」
アルクの呟きに答える。
「クラークさん…ダークウッドの群れから抜けたのはいいですが…ここは…。」
「そうですね…ダークウッドの群れから抜けるのに必死のあまり…先ほどより森の奥に入ってしまっていますね。これは、抜けるのに一苦労しますよ…大変ですが、これは頑張って出口に行かなくてはいけませんね…。」
「えぇ!」
アルクは驚いているが、無理もない。
「そうですね…ここから出るのには少し時間がかかりますが…夜になるとより危険です。休憩も程々にして早いところ戻りましょう…森林地帯でもせめて外に近い所までは頑張って移動した方がいいでしょう。」
クラークが自身の持つ時計を気にしながら言う。
「…ですね。アルク…大変だけど、頑張れる?」
「はぁ…まじかよ…頑張るしかないからやるけどよ…こんなんなら俺もアーシャ見たいにランニングしておけばよかったよ…。」
アルクが遠い目をして言う。
「アハハッ!じゃあ、今度一緒に走ろっか。」
それに対して面白半分で答えてみせた。
「程々には…。」
アルクは私を見つめて笑顔で話す。
「まぁ、しんどいときは…ミズキの顔でも浮かべて頑張れ。」
「おい…俺今弄られる余裕もないからな…」
私の弄りに対してアルクはジトっとした目で返す。
「ふぅ…2人共、そろそろ移動しましょう。大分体力を使ったでしょうからゆっくり歩きましょう。とりあえずは森林地帯の外を目指します。危険度はグッと下がりますから…。」
「はい」
「わかりました。」
2人は再びクラークに着いて行く。
私達は森林地帯の出口に向かって歩いていたが、先程までのダークウッドの群れが嘘だったかのように森林地帯の出口付近まですんなり戻ってくる事が出来た。
「この辺りは、魔物も少なそうですし、休憩にはもってこいです。現在は17時ですが、まだ王都まで少し距離があります。慌てずに少しここで休みましょう。」
クラークが2人に声をかける。
「はぁ…歩いていたとはいえ…ここまで歩きっぱなしだと疲れるなぁ…」
そりゃ、そうだ…とくにアルクは本当に初めての討伐依頼なんだ…私みたいに前世を知っているわけでもない…大変だし、疲れるに決まっている…。
私はアルクを心配していた。
「?アーシャ?どうした?」
アルクは私からの視線に気付き見つめ返す。
「ううん…。アルクも初めての依頼で、こんな事になってるんだから、そりゃ疲れるよなって思って。」
アルクに正直な気持ちを話す。
「そうだなぁ…まぁ普通のEランク試験では経験する事はないだろうなぁ…さっきまでは最悪な気持ちだったけど、切り抜けてみれば、自分にとって大きな経験になったし、なんか、剣の腕も上がったからまぁいっか、とか思ってる自分もいるしな。」
そう言うとアルクはいつもの人懐っこいニコッという笑顔をする。その笑顔を見てホッとした。
アルクはまだ8歳だ。トラウマになってたら可哀想だなと思ったけど、大丈夫そうであった。
「アーシェンリファーさんは、タフな方ですね?それはお母様譲りですか?」
クラークは微笑みながら言う。
「え?母を知っているんですか?」
「勿論。クラレンス王国でシリシアンさんを知らない方はいらっしゃらないと思いますよ。」
「へぇ…」
「シリシアン様の魔法の腕前は相当のもので、巷では現在1番SSランクに近い人だと言われている。」
母ってやっぱり凄いんだ、と感心してクラークの話を聞いていた。
「シリシアンさんは、火と水の魔法が得意とおっしゃってみえますが、シリシアンさんの真骨頂はあの氷属性魔法です。彼女は魔法へのイメージ力が抜群で考え方にも柔軟性があります。だから魔法の発動が早いのです。本当に素晴らしいです。」
クラークは母の魔法について話す。
確かに、母は魔法への解釈を大分柔軟に捉えている印象はある。
その話を聞いて私は昔母から教わった事を思い出す。
「アイファー。前にも言ったけど、魔法で大事なのはイメージよ。自分の頭の中にある想像をどこまで具現化出来るかにかかっていると私は思うわ。だから、私はいつも自分の特訓をする時に魔力で絵を書いていたわねぇ…」
「まりょくでえを?」
「えぇ…そうよ。こうやってね…」
シリシアンはそう言うとまだ3歳だったアーシェンリファーを抱えながら右手の人差し指で猫のシルエットを描く。するとそのシルエットに魔力が籠りアーシェンリファーの目の前で光っている。
「うわぁ~…かわいー」
アーシェンリファーはシリシアンが描いた猫の絵に手を伸ばす。
「あらあら…」
シリシアンはアーシェンリファーの頭を撫でる。
「改めて言うけど魔法は自分のイメージを具現化するものだと思っているの。だから、アイファーがどんな属性を使おうとも…魔法は自由は使うべきなのよ。」
「うん!わかった!」
懐かしいなぁ
昔母に教えてもらった事を思い出し微笑む。
「おやおや…なにか良い思い出でもありましたか?」
クラークが尋ねてくる。
「そうですね…昔、母と話した事を思い出しました。」
「そうですか…それは興味深い…。でも、そろそろいい時間ですね。王都に戻りましょうか。」
「「はい!」」
全員が立ち上がり王都への帰路を目指す。
王都の惨状も知らずに…。
「おや。ミズキちゃん!今日は1人かい?」
街の出店のおばちゃんがミズキに声をかける。
「うん!今日はね、アルクとアーシャがね、Eランクの試験を受けに行ってるの!」
ミズキが笑顔でおばさんに答える。
「そーかい!それは立派だね!じゃ、合格祝いにこれ、持って行きな!」
「えぇ~?まだ合格してないよぉ~。」
ミズキは嬉しそうに答える。
「いいんだよ!こーいうのは、合格するって信じて帰りを待ってて損ないよ。仮に落ちまったら慰めにもなるしね。」
おばさんは愛嬌のある笑顔でミズキを誘う。
「そっかぁ…。じゃあ貰って行くね!」
「はいよ!」
ミズキは店のおばちゃんから美味しそうな飴玉を貰う。
「ありがと!」
ミズキはおばさんにお礼を言うと店から離れる。
(アルク…アーシャちゃん…どうか無事で…私はここで、待ってるからね…。)
ミズキは祈るように2人の帰りを待った。
そして、太陽が昇る空を見つめる。
同時刻のシリシアン。
「あ、そろそろアイファーが試験に行ったかしらぁ…」
現在シリシアンはソロでダンジョンクエストを受けてダンジョンに入っていた。
(まぁ、あの子の事だから問題ないでしょう…確か、試験監督もクラーク君って話だったし…。)
シリシアンはアーシェンリファーが無事に戻る事を信じていた。
そんな他ごとを考えながらシリシアンは魔法を出し目の前にいる黒いドラゴンを得意の氷魔法で凍結させる。
「う~ん。私も今日は頑張って早く終わらせて、アイファーに合格祝いを用意してあげようかしらぁ…。」
シリシアンは上級ダンジョンにソロで攻略しにきているとは到底思えないようなマイペースな言葉尻で進んでいく。シリシアンの周りには有象無象の魔物が多く生息しており、今にもシリシアンに襲い掛かろうとしている。シリシアンはそんな魔物達を一切気にせず、ルンルンで進んでいく。シリシアンが通り過ぎた後は全てが氷で凍結され、ダンジョンのエリアも魔物も全てが凍っていた。
「ふんふんふ~ん。」
変わらずシリシアンはダンジョンの中を歩き続けた。
これが、クラレンス王国で現在SSランク冒険者に最も近い人物と言われるシリシアンの実力だ。
「アイファーの好物をたぁ~くさん、用意しないと!」
場面は王都外の森林地帯、アーシェンリファー達に戻る
アーシェンリファーとアルクはクラークを先頭にダークウッドの猛攻を凌いでいる。
「もう!これじゃキリがないじゃん!」
文句を言いながら目の前に現れるダークウッドの枝を避ける。どうしようもない枝は魔力の拳で壊す。
「そうっだなっ!」
アルクも8歳の新人冒険者ながらも、必死の攻防の中で成長しているのか、剣捌きがここに来てかなり成長している。
「なんか、アルク…ここに来て剣の扱い上手くなった?」
ヘラっと笑いながら聞く。
「アーシャっ…結構余裕っそうだな…」
アルクは息を切らしそうになりながらも剣でダークウッドの枝を切り裂く。
「まぁ…体力は結構鍛えてるからねぇ…」
こんなに早く実践的持久力を試すときが来るとは思わなかったけど…。
目の前のクラークの背中を眺めているが、向こうも流石Sランク冒険者、疲れを感じさせない無駄のない動きをしている。
「なんだっよ…疲れてんの俺だけかよ…。」
アルクが悪態をつく。
「いや、アルク…初めてなのに、凄いよ!」
「いや、アーシャも初めてだろう」
「あっ!そっか。」
危ない、口を滑らすところだった。
「2人共っ!ダークウッドからもう直ぐ抜けますよ!頑張っ下さい!」
前からクラークの声が聞こえる。
「「はい!」」
もう少し…頑張らないとね!
隣にいるアルクを気にしながらクラークに着いて行く。
ダークウッドの数もだいぶ減ってきている。
確かにクラークの言う通りダークウッドの群れから抜けれるのだろう。
(これって森の奥だよね…。)
ダークウッドの群れよりも今現在、自分たちがどんどん森の奥に入っている事に不安を募らせていた。
「ダークウッドの群れから抜けます!」
クラークがそう言うと最後のダークウッドを火炎魔法で燃やした。
ダークウッドの群れから抜けるとそのにはさらに深い森が続いていた。
しかし、幸いな事にそこにダークウッドはいない。
「はぁ…とりあえずダークウッドの群れからは抜けましたね…。安全の確保はできませんが、ここで一旦休憩しましょう…。2人共…初めての討伐試験で災難でしたが、無事で何よりです。」
「はい。」
「はぁ…はぁ…」
私は木々の間のスペースに座り込み、アルクは完全に地面に寝転がり体全体で息をしている。
「これ…Eランク…だよな…」
「う~ん…Eランクだったはずだけど…完全に変わっちゃったねぇ…。」
アルクの呟きに答える。
「クラークさん…ダークウッドの群れから抜けたのはいいですが…ここは…。」
「そうですね…ダークウッドの群れから抜けるのに必死のあまり…先ほどより森の奥に入ってしまっていますね。これは、抜けるのに一苦労しますよ…大変ですが、これは頑張って出口に行かなくてはいけませんね…。」
「えぇ!」
アルクは驚いているが、無理もない。
「そうですね…ここから出るのには少し時間がかかりますが…夜になるとより危険です。休憩も程々にして早いところ戻りましょう…森林地帯でもせめて外に近い所までは頑張って移動した方がいいでしょう。」
クラークが自身の持つ時計を気にしながら言う。
「…ですね。アルク…大変だけど、頑張れる?」
「はぁ…まじかよ…頑張るしかないからやるけどよ…こんなんなら俺もアーシャ見たいにランニングしておけばよかったよ…。」
アルクが遠い目をして言う。
「アハハッ!じゃあ、今度一緒に走ろっか。」
それに対して面白半分で答えてみせた。
「程々には…。」
アルクは私を見つめて笑顔で話す。
「まぁ、しんどいときは…ミズキの顔でも浮かべて頑張れ。」
「おい…俺今弄られる余裕もないからな…」
私の弄りに対してアルクはジトっとした目で返す。
「ふぅ…2人共、そろそろ移動しましょう。大分体力を使ったでしょうからゆっくり歩きましょう。とりあえずは森林地帯の外を目指します。危険度はグッと下がりますから…。」
「はい」
「わかりました。」
2人は再びクラークに着いて行く。
私達は森林地帯の出口に向かって歩いていたが、先程までのダークウッドの群れが嘘だったかのように森林地帯の出口付近まですんなり戻ってくる事が出来た。
「この辺りは、魔物も少なそうですし、休憩にはもってこいです。現在は17時ですが、まだ王都まで少し距離があります。慌てずに少しここで休みましょう。」
クラークが2人に声をかける。
「はぁ…歩いていたとはいえ…ここまで歩きっぱなしだと疲れるなぁ…」
そりゃ、そうだ…とくにアルクは本当に初めての討伐依頼なんだ…私みたいに前世を知っているわけでもない…大変だし、疲れるに決まっている…。
私はアルクを心配していた。
「?アーシャ?どうした?」
アルクは私からの視線に気付き見つめ返す。
「ううん…。アルクも初めての依頼で、こんな事になってるんだから、そりゃ疲れるよなって思って。」
アルクに正直な気持ちを話す。
「そうだなぁ…まぁ普通のEランク試験では経験する事はないだろうなぁ…さっきまでは最悪な気持ちだったけど、切り抜けてみれば、自分にとって大きな経験になったし、なんか、剣の腕も上がったからまぁいっか、とか思ってる自分もいるしな。」
そう言うとアルクはいつもの人懐っこいニコッという笑顔をする。その笑顔を見てホッとした。
アルクはまだ8歳だ。トラウマになってたら可哀想だなと思ったけど、大丈夫そうであった。
「アーシェンリファーさんは、タフな方ですね?それはお母様譲りですか?」
クラークは微笑みながら言う。
「え?母を知っているんですか?」
「勿論。クラレンス王国でシリシアンさんを知らない方はいらっしゃらないと思いますよ。」
「へぇ…」
「シリシアン様の魔法の腕前は相当のもので、巷では現在1番SSランクに近い人だと言われている。」
母ってやっぱり凄いんだ、と感心してクラークの話を聞いていた。
「シリシアンさんは、火と水の魔法が得意とおっしゃってみえますが、シリシアンさんの真骨頂はあの氷属性魔法です。彼女は魔法へのイメージ力が抜群で考え方にも柔軟性があります。だから魔法の発動が早いのです。本当に素晴らしいです。」
クラークは母の魔法について話す。
確かに、母は魔法への解釈を大分柔軟に捉えている印象はある。
その話を聞いて私は昔母から教わった事を思い出す。
「アイファー。前にも言ったけど、魔法で大事なのはイメージよ。自分の頭の中にある想像をどこまで具現化出来るかにかかっていると私は思うわ。だから、私はいつも自分の特訓をする時に魔力で絵を書いていたわねぇ…」
「まりょくでえを?」
「えぇ…そうよ。こうやってね…」
シリシアンはそう言うとまだ3歳だったアーシェンリファーを抱えながら右手の人差し指で猫のシルエットを描く。するとそのシルエットに魔力が籠りアーシェンリファーの目の前で光っている。
「うわぁ~…かわいー」
アーシェンリファーはシリシアンが描いた猫の絵に手を伸ばす。
「あらあら…」
シリシアンはアーシェンリファーの頭を撫でる。
「改めて言うけど魔法は自分のイメージを具現化するものだと思っているの。だから、アイファーがどんな属性を使おうとも…魔法は自由は使うべきなのよ。」
「うん!わかった!」
懐かしいなぁ
昔母に教えてもらった事を思い出し微笑む。
「おやおや…なにか良い思い出でもありましたか?」
クラークが尋ねてくる。
「そうですね…昔、母と話した事を思い出しました。」
「そうですか…それは興味深い…。でも、そろそろいい時間ですね。王都に戻りましょうか。」
「「はい!」」
全員が立ち上がり王都への帰路を目指す。
王都の惨状も知らずに…。
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