転生先では幸せになります

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幼少期 クラレンス王国編

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今日、私はギルド登録に行く。前世では母が亡くなったショックから無心でギルド登録をして、強くなる為に無心で依頼をこなして、気がついたら歴代最短で最高ランクになっていた。今世では母と一緒にギルドに言って一緒に依頼をこなす事になるのかと思うと感慨深い物がある。

「ここが冒険者ギルドよぉ~」

シリシアンと一緒にギルドの前まで来た。

「うん。そうだね!」

本当はギルドの場所は分かってた。ここは前世でも通ってたから。強いて言えば前世より建物が綺麗であるくらいだ。

「じゃあ、入ろっか」

シリシアンがそう言うと一緒にギルドへ入る。
ギルドの中は老若男女多くの人で賑わっておりシリシアンから逸れないようにシリシアンの袖を握る。シリシアンもそんなアーシェンリファーに気がつきアーシェンリファーの手を握る。ギルドに入って正面にギルドの受付がある。ギルドの受付には依頼受付と新規受付がある。今回はアーシェンリファーの新規のためシリシアンは受付の方へ行く。受付には受付嬢が立っている。

「こんにちは~。ギルド登録に来ました~。」

「!シリシアンさん?こんにちは。ギルド登録って…まさか。」

「はい~。うちの娘のですぅ。」

シリシアンはそう言うと私を自分の横に並べる。

「こんにちは。アーシェンリファーです。母がいつもお世話になっています。」

行儀良くお辞儀をしてみせる。

「あらあら、本当にしっかりした娘さんですね。こんにちは。私はギルドの総合受付をやっています、アカツキといいます。」

受付のアカツキは丁寧にお辞儀をする。アカツキという名前に相応しいオレンジの瞳が綺麗だ。

「よろしくお願いします。」

「では、ギルド登録でしたね。今回は身分証目的ですか?」

「う~ん。それもあるけど、この子、依頼をこなしたいらしいわ。最近の子供は大人びてて困っちゃうわぁ~。」

シリシアンが答える。

「そうですか。恐らくそんな事を言うのはアーシェンリファーさんくらいかと…。では、ギルドカードの発行だけでなく、依頼がこなせるように設定した方がいいと言う事ですね。シリシアンさんがいらっしゃるので知っている事もあるかも知れませんが、ギルド登録をするに当たりこちらからある程度説明をさせて頂くのがルールになってますので、退屈でしょうが、最後までお付き合い下さい。」

「はい!」

「ではまず、ギルドに登録するに当たって幾つか情報を書いて頂く必要があります。こちらにご記入頂けますか?保護者の方であれば代筆でも問題ございません。」

アカツキが1枚の紙を出す。その紙を受け取り受付に設置されているペンで書き出す。

「あら…字の読み書きもしっかり出来るんですね…。」

アカツキは少し驚いていた。

「うちの子、5歳ですよぉ?それくらいは出来ますよ。」

「いや、5歳では読めても書ける子は多くないですよ?」

「ふぅ~ん。そこは、まぁ、お母さん、頑張ったので。」

シリシアンはニコリと笑顔でアカツキに答えている。
そんな2人の会話を聞きながら書類を書いている。

「えぇ…シリシアンさんにはもう驚きません。」

(えっ。字の読み書きってまだ普通じゃないの?図書館の本より、世間の一般常識を先に勉強するべきだったかな…。)

失敗したな、と考えながら書類の記入を進める。
名前 アーシェンリファー・ウンディオーネ
生年月日 700年7月19日 満5歳
住所 クラレンス王国領内 XX番地
戦闘経験 無し

記載が終わった用紙をアカツキへ返却する。

「ありがとうございます。では次はこちらの内容をご一読下さい。」

アカツキはアーシェンリファーから資料を預かった後に記載内容の確認を行う。
一方私はアカツキから渡された資料に目を通す。書類の内容はギルドでのルール事項だ。要約すると
1、ギルドで受けた依頼は原則受けた本人が依頼を行い達成すること。
2、ギルドで受けた依頼を途中で棄権する場合は必ず受付に申請すること。違約金が発生する場合もある
3、ギルドからの報酬の代理受取は出来ません。ご本人が受け取りにきてください。
4、依頼中の怪我や事故に対してギルドでは原則責任を負いません。但し、下記の場合は例外です。
※ギルドでの依頼書に記載されている以上のイレギュラーが発生し、それをギルドの方で認知した場合
5、ギルド内でのトラブルは禁止としています。

こんなものである。

「ギルドの規約のご確認は頂けましたでしょうか?」

「はい。大丈夫です。」

「ありがとうございます。ギルドについては世界共通のギルド協会が作成していますので、世界のどこのギルドでも同じ規約が適用させています。また、Bランク以上の依頼ならどこのギルドからでも同じ依頼を受ける事が出来ますし、ギルドカードの更新も全てのギルドで行う事ができます。ですので、冒険者の中には世界中を旅しながら依頼を受けて生計を立てている人もいらっしゃいます。」

「へぇ…。」

アカツキからの説明を受けている。

(冒険ねぇ…考えた事もなかったけど、クラレンス王国内で一生を過ごす必要もないよね…母がどう思うか、だけど…。)

「あ、アカツキちゃん。ギルド依頼にむけて、娘の預金口座と作りたいわ。お願い出来るかしら?」

「承知致しました。預金口座について、未成年の場合は原則保護者の同意が必要となりますので、口座申込はシリシアンさんの方でご準備をお願いします。」

「はぁ~い。分かったわ。」

シリシアンはアカツキに渡された預金口座と申込書に必要事項を記載していく。

「シリシアンさんが書いている間にアーシェンリファーさんは、こちらの装置でギルド登録検査をお願いします。」

「はい。」

「ギルド登録検査では、こちらの台座に手を乗せて頂くのが機械がその人の魔力反応を読み取り、ギルド登録申請書の記載内容に虚偽がないか、また、過去に犯罪歴がないか等々お調べする物です。乗せてもらう手はどちらでも大丈夫ですので、こちらに手を乗せてください。」

「わかりました。」

アカツキからの説明を聞き、とりあえず右手を機械に乗せた。すると機械がほんのりと熱くなり指先側が青く点滅する。しばらくすると点滅していた青色が手の下まで移動していく。

なんか手をスキャンされてるみたいである。

そんな事を考えながら自分の右手を眺めていた。機械の点滅が終わり熱さも無くなった。

「はい。正常に終了です。アーシェンリファーさん、ありがとうございます。手を外してもらって大丈夫です。」

「わかりました。ありがとうございます。」

機械から手を外す。

「ギルドカードの作成の前にギルドの基本的な事だけ説明させて頂きます。冒険者ギルドはランク制度を使用しています。ランクは上から SS S A B C D E F G Hまであります。ギルドカードの登録時点では全員一律でHランクからスタート出来ます。魔物の討伐依頼はEランクから、ダンジョンの依頼はBランクから受ける事が可能です。また、自分のランク以上のクエストは昇級試験以外受けられません。以上になりますが、なにかご質問はありますか?」

「大丈夫です!ありがとうございます。」

「では、ギルド登録は以上で完了です。今からギルドカードと預金口座の作成をしますので、ギルドでお待ち頂けますか?折角でしたら受付から右手にごさいますギルドの依頼掲示板を見てもらってて大丈夫です。掲示板にはCランク以下までの依頼の情報が記載されています。アーシェンリファーさんはHランクからの依頼となります。その辺りの確認方法はシリシアンさんから教えてもらった方がいいかもしれませんね。」

「はい!わかりました!アカツキさんありがとうございます!」

「うふふ。アカツキちゃんありがとうねぇ~。」

「いえ、では、私はこれからアーシェンリファーさんのギルドカードを作りに行くので失礼しますね。」

アカツキはそう言うとアーシェンリファーが記載した資料を持って受付から離れた。

「アイファー、折角だから掲示板を見に行こっか。」

「うん!」

2人は受付から離れてギルドの右側にある掲示板まで歩く。掲示板の周りには人が多くいて、みんな次の依頼を探しているようだ。


(前世の時もそーだったけど、ギルドはやっぱり混んでるなぁ…。なんか懐かしいや。私は割と直ぐに…と言っても4年くらいかけてSSランクになったからそれからは依頼なんて受付でしか受けてなかったもんなぁ…。)

掲示板を見ながら過去を思い出していた。

掲示板には沢山の依頼書が付いていた。どうやら掲示板の左側から順番にランクごとに依頼書がついている。今の私でも受けれるのはHランクのみのため掲示板の1番右側の依頼書を見る。

《家の掃除 依頼者 リンダ 報酬 500G》
《食材の買い出し 依頼者 アーロン 報酬 200G》
《地域清掃 依頼者 タロウ 報酬 1,000G》
set…

依頼を見て懐かしさを感じていた。確かにHランクってこんな依頼ばっかりだったな、と。正直討伐依頼までのランクだと何が違うかってよくわかんなかった記憶がある。強いて言えばFランク当たりから街の外で素材の採取があったかなってくらい。

「アイファー、何が受ける?」

シリシアンが訊ねる。

「うん!折角なら何個か受けてみようかなぁ…。」

新鮮でワクワクしていた。低ランクの依頼の場合は子供でも受けれるためか、アーシェンリファー親子以外にも親子で依頼を受けようとしている人達はいる。

「そうねぇ…大丈夫だとは思うけど、最初の何個はお母さんと受けよっか。」

「うん!ありがとう。でも、お母さん、お仕事はいいの?」

「大丈夫よぉ…少しお休みしたくらいじゃ困んないから。」

シリシアンはいつものマイペースそうな笑顔を向けて答える。

「それに、折角可愛い娘と依頼が受けれるのよぉ~。嬉しいじゃない?」

母はそう言うとアーシェンリファーの頭を撫でる。

「えへへ。私も嬉しい。」

前世ではお母さんと依頼なんて受けれなかったから、今世では一緒にお仕事が出来て嬉しい。

2人はHランクの依頼書から幾つか依頼を選んでいた。



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