上 下
147 / 159
異世界新婚旅行編

第145話 一件落着

しおりを挟む
「そ、そんなバカな! この店はもう終わりのはずだ!」

「貴方の目にはこれが潰れそうな店に見えるのでしょうか? だとしたら眼科に行く事をおすすめしますよ」

 元に戻って何事もなく営業出来そうな店に、ルノモンは悲鳴のような声を上げて、ムツキはそれに対して皮肉を言った。


 この状況は、単純にムツキのスキルで馬車や倉庫を隠していただけだ。

 というのも、ムツキの収納スキルは無制限に物が入る。

 なので、馬車も倉庫も倉庫の中身も全て収納していただけであった。

 馬車や倉庫に火をつけられたとして、馬車はともかく、倉庫は周りに被害を及ぼさない程の短時間で消し炭になるまで燃え尽きるのは流石に無理であろう。

 ルノモンが依頼した男が、火をつけた時には、馬車や倉庫を魔法でガードしており、無傷であり、一旦離れた隙に、用意していた木材とすり替えて火をつけ、風魔法を駆使して燃え移るのを防いだのだ。

 店の商品に関しても、同じようにスキルである。

 すべてをうまく終えたと、ルノモンに報告した後、暴漢達は全て捉えて、事の全てを吐かせてある。

 それをちゃんと録音済みだ。

 その事をヘルネル達に話して、ベリーナに一芝居打ってもらったのだ。

 この事は話し合いで解決できる問題かといえば難しいので、街の住民にこの事を周知して、住民を味方に付ける作戦だ。

 まさか客を蔑ろにする発言を、客達の前でするとは思わなかったが、こうなった以上、ルノモンの店を使う住民は少ないだろう。

 もしかしたら、宣言とは逆に、大幅に割引すれば客は来るかもしれないが、安さに集まる客の人数はしれているだろう。

 この街は、そこまで貧しいわけではない。

 騒ぎを聞きつけて、兵士が駆けつけたので、ムツキは暴漢を引き渡して終わりにしようと考えていた。

 しかし、ルノモンは諦めが悪いようである。

「兵士さん、こいつらがあの方達を暴行して出鱈目を風潮して私の店の営業妨害をしてくるのです」

「なんですと! それは本当ですか?」

 兵士は、ルノモンの言い分を聞いて、ムツキの言い分を確認して来た。

「違いますよ、実はですね、」

 ムツキはこれまで起こった事と、話の流れ、暴漢達の引き渡しについてを話した。

「兵士さん、私はこの街の為に一生懸命働いて来ました。こんなどこの誰かもわからない奴のどちらを信用するのですか!」

 ルノモンは、兵士の情に訴えかけるが、ムツキは付き合う気は無かった。

「兵士さん、私の身分はちゃんと証明できますよ」

 ムツキが自分の身分を証明するための紙を兵士に見せると、兵士の顔色が変わった。

「ムツキ様、この街の治安を守っていただき、ありがとうございます。ここからは、私達にお任せ頂ければと思います!」

 兵士は、ムツキに礼をしてそう叫んだ。

「よろしくお願いします。ちゃんとした処罰が降りるように願ってますよ」

「は!」

 兵士はもう一度礼をすると、暴漢達は勿論、ルノモンとカバレッタまで連れて行った。


 これで、この店に迷惑をかける奴は居ないだろう。

 街の人達に、これからは問題なく営業できる事を説明して、この一件は落着したのであった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます

ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。 何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。 何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。 それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。 そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。 見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。 「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」 にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。 「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。 「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

処理中です...