151 / 159
異世界新婚旅行編
第149話 騒ぎの原因
しおりを挟む
ムツキ達が街にたどり着くと、街の様子は騒がしかった。
兵士達が右往左往し、入門が制限されているようであった。
メルリスが、門のところまでどういった状況なのかを聞きに行って戻ってきた。
「どうやら、数日前に森の方でドラゴンの吐息のような大爆発が起こったせいで、国王が厳戒態勢を敷いたようですね」
メルリスの言葉を聞いて、エレノア、シャーリー、アインの3人の妻はムツキの顔を見た。
ムツキ本人も、苦笑いで頬をポリポリと掻いた。
この厳戒態勢、入門規制は、先日ムツキが盗賊を焼き払った事が原因だと予想できたからであった。
説明の必要もあるだろうし、メルリスにもう一度門番の所に行ってもらい、国王への挨拶の申し出をしてもらう。
その時に、シュナイゼルとアグニール連盟の書状も忘れない。
入門規制中であったが、ムツキ達は最優先で中へ入れてもらえる事になった。
馬車を門まで移動させていると、他の貴族の馬車から物言いがはいった。
「そこの馬車よ、私はゲール伯爵である。この状況に苛立つのも分かるが、私もこの場所で2日待機しておる。門に文句を言いに行くのはやめにしなさい」
ムツキの馬車に物言いを言ったゲール伯爵の馬車の後ろには何台か貴族の物と思わしき馬車が並んでおり、入門を待っている様子であった。
ムツキは、馬車から顔を覗かせると、門番にも見せた書状をメルリスにまたゲール伯爵の馬車まで見せに行くお使いを頼み、それを確認したゲール伯爵の表情が変わったのを確認してから話し始めた。
「すまないが、私達が先に行けばこの規制も早く緩和される可能性があります。その書状に免じて先に行かせてください」
「これは、差し出がましい事をしたようだ。申し訳なかった」
「いえ、この状況ですから」
ゲール伯爵とは、言い争いなどになることも無く、ムツキの馬車は門に向けてまた動き始めた。
ゲール伯爵は、別に先に通されるムツキにいちゃもんをつけたかった訳ではなく、苛立って門まで文句を言いに行く貴族達をあそこで宥めていたのであろう。
ムツキ達が、了承を得て門に向かっているとは、この状況では判断できなかったのであろう。
なので、事情を理解した後はすぐに頭を下げたわけだ。
ムツキ達が目上の人間だと理解して冷や汗は出たのだろうが、貴族の中で、そこで言い訳せずに頭を下げられるのは、しっかりとした貴族なのだと分かる。
ムツキ達は、ゲール伯爵に好印象をもったのであった。
そして城に着くと、この国も門の所まで国王がやってきており、ムツキ達を出迎えてくれた。
「ようこそおいでくださいました。 しかし、今はムツキ様をもてなす余裕がこの国にはございません。それどころか、失礼を承知で言わせて貰えばムツキ様の手を借りたく思っております。 ムツキ様はドラゴンを従えるほどの力をお持ちです。我が国の東の森で、ドラゴンの息吹と思われる爆炎が確認されました。
国民を隣の国に避難させるように準備をしていたのですが、その、ムツキ様の力でドラゴンを従えて頂ければ問題は解決する訳でして……」
国王は、最後の言葉を言いにくそうに話した。
常識的に言えば、いくらムツキがドラゴンを従えていようとも、新たなドラゴンを従えて欲しいとは、口が裂けても言えない事である。
新たなドラゴンを従える。つまり、ドラゴンを討伐して欲しいと同義であり、命を捨てろと言っているような物だからである。
しかし、その不敬な言葉を口に出すのは、それを口に出しても国を民を守りたいという意思の表れであろう。
その言葉を聞いて、ムツキは申し訳なさそうに口を開いた。
「すいません。多分、あなた方が観測したドラゴンの息吹は私の魔法でして、ここに来る途中で大量の盗賊を焼き払いましたので。なので、この厳戒態勢はする必要のない杞憂だと思うのです」
ムツキの発言に、国王は理解が追いつかずにポカンと口を開けた。
家臣の1人が国王に耳打ちをして、ゆっくりと頷いた国王は、ムツキ達の話を詳しく聞きたいと申し出た。
ムツキは、さらに詳しい事情説明の為に、城の中に通されるのであった。
兵士達が右往左往し、入門が制限されているようであった。
メルリスが、門のところまでどういった状況なのかを聞きに行って戻ってきた。
「どうやら、数日前に森の方でドラゴンの吐息のような大爆発が起こったせいで、国王が厳戒態勢を敷いたようですね」
メルリスの言葉を聞いて、エレノア、シャーリー、アインの3人の妻はムツキの顔を見た。
ムツキ本人も、苦笑いで頬をポリポリと掻いた。
この厳戒態勢、入門規制は、先日ムツキが盗賊を焼き払った事が原因だと予想できたからであった。
説明の必要もあるだろうし、メルリスにもう一度門番の所に行ってもらい、国王への挨拶の申し出をしてもらう。
その時に、シュナイゼルとアグニール連盟の書状も忘れない。
入門規制中であったが、ムツキ達は最優先で中へ入れてもらえる事になった。
馬車を門まで移動させていると、他の貴族の馬車から物言いがはいった。
「そこの馬車よ、私はゲール伯爵である。この状況に苛立つのも分かるが、私もこの場所で2日待機しておる。門に文句を言いに行くのはやめにしなさい」
ムツキの馬車に物言いを言ったゲール伯爵の馬車の後ろには何台か貴族の物と思わしき馬車が並んでおり、入門を待っている様子であった。
ムツキは、馬車から顔を覗かせると、門番にも見せた書状をメルリスにまたゲール伯爵の馬車まで見せに行くお使いを頼み、それを確認したゲール伯爵の表情が変わったのを確認してから話し始めた。
「すまないが、私達が先に行けばこの規制も早く緩和される可能性があります。その書状に免じて先に行かせてください」
「これは、差し出がましい事をしたようだ。申し訳なかった」
「いえ、この状況ですから」
ゲール伯爵とは、言い争いなどになることも無く、ムツキの馬車は門に向けてまた動き始めた。
ゲール伯爵は、別に先に通されるムツキにいちゃもんをつけたかった訳ではなく、苛立って門まで文句を言いに行く貴族達をあそこで宥めていたのであろう。
ムツキ達が、了承を得て門に向かっているとは、この状況では判断できなかったのであろう。
なので、事情を理解した後はすぐに頭を下げたわけだ。
ムツキ達が目上の人間だと理解して冷や汗は出たのだろうが、貴族の中で、そこで言い訳せずに頭を下げられるのは、しっかりとした貴族なのだと分かる。
ムツキ達は、ゲール伯爵に好印象をもったのであった。
そして城に着くと、この国も門の所まで国王がやってきており、ムツキ達を出迎えてくれた。
「ようこそおいでくださいました。 しかし、今はムツキ様をもてなす余裕がこの国にはございません。それどころか、失礼を承知で言わせて貰えばムツキ様の手を借りたく思っております。 ムツキ様はドラゴンを従えるほどの力をお持ちです。我が国の東の森で、ドラゴンの息吹と思われる爆炎が確認されました。
国民を隣の国に避難させるように準備をしていたのですが、その、ムツキ様の力でドラゴンを従えて頂ければ問題は解決する訳でして……」
国王は、最後の言葉を言いにくそうに話した。
常識的に言えば、いくらムツキがドラゴンを従えていようとも、新たなドラゴンを従えて欲しいとは、口が裂けても言えない事である。
新たなドラゴンを従える。つまり、ドラゴンを討伐して欲しいと同義であり、命を捨てろと言っているような物だからである。
しかし、その不敬な言葉を口に出すのは、それを口に出しても国を民を守りたいという意思の表れであろう。
その言葉を聞いて、ムツキは申し訳なさそうに口を開いた。
「すいません。多分、あなた方が観測したドラゴンの息吹は私の魔法でして、ここに来る途中で大量の盗賊を焼き払いましたので。なので、この厳戒態勢はする必要のない杞憂だと思うのです」
ムツキの発言に、国王は理解が追いつかずにポカンと口を開けた。
家臣の1人が国王に耳打ちをして、ゆっくりと頷いた国王は、ムツキ達の話を詳しく聞きたいと申し出た。
ムツキは、さらに詳しい事情説明の為に、城の中に通されるのであった。
31
お気に入りに追加
256
あなたにおすすめの小説
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
アラフォー料理人が始める異世界スローライフ
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
ある日突然、異世界転移してしまった料理人のタツマ。
わけもわからないまま、異世界で生活を送り……次第に自分のやりたいこと、したかったことを思い出す。
それは料理を通して皆を笑顔にすること、自分がしてもらったように貧しい子達にお腹いっぱいになって貰うことだった。
男は異世界にて、フェンリルや仲間たちと共に穏やかなに過ごしていく。
いずれ、最強の料理人と呼ばれるその日まで。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
ブリードスキル いじめられっこ覚醒! いじめられスキルで異世界でも怖くありません……
石のやっさん
ファンタジー
虐められ自殺までした僕が異世界転移......もう知らない。
主人公である竜崎聖夜はクラスで酷いイジメにあっていた。
その執拗なイジメに耐えかねて屋上から飛び降り自殺をした瞬間。
聖夜のクラスが光輝き女神イシュタスの元に召喚されてしまう。
話しを聞くと他の皆は既に異世界ルミナスに転移ずみ。
聖夜は自殺し、死んでいたので蘇生したぶん後になったのだと言う。
聖夜は異世界ルミナスに行きたくなかったが、転移魔法はクラス全員に掛かっているため、拒否できない。
しかも、自分のジョブやスキルは、クラスの情報でイシュタスが勝手に決めていた。
そのステータスに絶望したが……実は。
おもいつきで書き始めたので更新はゆっくりになるかも知れません。
いじめられっこ覚醒! いじめられスキルで異世界でも怖くありません……
からタイトルを『ブリードスキル いじめられっこ覚醒! いじめられスキルで異世界でも怖くありません……』に変更しました。
カクヨムコン9に出品予定でしたが、期間内に10万文字まで書けそうも無いのでカクヨムコン出品取り消しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる