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異世界新婚旅行編

第133話 勿体無い

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 ムツキ達は城を出た後、馬車の中で買ったフルーツをメルリスが剥いてくれて、食べながら移動をしていた。

「しかしムツキ、さっきの対応で良かったのか?」

 アインが先程の第二王子への対応について質問をしてきた。

「そうだね。もっと厳しい処分も下せるんだけど、あまり関わりの無い人達から恨みを買っても面倒くさいだけですよ。向こうに処分を任せればその処分を選んだのは国王です。フルーツを買わずに貰う事もできたでしょうが、それをすれば農家の人が切迫するだけで王家は特段ダメージを受けないでしょう。国王の言い分だとちゃんと国民から勝っている様ですからね、物が手に入るなら買ったほうが後腐れなくていいんですよ」

 同じ処刑をするにしても、あの場で殺す事もできたが、エレノア達がそれを楽しむ趣味があるわけでも無いのだから、見せる必要はない。

 だったら、国王に任せればそれを選んだのは国王だ。第二王子の知り合いの怨みは国王に向かうのが普通である。

 まあその後、第二王子をどうするも国王任せなので、甘ければ説教程度でお咎めなしの場合もある。

 別に死刑にしなくてもこちらに迷惑をかけなければそれでいい。

 この後、ムツキからの恩恵があの国にある訳でもなし、こちらとしては失礼な国が居たな。程度で忘れてしまうのが1番いいのだ。

「そうなのか?」

 不服そうなアインであったが、エレノアが美味しそうにフルーツをほう張りながら補足を言った。

「アインさん、もう終わった事ですから、いつまでもあの国の事を考える時間がもったいないですわ。その時間をムツキ様との時間に使ったほうが有意義ですわよ?」

 エレノアは、この間の焼肉パーティーの時からアーンにハマっているらしく、フルーツをムツキの口の方に「アーン」と言って突き出した。

 ムツキはそれを「ありがとう」と言って一口で食べた。

「確かに、アイツが処刑されても私達に影響がないならそれを考える時間がもったいないのか」

「私達は平民で国の事を考える必要がないのですから、自分達の幸せな生活だけ考えて楽しんで毎日を過ごせばいいんですよ」

「「ねーっ」」と言ってエレノアとシャーリーの声が重なり、2人はおかしそうにクスクスと笑う。

 せっかくの新婚旅行なのだから、嫌な事は忘れて、これから行く次の国は何が有名なのかなど会話をしながら、楽しく馬車に揺られるのであった。まあ、揺れないのだが。
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